碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

北海道新聞で、「通販番組」についてコメント

2012年02月18日 | メディアでのコメント・論評

先日取材を受けた、「通販番組」に関する記事が、北海道新聞に掲載されました。

「通販番組」はCMではなく、文字通り「番組」として扱われている。

CMは視聴者の消費行動を刺激するだけだ。しかし、CMの総量は放送法の規制を受けている。

一方、通販番組は視聴者に直接、物を売っているわけだが、その量は規制されていない。やろうと思えば、好きなだけ流すことが可能。

その利便性や必要性を踏まえた上で、全体とのバランス、つまり通販番組の「割合」が気になるのだ。


TV通販番組 道内多め
5局の平均割合8.2% 東京は6.1%

「通販番組が多い」との視聴者からの批判を受け、総務省は昨年、テレビ局に番組ジャンル別の放送時間公表を義務付けた。その結果が昨年末、初めて公表された。

道内民放5局の「通販番組」比率は平均8.2%。東京のキー局の同6.1%よりも高かった。また、全国で見られるBS局のうち主要5局は同32.5%に達した。

道内各局は「通販番組は買い物が不便な地域の人にとって欠かせない」と話すが、専門家からは「公共の電波であり、現状は多すぎる」との指摘も出ている。

放送局「買い物弱者に必要」
専門家「公の電波、5%以下」


放送倫理・番組向上機構(BPO)によると、「どのチャンネルをつけても通販番組ばかりだ」などの苦情や意見は2003年ごろから増え始めた。

こうした声を受け、総務省は昨年3月施行の改正放送法で、各局に番組を「教養」「教育」「報道」「娯楽」「通販」「その他」に分類し、毎月第3週分の放送時間を半年ごとに公表するよう義務付けた。

今回公表されたのは、昨年7~9月の3ヶ月分。道内民放5局が公表したデータから、CMを除いた総放送時間に占める通販番組の割合を計算すると、最も高いのがTVHの10.8%で、HBC9.5%、STV8.1%、HTB7.9%、UHB4.8%と続いていた。

東京のキー局ではテレビ東京の12.5%が最も高く、フジテレビの2.2%が一番低かった。BS局のうち東京のキー局系列5局では、BS日テレの37.5%が最高で、最低はBS朝日の27.4%だった。

通販番組の比率を規制する法律や規則はなく、同省は「比率が高いか低いかは、各放送局や視聴者が判断すること」としている。

通販番組を道内各局はどう位置づけているのか。TVHは「買い物に不便な地方の人にとって欠かせない存在」、HBCも「今後も相応の需要が見込まれる」と面積が広い北海道ならではの必要性を強調。各局とも「番組全体のバランスをとっている」と説明する。

だが、ある道内民放関係者は「通販番組はスポンサーが番組枠ごと買ってくれるので、局としては制作費をかけずに済む。正直、放送すればするほど、もうかる」と本音を明かす。

背景には、長引く不況やインターネット普及による広告費の減収、地デジ化に伴う経費増といった苦しい台所事情もあり、視聴率が高くないBS局の通販番組の比率が高いのも、こうした理由によるところが大きいようだ。

通販番組について上智大学の碓井広義教授(放送論)は、「現状の比率は高すぎる。せめて5%以下にすべきだ」とした上で、「放送局は国から免許を与えられ、公共の電波を使っている。その電波を利用し、店を開いて視聴者に直接物を売っているようなもので好ましくない」と主張する。

稚内北星学園大学の張江洋直教授(メディア論)は時間数よりも内容に注目する。「15分や30分という長い時間をかけて情報番組のような内容を流し、最後に商品を宣伝して購入を促すケースがある」として、番組中に広告であることを明確に示す必要があると指摘している。

(北海道新聞 2012.02.15)


日刊ゲンダイで大河ドラマ「平清盛」について再びコメント

2012年02月17日 | メディアでのコメント・論評

『日刊ゲンダイ』で、NHK大河ドラマ「平清盛」について、再びコメントしました。

なんだか大変なことになっているようで・・・・


NHK大河存続の危機
平清盛 視聴率たったの13.3%

「もう、限界」――先週の放送で見切りをつけた人も多いのではないか。NHK大河ドラマ「平清盛」の第6回の平均視聴率が13・3%(ビデオリサーチ調べ=関東地区)まで急落したのだ。

