きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

水のウソ・ホント 9回目(最終回) 琵琶湖の治療

2008-09-07 19:19:44 | 赤旗記事特集
最後は、琵琶湖の水質改善のとりくみです。


 琵琶湖環境科学研究センターによると、植物プランクトンや水草の異常増殖は、湖内で栄養塩や有機物の蓄積があり、それらが湖から除去されず繰り返し利用されているからと考えられています。その背景としては、魚類を含めた生態構造のバランスの乱れがあるとされています。
 具体的な背景の一つが漁業の衰退です。
 周囲から流入してきたリンや窒素は、植物プランクトンに取り入れられ、それらを動物プランクトンが食べ、さらに魚や貝が食べます。その魚や貝を取って人が食べると、リンや窒素は魚や貝の体として湖から取り出されたことになります。漁をしなくなると、魚や貝の体になったリンや窒素は細菌が分解して再び湖水に戻します。
 沿岸部の自然を破壊した琵琶湖総合開発は、漁業の衰退を招き、湖に流入したリンや窒素は取り出されなくなりました。
 一方、アオコ発生を促す大きな要因の一つが温暖化です。琵琶湖で底層の酸素の減少を防いできた自然の営みは二つあります。①冬、雪が降って冷やされた表面の水が重くなって底へもぐり、湖に大規模な垂直の流れが起こる。②春、湖表層に軽く温かい水、底に冷たく重い水と分かれた時期に、周囲の山から流れ込む冷たい雪解け水が湖底へ潜りこむ。これらの現象が酸素の豊富な水を湖底に送り酸欠を防いできました。「琵琶湖の深呼吸」といわれます。
 温暖化で雪が減り、湖表面や川の水が年中温かくなると、湖底への酸素補給が途絶えます。琵琶湖では、近年、湖底の酸素が減少、2007年10月に過去最低の0.3ppmを記録し、12月には琵琶湖にだけ住む魚、イサザが、湖底付近で大量に酸欠死しているのが確認されました。
 琵琶湖の深呼吸を妨害するのは、周囲の河川へのダム建設も同じです。ダムに貯水することで雪解け水の流入が妨げられると、春の酸素補給ができません。
 温暖化や先を考えない大型公共事業が琵琶湖の病状を悪化させてきました。容易ではなさそうですが治療を急ぐ必要があります。

               ◇

 なお、連載③(八月二十二日付)に出てくる曲水酸イオン」は近年、「水酸化物イオン」と言います。また、「マイナス電極に水素イオンが引き寄せられ」とあるのは、「プラス電極付近に」の誤りでした。おわびします。

(近畿水問題合同研究会会員 中村寿子)  (おわり)
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