インタビュー出演した、25日の『TBSレビュー』。
オン・エアを見て、いいと思ったのは、BPO(放送倫理・番組向上機構)の「若きテレビ制作者への手紙」を、番組キャスターの木村郁美アナウンサーが“朗読”していたことだ。
テロップで文字を出すだけでなく、じっくりと読み上げてもらったおかげで、視聴者にその内容がきとんと伝わってきた。
スタジオには、「手紙」を執筆した、BPO放送倫理検証委員会委員で作家の重松清さん。
文章も分かりやすかったが、その解説も聞きやすかった。
何より、この手紙に、制作の「現場」にいる人たちに対する“応援”“声援”という意味が込められていることが理解できた。
ただ、ひとつ気になったのは、番組内で木村アナがしていた、BPOが審議した事案の説明。
3つのうち2つが毎日放送の「イチハチ」(すでに打ち切り)で起きたものだ。
この番組は確かに毎日放送の制作だが、関東の視聴者はTBSで見ていたわけで、「ウチは毎日放送が作ったものを流しただけなので関係ない」とは言えない。
言っていないけど(笑)。
毎日放送とTBSの関係や放送責任について、ひと言あってもよかったのではないか。そんな風に思った。
私のインタビューは、全体の終盤に登場。
使われていた談話を採録すると、ざっと以下のようなものでした・・・・
この「手紙」に書かれていることは、実はテレビの制作者にとっては基本中の基本なんですよね。もっと言えば、基本以前のことかもしれません。
だけども、あえてそれを書かなければいけない、言わなければならない現状が今のテレビなのではないか。
たぶん、そういう風に、書いた方も考えたんじゃないかな、と思います。
ものすごく乱暴な言い方をすれば、「制作現場の劣化」ですよね。
今、番組を作る時に、いろんなハードルがあります。
制作期間が短い、時間がない。お金がない、予算が少ない。人手が足りない。知恵が出ない。いろんなことがあります。
しかし、それは今までのテレビの歴史の中でも変わらなかったことで。
もちろん、「今が一番大変だ」と言われれば、そうかもしれませんが、作るものが「こんなもんでいいじゃないか」という所に陥っているのではないか。そんな気がするんですよね。
一旦、自分たちでハードルを下げてしまったら、どこまでも堕ちていきます。
そこでギリギリ踏ん張れるかどうかが、作り手の一番大事なところなんですが、その部分のストッパーが効かなくなっているような。
特に若い人たち、若い制作者の人たちが、何を以って自分を維持するのか、分からなくなっているんじゃないか。
やはり3月11日の大震災が契機になったと思うのですが、世の中の気分とか意識が、いろんなジャンルで変わってきています。
テレビも、「3・11以後」のメディアとして、自分たちのことを考えなくてはならない。
存在意義とか、意味とか、そういうものを問われる時代になりました。
そんな中で、これまでと同じように、「ま、こんなもんでいいだろう」「時間もないし、お金もないし」「笑ってもらえばいいや」「可笑しければいいや」というだけでは、これからのテレビはやっていけない。
そういう時だからこそ、制作現場の一人一人に、この手紙が読まれるべきだし、内容について、ぜひ考えてみて欲しいです。
・・・・インタビューVTRが終わり、スタジオに戻った際、重松さんが「手紙の背後にあるものまで指摘してもらった」と話していらしたのが、嬉しかったです。
「手紙」はBPOのサイトで読むことが出来ますので、興味のある方はぜひ、ご一読ください。
「若きテレビ制作者への手紙」
http://www.bpo.gr.jp/kensyo/decision/011-020/012_k_letter.pdf