歴代ワースト3という低い視聴率(17・3%)でスタートした同作。第5回の16・0%から2・7ポイントの大幅下落で、2ケタ割れも現実味を帯びている。

まさか人気の海賊冒険マンガをパクったわけじゃないだろうが、北海道生まれの芸人・加藤浩次が「俺は海賊王になる」と下手な関西弁で話し、唐突に清盛の家来になるご都合主義。NHKは放送前日、流血まみれの迫力ある海戦シーンだとアピールしていたが、完全にズッコケた。

上智大教授の碓井広義氏(メディア論)がこう言う。

「日本人が想像する戦いのシーンといえば、戦国時代のそれ。今回の肉弾戦は“ただの混乱”にしか見えませんでした。

関西弁も含め、当時の様子を忠実に再現しているかもしれませんが、視聴者置き去りの演出が目立ちます。巨大な宋船を造り、大河史上最大規模の海上ロケだそうですが、作品そのものがまさかの沈没寸前では報われないでしょう」


制作側は真っ青で、早くもテコ入れ策が検討されているという。

「寝屋のシーンなど、お色気強化がウワサされています。NHKにとって大河の失敗は許されない。制作費は1本当たり約6000万円です。外部スタッフをほとんど使わないでこの水準。内部スタッフの人件費も加えれば1本当たり1億円を軽く超えます。

外部スタッフの人件費を含めて4000万~5000万円で制作する民放の倍以上はコストをかけているのです。むろん、原資はわれわれが払う受信料。だれも見ないようなドラマに大金をかけていると、『払う必要があるのか』という声が強まりかねません」(テレビ関係者)

大河50周年の節目が、ひょっとすると……。

(日刊ゲンダイ 2012.02.16)


・・・・この回で特に、「え、そうなの?」と違和感をもったのは、あの関西弁ですね(笑)。



<このブログ内での関連記事>

『日刊ゲンダイ』で、大河ドラマ「平清盛」についてコメント 
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/1deeba5e7a405a477f977d8f0ab25da7

「妄想捜査~桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」は、 もうひと頑張り

2012年02月16日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載中の番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週の掲載分では、テレビ朝日の深夜ドラマ「妄想捜査~桑潟幸一
准教授のスタイリッシュな生活」について書きました。


バカバカしいドラマほど
本気で作るのが鉄則なのに・・・

今期のドラマも警察物やサスペンスが目立つが、少し変わったテイストなのが「妄想捜査~桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」(テレビ朝日)だ。

まず千葉県の片田舎にある「たらちね国際女子大学」に赴任してきた准教授(佐藤隆太)というくだらない設定が笑える。

しかも桑潟には妄想癖はあっても推理力などない。妄想から生まれるトンデモ行動が結果的に事件を解決するというコミカルタッチな探偵ドラマなのだ。

先日の桑潟は、“たらちね”の語源にもなっている地元名士の「垂乳根家」の家督問題に巻き込まれ、妄想が原因で崖からジャンプして危うく死にかけた。

また商店街ではいきなり通行人と一緒に踊りだしたり。必然性がほとんどないのに、歌って踊るシーンがほぼ必ず出てくるインド映画みたいなのである。

こういうバカバカしいシーンほど本気で作るのが鉄則。でないと視聴者はついてきてくれない。

その意味では佐藤も制作陣もよくやっているが、肝心の妄想がイマイチ。見ている側の意表を突くようなインパクトがなく、失笑に終わってしまうのが残念。

さらに惜しいのは主人公をサポートするミステリー研究会の女子学生たち(桜庭ななみ・倉科カナ)が魅力的に見えないこと。

おバカな女子大生がバカみたいに騒いでいるようにしか見えず、深夜ドラマなのに色っぽさがさっぱり感じられない。原作にあるファッションや恋愛話が出てこないのも消化不良の印象がする。もっと見せ場を作ったらいいのにと思う。

(日刊ゲンダイ 2012.02.15)

産経新聞で「運命の人」についてコメント

2012年02月15日 | メディアでのコメント・論評

時代再現は「ディテール勝負」
ドラマ「運命の人」実在の人物がモデル 

沖縄返還密約をモチーフとしたTBS系ドラマ「運命の人」(日曜後9・0)。重厚な演出と昭和40年代の巧みな再現に加え、最近は登場人物のモデルとされる読売新聞の渡辺恒雄グループ本社会長(85)が抗議の文章を週刊誌に寄せるなど、話題性が高まっている。プロデューサーの瀬戸口克陽(かつあき)氏(38)に舞台裏を聞いた。(織田淳嗣)


