テレビ東京「ありえへん∞世界」の内容に関して、放送倫理・番組向上機構(BPO)が意見書を公表した。
沖縄・南大東島のサトウキビ農家を取り上げた回が、放送倫理に違反していると言うのだ。
テレ東バラエティーで放送倫理違反=BPO
放送倫理・番組向上機構(BPO)放送倫理検証委員会は27日、沖縄・南大東島のサトウキビ農家を取り上げたテレビ東京の情報バラエティー番組「ありえへん∞世界」(1月25日放送)に放送倫理違反があったとの意見を公表した。
意見書によると、同番組は農家の年間売り上げを「年収1000万円超」と表現し、経費を除いた所得と誤解されるような伝え方をした。「事実を正確に伝えず、誤った認識に視聴者を導き、偏見をあおる結果を招いた」と指摘した。
(時事通信 2011.09.27)
以下は、BPOが発表した「意見書」からの抜粋です。
●意図的な情報操作が行われている。つまり、これは過失ではなく、「故意」である。
●制作スタッフが考える「面白さ」が、取材を通して把握された「事実」よりも優先。
●番組は「事実に基づ」かず、「公正」さに欠けた「過剰な演出」となり、「一方に偏るなど視聴者に誤解を与え」るだけでなく、そのことによって取材に協力してくれた「個人」と、南大東島に暮らす人たちの「名誉を傷つけ」るような素地が作られていった。
●ここには、制作者は取材協力者との関係をどう考えるのか、という問題がある。
●島民たちの現実を置き去りにし、事実から遊離した過剰な演出となり、視聴者に誤解を与えるだけでなく、島民たちの名誉を傷つけるものとなった。
●制作体制の緩みがなかったか、編集・演出の手法に独断がなかったか、制作者と出演者との意思の疎通に問題がなかったか等、番組の原点に立ち返って再点検していただきたい。
・・・・これらの「意見」は、ごく真っ当なものであり、BPOに賛成したい。
ただ、その上で、意見書では分からなかった部分が一点ある。
沖縄地方で見られる局は、NHK、NHK教育、琉球放送(TBS系)、沖縄テレビ(フジテレビ系)、琉球朝日放送(テレ朝系)の5つだ。
テレビ東京の番組は、基本的には見られないのである。
もしも制作者たちが、「取材した現地の人たちは番組を見ることはない(見られない)」ことを前提に、いや、そのことを隠れ蓑に、自分たちにとって都合のいい、事実とは異なる内容を伝える番組作りを行ったのであれば、さらに悪質だ。
その辺りについてのヒアリングがあったのかどうか。
いずれにしても、「またもや制作会社」というのが、制作会社出身の私としては残念でならない。
放送されている番組の多くに制作会社が関わっているのだから当然、という言い方も出来るだろうが、最近のテレビ局の不祥事のほとんどが“制作会社がらみ”で起きている現実は無視できない。