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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

続・原発の源流と日米関係③ 「核武装」論 原発か“核保有力”か

2011-07-28 20:22:17 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
続・原発の源流と日米関係③
「核武装」論 原発か“核保有力”か


 米国が、原子力発電の燃料である濃縮ウランを提供している同盟国・友好国に対して、使用済み核燃料の再処理を容易に認めない最大の理由は何か。それは、再処理で分離されるプルトニウムが、核兵器の原料になるということです。

核拡散の危機
 とりわけ、日本が原発稼働を本格化した1970年前後は、インドが1974年に核実験に踏み切ったように、核保有5力国以外への核拡散の危機が現実のものとなっていました。
 日本も例外ではありませんでした。外務省が極秘にしてきた内部文書「わが国の外交政策大綱」(1969年4月25日)に、次のような一文があります。
 「核兵器については、NPT(核不拡散条約)に参加すると否とにかかわらず、当面核兵器は保有しない政策をとるが、核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャル(可能性)は常に保持するとともにこれに対する掣肘(せいちゅう)(=妨害)をうけないよう配慮する」
 さらに、同年(1969年)8月29日付の外務省内協議の議事録では、村田良平企画課長が「原子力平和利用については明らかに問題がある。核武装のフリーハンドを持たないことは、一種の国益の侵害である」と主張し、「原子力平和利用」=米国依存の原子力政策よりも、独自の核武装を追求すべきとの考えを示しています。
 原子力委員会の資料によれば、2009年末時点で日本が管理する分裂性プルトニウムは約31トン(核兵器1個あたり4キロと想定した場合、7750個分に相当します。



外務省が長く極秘にしてきた内部文書「わが国の外交政策大綱」(1969年4月25日)

米側の“確信”
 日本が核軍事大国になる潜在能力を有しているのは事実です。しかし、外務省が昨年(2010年)11月、公開した一連の内部文書を見ると、最終的には村田氏のような主張は退けられていました。
 NPT加入の是非を論じた1973年4月20日付文書では、「わが国が少なくとも現段階では核武装する可能性が全く無い」とした上で、核不拡散体制を受け入れるメリットとして米軍の核兵器による「核の傘」の提供に加えて、「平和利用の核物質、原子力産業施設、設備の外国からの確保がより容易になる」ことを挙げています。
 外務省関係者は「核武装すれば米国は濃縮ウランの供給を停止し、原発はとまってしまう。1個や2個の原爆と引き換えに失うものは、あまりにも大きい」と言います。
 日本は、欧州原子力共同体(ユーラトム)を除けば、米国から例外的に核燃料再処理のフリーハンドを与えられている国です。
「重要な決定で常に米国側に立つ」。2009年12月、国際原子力機関(IAEA)事務局長に就任した天野之弥(ゆきや)氏が就任直前、米側にこう語っていたことが内部告発サイト「ウィキリークス」で暴露されました。
 一部右派から「核武装論」が出るものの、全体として日本の原子力政策への支配がうまく機能しているからへ再処理を認めても問題はない―米側は、そんな確信を持っているのではないでしょうか。(つづく)


「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年7月27日付掲載


日本の判断は、アメリカの「核の傘」に入ることによって、「平和利用の核物質、原子力産業施設、設備の外国からの確保がより容易になる」ということ。「外国からの確保」っていいながら実質上はアメリカからの核燃料。アメリカに縛られて原発依存に組み込まれていきます。

日本が核武装するかどうかは別にして(もちろん核武装ってことがあっては決していけません)、アメリカからの圧力を機に原発から撤退するっていう選択肢もあったはずですが・・・。身も心も「安保条約」に縛られた日本政府にとってはそうするしかなかったのでしょうね。