『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「TV 見るべきものは!!」。
今週の掲載分では、東海テレビ「セシウムさん」問題の検証番組を取り上げました。
あまりにおざなりだった
「セシウムさん」問題検証番組
「セシウムさん」問題検証番組
先週、東海テレビが「セシウムさん」問題に関する検証番組「検証 ぴーかんテレビ不適切放送~なぜ私たちは間違いを犯したのか」を放送した。
わかったことはいくつかある。
リハーサル用のダミーとはいえ、「セシウムさん」などという文言に対してアシスタント・プロデューサーがテロップ作成者に注意していたようだ。
しかし結局は修正されないまま、新人タイム・キーパーの手違いで放送されてしまう。
一方、当の作成者は「思いつき」「ふざけ半分」「修正依頼の記憶はない」などと答えるばかりで要領を得ない。
またテロップが誤って表示された瞬間、スタッフは誰一人として画面を見ていなかったことも判明した。
しかし、一番知りたかったことがこの検証番組では明かされなかった。
それは、ふだんダミーテロップにはどんなことが書かれ、どう使われていたのかということだ。
社会常識の欠如や放送倫理の低下は現場全体の問題だったのではないか。
そしてもう一つ気になったのが、あまりにもパターン化された検証番組の作り方だ。
社長のお詫び、経緯の説明、当事者へのインタビュー、社内アンケート、そして識者によるまとめ。
これは関西テレビ「あるある大辞典」やらせ問題の検証番組の踏襲である。
前例にならった必要最小限の内容に留まり、踏み込み不足は否めなかった。
(日刊ゲンダイ 2011.09.05)
・・・・まあ、東海テレビとしては、これで幕引きということでしょう。
しかし、この番組の中で内部から指摘されていた「会社の体質」「経営方針」などに関しては、それがいかに改革されていくのか(いかないのか)を、今後も説明していく責任はあると思います。