きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

水のウソ・ホント 6回目 便利さの落とし穴~撥水加工、防水加工

2008-09-02 22:24:14 | 赤旗記事特集
便利さの落とし穴 撥水加工、防水加工など

6回目は、生活の隅々まで入っている、いろんな化学化合物です。

 PFOAはパーフルオロオクタン酸といい、有機フッ素化合物のひとつです。
 2007年5月、「淀川と大阪付近在住者の血中から、発がん性が疑われる高濃度のPFOAが検出された」と報じられ、不安を覚えた住民からの電話が水道部局に殺到しました。実際は1リットル中、数10ナノグラム(10億分の1以下)で、「高濃度」とは大げさだったのですが。
 PFOAは沸騰で除去できず、活性炭ろ過でも完全な除去は期待できません。生物による分解も不可能という厄介もの。テフロンなどフッ素樹脂を製造するとき乳化剤として使われます。
 類似した有機フッ素化合物が、撥水(はっすい)加工衣料、食品包装紙(ポップコーン、ハンバーガー等)に使われており、これらの物質が体内で変化してPFOAになると推定されます。
 食品の包装紙などに含まれる有機フッ素化合物濃度については、淀川レベルの一億倍程度も検出された例があり、食品への移行も確認されました。生活スタイルによっては、水よりも食品由来の汚染が断然多くなりそうです。
 撥水加工された布類、家庭で手軽にスプレーしてできる防水、紙容器のまま火にかけて作るポップコーンなど、便利な製品が数多く開発されました。しかし、一度立ち止まって考える必要も。
 オゾン層を破壊し、生物の生存に有害な紫外線を増加させる原因となったのもフッ素化合物です。フッ素自身は水銀やカドミウムのような強い毒性はありませんが、新しい化合物の開発には慎重さが必要だと思います。

(近畿水問題合同研究会会員 中村寿子)
(つづく)

水のウソ・ホント 5回目 海洋深層水 効能あるの?

2008-09-02 22:17:22 | 赤旗記事特集
海洋深層水 効能あるの?
5回目は”海洋深層水” 流行っているが、本当に効能があるのでしょうか?


 海洋深層水が人気です。深いといっても1万メートル以上の深さがある海のせいぜい300メートル程度ですが。高知県のホームページに、種々の研究成果と用途が記述されています。
 プランクトンや雑菌が少なく、人間由来の汚染物質もないので、各種海産生物の養殖に好適だそうです。ミネラルを取り除いて真水を作るときも、フィルターが長持ちするとか。これらには納得。着想がよかったと思います。
 しかし、別のホームページの、「飲むと健康によい。豊富なミネラルが含まれる」となると、まゆつばです。海水は塩辛くてそのまま飲めません。真水にするには逆浸透膜などの特別な膜を通します。海水には、塩素イオン、硫酸イオン、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、臭素など、さまざまな元素・化合物が溶けており、ホウ素、鉄、銅、鉛、ヒ素、カドミウムなども、ごく微量含まれています。これらを膜で取り除くと純水に近くなり、「豊富なミネラル」とは言えません。逆に、取り除く割合が少なければ人体にとって不必要な元素も残ります。
 「濃縮された深層水を水道水に加えて飲んだり皮膚に塗ったりすると、病原菌抑制や血流内の酸素の活性化に役立つ」とは、理論的にも説明できませんし、動物での検証もされていません。深い海の底から汲み上げた水というと夢がありますが、特別な効能を期待しないことです。

(近畿水問題合同研究会会員 中村寿子)
(つづく)