『東京新聞』に連載しているコラム「言いたい放談」。
今回は、「日本民間放送連盟賞」について書いています。
「受賞」と「辞退」
放送界の大きな賞のひとつ、「日本民間放送連盟賞」(連盟賞)が発表された。
この中の「放送と公共性」部門で審査員をさせていただいている。
<最優秀>は山口放送の「過疎の島の介護日記~あるヘルパーと歩んだ10年の放送活動」。
<優秀>は札幌テレビ「がん患者、お金との闘い 2007年~2011年の活動」、ラジオ福島「災害ラジオとインターネット連動展開の記録」、そして長野朝日放送「地球を守ろう!プロジェクト」だ。
実は、<優秀>がもう一本あった。
東海テレビの「キャンペーン“司法シリーズ” 開かれた司法へ」である。
ところが、例の「セシウムさん」問題が発生し、東海テレビが受賞を辞退してきたのだ。
審査会では、あくまでも審査対象作品と向き合っての評価であり、今回の問題と受賞は別のことであるとしていた。
辞退は東海テレビなりの判断ではあるが、どこか割り切れない思いも残る。
今年、東海テレビは「放送と公共性」以外の四部門でも受賞を辞退した。
「テレビ教養番組」と「テレビエンターテインメント番組」では<最優秀>であり、この局が日頃、自社制作番組でいかに頑張ってきたかを物語っている。
その意味でも、「セシウムさん」問題は痛恨の出来事だったのだ。
一日も早く信頼を回復し、連盟賞にも再登場してもらいたい。
(東京新聞 2011.09.21)