碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

AKB48「大握手会」in 幕張メッセ

2011年09月12日 | テレビ・ラジオ・メディア

日曜日、高校生の息子は例によって学校でバスケ部の練習だった。

ただ、いつもと違うのは、練習終了後、幕張へとすっ飛んで行ったことだ。

AKB48の「大握手会」である(笑)。

聞けば、今回はAKB、SKE(名古屋)、NMB(大阪)など、ほぼ全員集合のビッグイベント。

参加者は軽く1万人を超え、幕張メッセは満杯だったそうだ。

息子はAKBのサッシーこと指原莉乃サンと、SKEの小木曽汐莉サンのファンで、二人としっかり握手をしてきたようだ。

CDを購入して握手券を手に入れるわけで、熱烈なファンは1人のメンバーにつき何枚も買い集める。

1枚の握手券では10~15秒しか握手できないが、4~5枚持っていれば1分間は“独占”できるからだ。

会場には、そういう猛者がわんさといたそうだ。

いやあ、すごいビジネスである(笑)。


『朝日新聞』で、最近の「重いドラマ」について解説

2011年09月12日 | メディアでのコメント・論評

先週末の朝日新聞に、最近のドラマに関する記事が掲載された。

「重いドラマ、あえて 突破口求め 作り手挑戦」と題されたこの記事で、解説をさせてもらっている。

確かに、ここしばらく、フジテレビ「それでも、生きてゆく」、TBS「生まれる。」、テレ東の月曜22時のシリーズなど、「重いドラマ」が同時多発風に登場してきた。

小見出しには、「定型飽きられ」「有料配信意識」などとある。

特にテレ東の社会派シリーズは、4作目となる今回の「IS」で、いったん店じまいするようだが、まさに“挑戦”だったと思う。

私としては、制作陣に「おつかれさま」と言いたい。

そして、いずれまた復活させて欲しいものだ。

記事の最後のほうに私のコメントが置かれています。


重いドラマ、あえて 
突破口求め 作り手挑戦


重いドラマが、民放で増えてきた。社会問題をテーマに、脚本や映像は上質だが、視聴率はいま一歩という点で共通する。ドラマでの大ヒットが難しい時代に、突破口を求める作り手の試行錯誤のようだ。背景に3・11後の意識変化を指摘する声もある。

殺人事件の被害者家族と加害者家族が接点を持ったら――。フジテレビ系で放送中の「それでも、生きてゆく」が示すのは答えのない問いだ。設定は、神戸連続児童殺傷事件を思わせる。坂元裕二の書き下ろし脚本、永山耕三らの演出。展開は息をのみ、作り込まれた映像は美しい。

「新しいドラマのあり方の一つとして社会派に挑んだ」と、フジテレビの石原隆ドラマ制作担当局長。ただ、視聴率は初回10.6%、9月1日は10.1%だが(いずれも関東地区、ビデオリサーチ調べ。以下同)、ほかは7~9%台で、「厳しく出た」とみる。
  

■定型飽きられ

石原さんは、社会派ドラマが増えてきた理由を二つ挙げる。一つは「内容の定型化に視聴者が飽きてきた」。もう一つは、「プロデューサー主導のドラマ作りが壁にぶつかっている」ことだ。

企画と予算を握るプロデューサーは内容とビジネス双方に目配りできるが、過去の成功例を踏襲しがちで企画の幅が狭くなる面もある。対して、「それでも――」は坂元の構想が出発点になったクリエーター主導型だという。

TBS系で4~6月に放送された「生まれる。」も、脚本家の鈴木おさむがTBSに持ちかけた。母親の高年齢出産と4人きょうだいの絆を描き、ダウン症児が子役で出演したことも話題になった。

「子供を授かるのも、生まれるのも、成長するのも奇跡だと伝えたかった。たまにはこういう“考えるドラマ”があってもいい」と鈴木早苗プロデューサー。平均視聴率は10.3%だったが、「悲観的な数字ではない」。ターゲットにした35歳以上の女性をつかんだため、スポンサーの反応も好意的だったという。
  

■有料配信意識

テレビ東京系は昨年10月から月曜夜10時に社会派ドラマを放送してきたが、視聴率低迷で今月打ち切り、経済番組に衣替えする。

この枠では3カ月ずつ4作のドラマを放送してきた。刑務官と死刑囚の交流を描いた「モリのアサガオ」、小児外科の課題に切り込む「最上の命医」、レイプや妊娠も織り込む学園もの「鈴木先生」、男でも女でもない性を取り上げた放送中の「IS」だ。

テレビ東京の福田一平編成部長は「有料オンデマンド配信を視野に入れ、企画で差別化を狙った」。だが視聴率は4~2%台止まり。「作品の勝負に勝って、視聴率という試合に負けた」とこぼす。

   
■大震災も影響

上智大学の碓井広義教授(メディア論)はテレビ東京のドラマを「シナリオ、映像、配役で意気込みを見せた」ブームの火付け役と評価する。一方、最近「家族」を扱う作品が目立つことに、東日本大震災の影響をみる。

「出演者も視聴者も生き方や価値観を無意識のうちにとらえ直し、一番身近な共に生きていく者を描きつつ、重い作品という挑戦を受け入れる素地ができたのでしょう」


かつては視聴率30%を超えるドラマもあったが、近年は「15%で万歳、20%超はめったにない」(民放関係者)。社会派ドラマはそんな状況に風穴を開ける動きといえる。ただ、劇場ではなくお茶の間で見るテレビは、内容が重いと視聴率に響く側面もあるようだ。(星野学)

(朝日新聞夕刊 2011.09.10)