あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

家城己代治監督の「姉妹」を見て

2012-04-24 08:24:23 | Weblog


闇にまぎれてbowyow cine-archives vol.230


野添&中原の両ひとみ選手が仲の良い姉妹を共演しています。実際にはおしゃまな後者が背が高くて大人っぽい前者より僅かに年配なのですが、とてもいい配役です。

舞台は昭和30年代の信州松本という設定になっていて、貧乏、病気、痴話喧嘩、労働争議と首切りなどのいろんな挿話が積み重ねられていくのですが、いつも元気で明るく歌をうたって(日共の歌声運動の影響か?)いる愛すべき「ひとみちゃんず」に魅了され、家族の生計を慮った姉が好きな男性を思い切っておんぼろバスに乗ってお嫁入りするラストではじんわりと涙腺が緩んでくるのでした。

ただし結核に冒された家族を見舞いに行った妹が、彼らの悲惨な暮らしに同情するあまり、金持ちで不幸な知り合いの家族を引き合いに出して「きっと悪いことばかりしていたから片輪になった」なぞと口走るのは、当時としても明らかに差別発言。いちおうカトリックという設定になっているから、なおさらのことです。

それにしても昔の女子学生は貧しくとも元気よく挨拶していたようですね。当節の豊かでも元気のない若者とは大違い。きっと今の方が精神的に満たされていないのでせう。


フェルメールの良さが分からぬ男哉 蝶人
コメント
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