W杯、日本がカメルーンに1-0で勝った。
いやあ、最後まで観ちゃいました。
とにかく1度は勝たせてあげたかったから(笑)、よかった、よかった。
さて、『日刊ゲンダイ』での連載コラム「テレビとはナンだ!」。
今週は、日本テレビの連続ドラマ「Mother」について書いた。
この春のドラマでは、NHK「チェイス」とならぶ秀作だと思う。
シナリオが、どちらも坂元裕二というのも驚きだ。
見出し:
佳境に入った「Mother」の子役・芦田愛菜が凄い
コラム本文:
日本テレビの連続ドラマ「Mother」が佳境に入っている。
家庭内で虐待されていた少女(芦田愛菜)と、彼女を救おうと連れ出した女教師(松雪泰子)の逃亡劇だ。
先週、松雪がついに逮捕され、二人は離れ離れとなってしまった。
刑事たちに退路を断たれた松雪はその場に崩れ落ち、本当の我が子のように少女の名を絶叫。
少女のほうも泣きながら警察の車に追いすがる。
あらためてタイトルを思い出させる愁嘆場であり、大きな見せ場だった。
このドラマ全体は児童虐待だ、二人の母だという話だから、もちろん暗い。そして重い。
視聴率も平均12.3%と決して高くはない。
しかし、なぜか目が離せないのだ。
それは坂元裕二のシナリオが、一見いわゆる社会派ドラマのようでいて、そこに収まらないものを含んでいるからだ。
このドラマには実に多くの「母」が登場する。
少女の虐待母(尾野真千子、好演)、松雪の実母(田中裕子、巧演)、育ての母(高畑淳子)、妊娠した妹(酒井若菜)、そして疑似母としての松雪本人。
それぞれの“母なる証明”が見どころだ。
いわば、“母であること”をテコにして自分自身を発見していく女たちの物語なのである。
加えて、マザー軍団にたった一人で立ち向かう芦田愛菜の演技が凄い。
その天才子役ぶりが見られるのも、あと2回だ。
(日刊ゲンダイ 2010.06.15付)