きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

苦境と模索 眼鏡の里 福井・鯖江① 円高・不況 広がる懸念

2010-12-19 19:32:34 | いろんな取組み
苦境と模索 眼鏡の里 福井・鯖江①
円高・不況 広がる懸念


 国内最大の眼鏡生産の集積地である福井県鯖江市、「眼鏡の里」は、円高に表情を曇らせています。(大小島美和子)
 福井県は国内の眼鏡枠の96%を生産します。その中心が鯖江市です。稲の切り株が残る田んぼの間に大小の眼鏡工場が散在しています。




不況のたびに
 その一つの小さな工場。眼鏡部品の研磨加工を営む業者は、「メーカーがまた加工賃を下げてくるのではないか」と、発注企業からの単価の切り下げを恐れています。20年以上研磨加工してきました。「モノが売れないので、眼鏡の仕事は減っている。これ以上単価が下がるとやっていけない」と言います。産地ではこれまで、景気悪化のたびに下請け単価を引き下げられ、苦しい経営を迫られてきました。今また、円高がこれに拍車をかけます。眼鏡枠のパーツを接合する「ろう付け」に携わるある下請け業者は、低単価に加え、2008年ごろから仕事が急減し、売上高がそれまでに比べ半減しました。給料が払えなくなり、やむなくパート労働者を解雇。家族だけで仕事をし、人が減った分の埋め合わせで経営者が1人で午前2、3時まで働くといいます。「円高で、メーカーが生産の海外移転をさらに進め、われわれのような小さな所は仕事がなくなってしまうのではないか」。経営者の表情は疲れと不安でいっそう曇ります。



ダブルパンチ
 国内外の有名ブランドメーカーから委託受注して生産(OEM)する中堅メーカーは、「打撃は大きい」と警戒します。納品先の欧州企業は、ユーロ安で発生する負担増を抑えようと、納入価格の引き下げを求めてきています。下げ幅は恒常的な受注晶で5~6%。円高・ユーロ安が進めば、さらに低価格の要請も予測されると幹部は頭を痛めます。円高による懸念とともに、同社が憂慮するのは国内景気の低迷です。
 「鯖江の眼鏡は低価格品にはない質の高さが特徴です。消費の低迷から受ける影響はとても大きい。国内景気の底上げをなんとかしてもらいたい」一方、海外と国内の双方に工場を持つ市内最大手のメーカーの幹部も、「円高だと輸入には有利のはずだが、実際のメリットは多くない」と厳しい表情です。円高の分だけ安く輸入・仕入れできても、国内では眼鏡の大手安売りチェーンが「円高還元セール」などと銘打って低価格販売を強化。安売り競争に拍車がかかり、出荷価格は下がるといいます。

市当局も懸念
 プラザ合意(1985年)以来の円高で、生産を国内から海外にシフト(移行)させざるをえなかったとする同社。円高がさらに進行すると海外生産を加速させることも示唆しました。鯖江市の眼鏡産業は、市内工業従業者数の半分、出荷額の4割を占め、税収の2割を稼ぎ出しています。鯖江市商工政策課の中村修一課長はいいます。「私たちの聞き取り調査でも、メーカーに対する生産契約の先送りなど円高の影響は出はじめている」(つづく)

■眼鏡枠の産地・鯖江日本はイタリア、中国と並ぶ世界的な眼鏡の生産国です。鯖江市での生産は、1905年に篤志家増永五左衛門が農閑期の家内工業として普及したのが始まり。1970年代には世界で初めてチタン合金の眼鏡枠製造技術の確立に成功。市内の眼鏡製造関連従業者は5308人、出荷額は761億円にのぼります(2008年)。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2010年12月8日付掲載


日本の技術を守っていくために自治体上げて努力しているんですね。