どしゃ降りの雨の中を駅まで歩き、ホームで電車を待っていたら、携帯が鳴った。
大学の事務局からだった。
台風による荒天のため、各種の会議その他を、本日はすべて中止にするという。
学内にいる人間は帰宅すべし、来ようとしている者は来るな、の指示だ。
おお、間に合ってよかった(笑)。
一瞬、携帯への連絡が遅ければ、電源を切って電車に乗り込んでいたはずだ。
私の今日の予定はてんこ盛りで、院生との打ち合わせ、委員会、教授会、さらに夕方からは研究会まで入っていた。
ラッキーである(笑)。
なかったはずの時間をプレゼントされたようで、嬉しい。
この年齢になると、時間が、特に自由に使える時間が、いかに貴重なものか、分かってくる。
とはいうものの、また豪雨に打たれながら帰宅し、締め切りを目前に控えた共著の原稿を、猛烈な勢いで書き始めたわけではない。
まあ、この辺りが、極めてダメなところで(笑)。
積んである本を、次から次とめくったり、久しぶりで訪問するサイトをチェックしたり。
島崎今日子さんの『<わたし>を生きる~女たちの肖像』(紀伊国屋書店)を読み出したら、止まらない。
雑誌「アエラ」に発表された、人物ノンフィクションを集めたものだ。
山田詠美、夏木マリ、綾戸智恵、北村明子(演劇プロデューサー)、北村道子(スタイリスト)など16人の女性が並んでいるが、いずれもハズレなし。
「こんな人だったんだ」と納得やら感心やら、いや、それ以上に彼女たちから刺激を受ける。
島崎さん、文章がいいんだよなあ。
多分、それを支えているのは、当たり前のことを当たり前以上に行う、徹底した取材なのだろう。
ご本人に、ささっとインタビューして、ささっと仕上げたものとは、まったく違う。
わずか1行の記述のために、取り上げた人物に関係した人に、ちゃんと会いに行って話を聞いているのがわかる。
時間やエネルギーといった“元手”がかかっているのだ。
また、取材対象の女性に対しても、半端な予断を持たず、真っ直ぐに向き合っているのがいい。
だから、知ってる人でも、まるで知らなかったような相貌が、文章の中から現れるのだ。
お見事です。
さらに、ミステリー作家・新津きよみさんのホームページで、次のような文章に遭遇した。
映画『ゴーストライター』を観ました
新聞広告で、警察小説の売れっ子作家・今野敏さんが推薦していたし、上智大学新聞学科の教授・碓井広義さん(松本の高校の先輩で、兄の同期。しかも、妹同士がまたまた同級生という縁)がご自身のHPで「良かった。もう一度観たい」と書いていたので、これは見逃してはならない、と急いで行きました。
本格サスペンスで満足しました。暗めの映像も素敵。近年観た映画の中ではベスト3に入るかも。
(新津きよみの書いたり観たり ミステリー作家 http://plaza.rakuten.co.jp/os2758/)
うーん、嬉しいですねえ。
先日、このブログに書いた映画の話を読んで、実際に映画館に足を運んで下さったとは。
感謝です。
ちなみに、文中にある「警察小説の売れっ子作家・今野敏さん」は、
上智大学新聞学科のご出身(笑)。
台風による風雨は、ますます強まっている。
子どもの頃は、台風が来ると、よく停電したなあ。
暗闇でロウソクを探しながら、「明日は小学校が休みになるかも」
なーんて、密かに期待したりして(笑)。
ていうか、今も同じ。
大人になっても、あまり変わってないんだね。
いかん、いかん。
さあ、そろそろ仕事しよっと(笑)。
まるで「滝ごり」状態のポロ君