小学館版完訳日本の古典「和泉式部日記」「紫式部日記」「更科日記」を読んで
照る日曇る日 第2160回
例の大河ドラマのノリで「紫式部日記」を読んだら意外にも面白かったので、併録されている「和泉式部日記」と「更科日記」も読んでみたら、これは紫式部よりも面白かったが、どこが面白かったのかと聞かれてもちゃんと答えられないので、その代わりに「潜水艦映画と同様に誰の日記でもつまらないものはない」と断言しておこう。
私は本当に紫式部が「源氏物語」を書いたのか疑っていたのだが、冒頭の土御門弟の見事な自然描写を読んで、なるほど彼女が源氏を書いたんだなあ、と納得できた。
「紫式部日記」が紫式部自身の日記であるのに対して、「和泉式部日記」と「更科日記」は、もちろん2人の個人的感懐もたっぷりふくまれているのだが、それ以上に和歌の腕前披露であったり、ちょっとした小説的虚構が混じっていたりするので、そんな通り一遍のダイアリーをはみ出す部分が面白いのである。
そこらへんは、以前読んだドナルド・キーン氏が詳しく解説していたような気がするが、私にはそれらを再読する時間も余裕もない。
「三密」てなんだったっけコロナ忘れてインフルを案ず 蝶人