照る日曇る日第277回
「連帯を求めて孤立をおそれない」という言葉を発した谷川雁が、戦後を代表する天才的な詩人であることは、彼が残したごくわずかな詩篇を読んだ人にはあきらかでしょう。
以下は、もう今では誰もが忘れてしまったある革命家をうたった彼の詩です。
いなずまが愛している丘
夜明けのかめに
あおじろい水をくむ
そのかおは岩石のようだ
かれの背になだれているもの
死刑場の雪の美しさ
きょうという日をみたし
溶岩のやみをみたし
あすはまだ深みで鳴っているが
同志毛のみみはじっと垂れている
ひとつのこだまが投身する
村のかなしい人達のさけびが
そして老いぼれた木と鐘が
かすかなあらしを汲みあげるとき
ひとすじの苦しい光のように
同志毛は立っている 「毛沢東」(引用終わり)
ここには、当の本人もついぞ知らなかった革命家の理想の姿が永遠に詩句として定着されています。限りなく直喩に近い隠喩の巧みな使用が、大きな詩的感興をもたらしているようです。
♪手を振れば車より身乗り出し両手振り返したり神奈川4区長嶋一由 茫洋