原作は平成21年に刊行された山崎豊子さん(87)の同名小説。毎朝新聞の政治部記者、弓成亮太(本木雅弘)は、外務省事務官、三木昭子(真木よう子)が提供した情報をもとに、沖縄返還をめぐる密約を追及する。しかし、機密漏洩をそそのかした罪で逮捕され、妻の由里子(松たか子)も巻き込んでスキャンダルに翻弄されていく。

時代の再現について、瀬戸口氏は「ディテールで勝負した」という。たとえば言葉遣い。妻たちは夫に敬語を使い、男性の言葉遣いも砕けていない。「台本の段階でも現場でも、語尾については深く試行錯誤しました」。

ファッションも硬派で、弓成記者は三つぞろえのスーツにオールバック。由里子はブラウスやカーディガンなど暖色系、昭子の服は対照的に寒色系の色使いだが、「服のラインは現代的な要素も入れました。あまり当時に忠実にすると、古くさくて、自分たちとは関係ないと視聴者に切り離されてしまう」と、微妙なさじ加減を明かす。

一方、家具などの小道具は考証を徹底した。新聞社が舞台なだけに、特に当時の新聞の小さな文字や、紙質、見出しのタッチは忠実に再現。「スタッフが連日国会図書館に通い、顔を覚えられたほどです」

ドラマは昭和46年に実際に起きた事件を基にしており、存命中の人物がモデルだ。一方、創作も絡めているため、渡辺会長が「事実と違う」と抗議するような危うさもはらんでいる。

上智大新聞学科の碓井広義教授(メディア論)は「TBSがこの事件をドラマにできたのは、山崎さんの原作があってのことだろう」と、原作が“クッション”になっていることを指摘。

その上で、「脚本がしっかりしており、原作から一歩踏み出して3人の男女の人間模様を描き、特に当時扱われなかった妻の心情にもスポットを当てているのがいい。登場する政治家にも、良くも悪くも今にはないアクの強さが出ている」と評価している。


(産経新聞 2012.02.14)

ホイットニー・ヒューストンの歌声が

2012年02月14日 | 舞台・音楽・アート
(大学から見た新宿方面)

ここ数日、ラジオでホイットニー・ヒューストンの歌声を頻繁に聴いた。

「ああ、確かにいい曲がたくさんあったなあ」と、しみじみ思う。

亡くなった時に、ここぞという具合に、メディアからその人の曲が大量に流されるのって、まあ追悼なのかもしれないけど、逆にせつなかったりして。

映画「ボディガード」を見直してみたくなる。

そうそう、彼女が亡くなったホテルは、「ザ・ビバリー・ヒルトン」だったんだね。

だからナンだってわけじゃないけど。

ホイットニー・ヒューストン、享年48。

合掌。

大学院入試の実施

2012年02月14日 | 大学

大学院の入学試験を実施した。

今は修士課程を博士前期課程、博士課程を博士後期課程と呼びます。

新聞学専攻の定員は前期課程10名、後期課程が3名。

一日で、筆記試験と口述試験が行われた。

特に、受験生が一人で、全教員と向き合う口述試験は大変だったはず(笑)。

おつかれさまでした。







再放送されたNHK「ネットワークでつくる放射能汚染地図」

2012年02月13日 | テレビ・ラジオ・メディア

昨年5月に放送された、ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」。

文化庁芸術祭のテレビドキュメンタリー部門で、大賞を受賞したことを記念して、昨日(12日)午後、再放送された。

東日本大震災に伴う福島原発事故は、未曽有の放射能災害を引き起こしました。NHKは、放射線観測の第一線で活躍する科学者らと連係し、震災3日後から放射能の測定を始め、被ばくによる人体への影響と土壌汚染への対策のための詳細な汚染地図を作成しました。これは、放射能汚染地図の調査の過程で、原発災害から避難する人々や故郷に残る人々の混乱と苦悩を見つめた2か月の記録です。


