便利さの落とし穴 撥水加工、防水加工など
6回目は、生活の隅々まで入っている、いろんな化学化合物です。

PFOAはパーフルオロオクタン酸といい、有機フッ素化合物のひとつです。
2007年5月、「淀川と大阪付近在住者の血中から、発がん性が疑われる高濃度のPFOAが検出された」と報じられ、不安を覚えた住民からの電話が水道部局に殺到しました。実際は1リットル中、数10ナノグラム(10億分の1以下)で、「高濃度」とは大げさだったのですが。
PFOAは沸騰で除去できず、活性炭ろ過でも完全な除去は期待できません。生物による分解も不可能という厄介もの。テフロンなどフッ素樹脂を製造するとき乳化剤として使われます。
類似した有機フッ素化合物が、撥水(はっすい)加工衣料、食品包装紙(ポップコーン、ハンバーガー等)に使われており、これらの物質が体内で変化してPFOAになると推定されます。
食品の包装紙などに含まれる有機フッ素化合物濃度については、淀川レベルの一億倍程度も検出された例があり、食品への移行も確認されました。生活スタイルによっては、水よりも食品由来の汚染が断然多くなりそうです。
撥水加工された布類、家庭で手軽にスプレーしてできる防水、紙容器のまま火にかけて作るポップコーンなど、便利な製品が数多く開発されました。しかし、一度立ち止まって考える必要も。
オゾン層を破壊し、生物の生存に有害な紫外線を増加させる原因となったのもフッ素化合物です。フッ素自身は水銀やカドミウムのような強い毒性はありませんが、新しい化合物の開発には慎重さが必要だと思います。
(近畿水問題合同研究会会員 中村寿子)
(つづく)
6回目は、生活の隅々まで入っている、いろんな化学化合物です。

PFOAはパーフルオロオクタン酸といい、有機フッ素化合物のひとつです。
2007年5月、「淀川と大阪付近在住者の血中から、発がん性が疑われる高濃度のPFOAが検出された」と報じられ、不安を覚えた住民からの電話が水道部局に殺到しました。実際は1リットル中、数10ナノグラム(10億分の1以下)で、「高濃度」とは大げさだったのですが。
PFOAは沸騰で除去できず、活性炭ろ過でも完全な除去は期待できません。生物による分解も不可能という厄介もの。テフロンなどフッ素樹脂を製造するとき乳化剤として使われます。
類似した有機フッ素化合物が、撥水(はっすい)加工衣料、食品包装紙(ポップコーン、ハンバーガー等)に使われており、これらの物質が体内で変化してPFOAになると推定されます。
食品の包装紙などに含まれる有機フッ素化合物濃度については、淀川レベルの一億倍程度も検出された例があり、食品への移行も確認されました。生活スタイルによっては、水よりも食品由来の汚染が断然多くなりそうです。
撥水加工された布類、家庭で手軽にスプレーしてできる防水、紙容器のまま火にかけて作るポップコーンなど、便利な製品が数多く開発されました。しかし、一度立ち止まって考える必要も。
オゾン層を破壊し、生物の生存に有害な紫外線を増加させる原因となったのもフッ素化合物です。フッ素自身は水銀やカドミウムのような強い毒性はありませんが、新しい化合物の開発には慎重さが必要だと思います。
(近畿水問題合同研究会会員 中村寿子)
(つづく)