・・・・この番組での放射能測定は、原発事故から数日後の3月15日に始まっている。

まだ私たちが、正確なことをほとんど知らされていない頃だ。

原発のすぐ近くの、誰もいなくなった集落を回りながら、高い数値の
環境下で黙々と測定を続けていく科学者たち。

放射能物質が、どのエリアに、どんなふうにまき散らされたのかが、
実によくわかる。

何より、この汚染状況を、政府が地域の住民に伝えなかったことに、
あらためて憤りを感じた。

そして、もうすぐ1年が経とうとしている現在、私たちは何を、どれだけ知らされているのか。

暗澹たるものがある。

この番組、機会あるごとに、何度でも再放送すればいい。





今週の「読んで(書評を)書いた本」 2012.02.13

2012年02月13日 | 書評した本たち

小学館文庫から、山口治子さんの『瞳さんと』が出た。

著者は敬愛する作家・山口瞳さんの奥様だ。

この回想記は、2007年の単行本で読んでいるが、昨年3月に治子さんが亡くなったこともあり、あらためて読み直してみたくなり、購入した。

家の中での、山口さんの“素”の様子が、やはり興味深い。

それから、こちらも大好きな作家・梶山季之さんと山口さんの二人が並んでいる姿を、横から撮った写真が載っており、何度も何度も見返してしまった。


今週の「読んで(書評を)書いた本」は、以下の通りです。
 

佐藤 優 
『野蛮人の読書』 講談社

津田大介 
『情報の呼吸法』 朝日出版社

土田健次郎 
『儒教入門』 東京大学出版会



* 上記の本の書評は、
  『週刊新潮』(2月16日梅見月特大号)
  に掲載されています。

民教協スペシャル「生きることを選んで」を見た

2012年02月12日 | テレビ・ラジオ・メディア

昨日(土)、関東ではテレビ朝日で「民教協スペシャル」が放送された。

民教協こと民間放送教育協会は、「放送を通じて教育の機会均等と振興に寄与することを目的に、昭和42年に文部科学省の認可を受けて設立。それぞれの地域を代表する全国34局の民間放送局で組織され、既存のネット系列を超えて全国をカバーできる民放唯一のネットワーク」だ。

年に1度、スペシャル番組を放送しているが、制作作品は加盟局が提出した企画書を外部審査委員が選考し、決定している。

1999年に放送されたのは、熊本放送が制作した「記者たちの水俣病」だ。

村上雅通さん渾身の1本だった。


今年の民教協スペシャルは山陰放送「生きることを選んで」

難病・筋萎縮性側索硬化症(ALS)の闘病を続ける元テレビ報道記者・谷田人司さん。病が発症後、歩く、食べる、話す、呼吸…と身体の自由を失いながらも、「自由が失われても生きる意味はある」と考え、何とか動く指を使い、そのことを人々に訴え、実践している。彼の闘病と活動にカメラが密着。谷田さんが綴った記録で描くドキュメント。

難病を抱える谷口さん。

身体の自由がどんどん失われていく中で、「生きていていいのか」「生きる意味はあるのか」と自問していく。

途中から、どこか自分に置きかえながら見ていた。

自分が谷口さんの状態になったら、どう思うのか。

どう生きられるのか。

番組は、谷口さんが自分の病気を取材することによって、あらためて「生きよう」と決意するまでを見せてくれた。

しかも一直線の感動物ではなく、悩みや迷いなどとも真摯に向き合っていた。

いいドキュメンタリーでした。

ベン・スティラー主演『ペントハウス』

2012年02月12日 | 映画・ビデオ・映像

映画『ペントハウス』を観た。

ニューヨークのマンハッタンにそびえる65階建てのザ・タワーは、セレブのみが住む超高級マンション。その居住者の望みを満たすサービスを提供しているのが、管理マネージャーのジョシュ( ベン・スティラー)の的確な采配だった。しかし、ある日、ペントハウスに住む大富豪ショウがFBIに逮捕される。証券詐欺の罪を犯し、逃亡を図ろうとしたのだ。しかもショウは自分が捕まることを薄々知りながら、預かっていたザ・タワーの使用人全員の年金を私的流用していた。ジョシュは仲間たちと、ダマし取られた大金を奪い返す決心をする。


「ラッシュアワー」のブレット・ラトナー監督 。

「ナイトミュージアム」の ベン・スティラーが主演。

この人、いいよね(笑)。

「オーシャンズ11」シリーズとか、この間の「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」もそうだけど、チームのメンバーが結束しての“ひと仕事”って、割と好きです。

この映画も、計画実行に至るまでのプロセス(丁寧に描いてある)から、実行中のどきどきまで、十分楽しめた。

そうそう、映画の中で、巨大バルーンのパレードがあって、スヌーピーのキャラたちが、マンハッタンのビルの谷間をふわふわと浮かびながらやって来るシーンがよかった。

ああいうの、日本じゃ見ないもんなあ。

無理に観なくちゃいけない1本ではありませんが(笑)、まさにちょっとした気分転換としては最適です。


取材2件あり

2012年02月11日 | メディアでのコメント・論評
(我が家の梅が咲いています)


新聞の取材を2件受けました。

ひとつは「テレビ通販」について。

現在、通販番組は“情報番組”扱いということになっている。

CMは購買を促すけど、通販番組はまんま売っちゃう(笑)。

ある意味、CM以上にCMなわけで。

でも、番組だからCM制限には引っ掛からない。

今やテレビ局のドル箱になっている通販番組ってどうよ、って話です。

もうひとつは、ドラマ「運命の人」についてだった。

現在1970年代初期が舞台になっているが、この“時代色”をめぐる話でした。

40年前を描くのは、風景であれ服装であれ、結構大変。

「運命の人」は健闘していると思っています。

それを証明しているのが、・・・・てなことを答えました(笑)。



札幌テレビ・佐々木律さんにインタビュー

2012年02月10日 | メディアでのコメント・論評

放送専門誌「GALAC(ぎゃらく)」の仕事で、札幌テレビ報道部デスクの佐々木律さんにインタビューした。

その掲載誌が発売になりました。

「GALAC」でのインタビューは、たしかテレビ朝日社長の早河洋さん以来だ。

今回は、<ギャラクシー・クリエーターズ>というページ。

早河さん、そして佐々木さんもそうだが、当日、予想していた以上の話が聞けたりすると、「ああ、有難い仕事だなあ」と思ったりする。

一本勝負というか、ライブの格闘技というか(笑)、その一回性が面白いのだ。
  

札幌テレビ報道部デスク 
佐々木 律  
経験、人生観、価値観が全部出る仕事


第48回ギャラクシー賞報道活動部門で大賞を受けたのが
「がん患者、お金との闘い2007年~2011年 一連の報道
」だ。高額な新薬。適応されない保険。佐々木たちは、
がん患者・金子明美さんへの長期取材を通じて医療制度
の問題点を探り、ニュース特集やドキュメンタリーなど
50回もの放送を行ってきた。


最初に金子さんと会って、「ドキュメンタリーを作りたい」と言い出したのは後輩記者の勝嶌早苗です。私はデスクをしていて、勝嶌から相談を受けました。当時、社員の女性記者は私たち2人だけでしたし、よく食事をしながらいろんな話をしていましたから、彼女の思いは伝わってきました。

取材を始めて驚いたのは、一般的なサラリーマン家庭が、ごく普通のがん治療を受けるだけで貧困化していく現実です。国の保険制度や民間のがん保険では支えきれない。いくつもの「なぜ?」がそこにありました。

以来、取材は勝嶌が一時営業部に異動した際にも佐々木
が引き継ぎ、復帰するとまた二人三脚の取り組みが行わ
れた。やがて金子明美さんの病状は進み、2010年に亡く
なってしまう。35歳だった。


金子さんは、本当に「ありのまま」をさらけ出してくれました。勝嶌も撮影では苦労しなかったと言っています。明るくてオープン、飛びぬけてざっくばらんな女性でしたが、それだけではなくて「がん患者の現実を知って欲しい、同じことを繰り返して欲しくない」という強い願いがあったのだと思います。

自分が生かされている理由はこれなんだという使命感から、最後までマイクを持って講演を続けていました。ですから、私も勝嶌も自分たちが何かしたというより、金子さんとがん患者の皆さんの思いを伝える一種の伝道者、代弁者だったような気がします。

(以下略)

・・・・ということで、続きを、ぜひ本誌でお読みください(笑)。



          「GALAC」2012年3月号

ドラマと原作

2012年02月09日 | 「東京新聞」に連載したコラム

『東京新聞』に連載しているコラム「言いたい放談」。

今回は、今期のドラマとその原作小説について書いています。


ドラマを読む

今期の連続ドラマには人気作家の“原作もの”が多い。

TBS「運命の人」は言わずと知れた山崎豊子作品。沖縄返還協定の裏に密約があることを報じた毎日新聞の西山太吉記者と、資料を渡した外務省の女性事務官が逮捕された事件がモデルだ。

原作の主人公はドラマで本木雅弘が演じるよりも骨太で泥臭いイメージ。西山本人が書いた「沖縄密約―『情報犯罪』と日米同盟」との併読も面白い。

同じTBSの「ステップファーザー・ステップ」は宮部みゆきが20年前に発表した作品だ。小説の主人公は35歳でドラマの上川隆也より若いだけでなく、性格もライト感覚な泥棒になっている。

またフジテレビ「ストロベリーナイト」は誉田哲也の姫川玲子シリーズ第1作。ドラマにおける竹内結子の姉御風ヒロインもいいが、独特の暗さをまとう小説の姫川もまた“いい女”だ。誉田のもう一つのシリーズ「ジウ」も昨年、テレビ朝日でドラマ化された。

日本テレビ「ダーティ・ママ!」は、「救命病棟24時」などの脚本家・秦建日子(はた・たけひこ)の小説である。映像が浮かんでくる作品だが、ヒロインの丸岡高子を演じる永作博美のビジュアルと強引さは予想以上のインパクトだった。

小説をベースにしていてもドラマはあくまでも独立した創作物。原作との違いを探してみるのも一つの楽しみだ。

(東京新聞 2012.02.08)


・・・・あとは「聖なる怪物たち」(テレ朝)が河原れんの小説が原作だし、「13歳のハローワーク」(これもテレ朝)は村上龍の本(小説じゃないけど)が元になっていますね。


突然ですが、ナイキ ハイパーエンフォーサー

2012年02月08日 | 日々雑感

高校2年生の息子が、ニコニコしながら帰宅した。

“憧れの”バスケットシューズを手に入れたそうな。

この黄色いやつ、「NIKE ZOOM HYPER ENFORCER」っていうんだって。

なんでも、「ハイパーフューズとハイパーダンクのいいとこどり」で出来ており、軽い上に、通気性やサポート性も高い“すぐれもの”だという。

現在、学校が入試の最中で、受験生に対する案内係を担当しており、しかも若干のバイト料が出るらしく、それを当て込んでの購入とのこと。

で、記念にこのブログにアップしておいて、と頼まれた(笑)。

中等部入学以来のバスケ部も、引退まで残り半年となり、貴重な
“現役時代”の最後を、このシューズで元気に過ごすのだそうだ。

ま、よくわからんが(笑)、そういうわけでハイパーエンフォーサー、
「海外限定カラー」の鮮やかさであります。


NHK「地球イチバン」は、大人の“円高還元番組”

2012年02月08日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「TV見るべきものは!!」。

今週は、NHK「地球イチバン」を取り上げました。


こんな“円高還元番組”なら歓迎

円高の影響もあり、「世界!弾丸トラベラー」「アナザースカイ」(ともに日本テレビ)など海外旅行をテーマにした番組が目立つ。

これらの番組、確かに「少し得した気分」になれるが、中高年にはテーマや出演者が若すぎるケースもある。そんな向きにオススメはNHKの「地球イチバン」だ。

先週、旅人・大高洋夫が訪ねたのはノルウェー領のロングイヤービエン。「地球で一番北の町」だ。北極点に近く、一年の半分は太陽が沈まない白夜で、半分は真っ暗なままの極夜。

冬は連日マイナス30度という厳しい環境だが、なんと44ヶ国から人が移り住んできている。理由は、この町が国籍に関係なく仕事と住居さえ確保すれば誰でも自由に住める「フリーゾーン」という場所だからだ。

大高が出会ったのは炭鉱労働者のミラン。クロアチアから逃れてきたセルビア人で、親兄弟を戦争で失った彼は妻と幼い子供を連れて移住したのだ。

そして今、高校生になった息子が自分なりの道を歩もうとするのを、少し寂しく感じながらも応援している。「家族」をめぐる大高との対話には人種を超えた父親の思いがあった。

スタジオには司会の渡辺満里奈と大高、そしてゲストの鳥越俊太郎などがいる。ミラン一家の話題をきっかけにクロアチア紛争の背景に触れるなど、単なる「いい話」で終わせらない演出にも好感がもてた。

こんな“円高還元番組”なら歓迎だ。

(日刊ゲンダイ 2012.02.07)



・・・・・先々週の「地球でイチバンきゅーくつな島」も面白かったなあ。

野球のグラウンドくらいの広さに、1200人が暮らしている島は、まさに共同体。

いや、小さな地球だと思った(笑)。