シリーズ 原発の深層 第四部・蠢く(うごめく)利権集団⑦ “39基1兆円”が輸出目標
中米パナマで開かれた気候変動枠組み条約の特別作業部会で、10月3日(日本時間4日)、日本政府は環境保護団体から不名誉な賞を受賞しました。その名も「本日の化石賞」。その日の交渉で、もっとも後ろ向きな発言をした国に与えられます。日本政府は“途上国に原発をつくって削減される温室効果ガスを、日本の排出枠として獲得できるようにしてほしい”と提案したのです。
事故収束なく
東京電力福島原子力発電所事故の収束すらできないのに、原発を輸出しようとする態度は無責任です。なぜそこまで原発輸出にこだわるのでしょうか。
ベトナムヘの原発輸出が決まった直後の昨年11月に行われた政府の新成長戦略実現会議は、原発受注を喜ぶ声に包まれました。三菱総研理事長の小宮山宏氏は、「ベトナムの原子力発電所受注は大変すばらしい成果」と手放しで喜んでいます。この小宮山氏は09年6月から現在にいたるまで、東電の社外監査役です。2200株の東電株も保有しています。新成長戦略実現会議はその名の通り、経済成長を実現するために政府が何をすべきかを議論する場です。当事者が政府の方針をつくっているのです。
政府と一体になって原発受注を目指す企業の狙いは、やはりもうけです。原発が過酷事故を起こした3月以降も、方針は変わりません。
日立は6月に発表した「2012中期経営計画」で、原子力事業の売上高を10年度の1800億円から20年度には3600億円をめざすとしています。
東芝は年次報告書で、佐々木則夫社長が「原子力では、世界的な電力需要の拡大が見込まれる中、2015年度までに39基受注し、売上高を1兆円にする目標」を掲げていると明言しています。
日立本社の入っている日本生命丸の内ビル
もうけのため
三菱重工にいたっては6月の「原子力事業本部事業説明会」で、原発事故以降も「33力国が原子力推進の政策、当社重点顧客はプロジェクト推進を表明」と述べています。年次報告では、「原子力事業は、2011年度2000億円、2012年度4000億円、2014年度6000億円」を目指すと宣言しました。同社原子力本部長の正森滋郎氏は、「(過酷事故を起こした)同発電所を踏まえた経験と技術を全世界に展開することにより、地球温暖化対策、エネルギーセキュリティの確保、電力の安定供給に貢献していきます」と述べています。
しかし、もうけのために原子力事故と放射能の危険を全世界にふりまく「死の商人」ともなりかねません。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年12月7日付掲載
原発事故への反省など、まったくないのでしょうね。まさに「もうけのため」なら何でもアリって感じですね。
中米パナマで開かれた気候変動枠組み条約の特別作業部会で、10月3日(日本時間4日)、日本政府は環境保護団体から不名誉な賞を受賞しました。その名も「本日の化石賞」。その日の交渉で、もっとも後ろ向きな発言をした国に与えられます。日本政府は“途上国に原発をつくって削減される温室効果ガスを、日本の排出枠として獲得できるようにしてほしい”と提案したのです。
事故収束なく
東京電力福島原子力発電所事故の収束すらできないのに、原発を輸出しようとする態度は無責任です。なぜそこまで原発輸出にこだわるのでしょうか。
ベトナムヘの原発輸出が決まった直後の昨年11月に行われた政府の新成長戦略実現会議は、原発受注を喜ぶ声に包まれました。三菱総研理事長の小宮山宏氏は、「ベトナムの原子力発電所受注は大変すばらしい成果」と手放しで喜んでいます。この小宮山氏は09年6月から現在にいたるまで、東電の社外監査役です。2200株の東電株も保有しています。新成長戦略実現会議はその名の通り、経済成長を実現するために政府が何をすべきかを議論する場です。当事者が政府の方針をつくっているのです。
政府と一体になって原発受注を目指す企業の狙いは、やはりもうけです。原発が過酷事故を起こした3月以降も、方針は変わりません。
日立は6月に発表した「2012中期経営計画」で、原子力事業の売上高を10年度の1800億円から20年度には3600億円をめざすとしています。
東芝は年次報告書で、佐々木則夫社長が「原子力では、世界的な電力需要の拡大が見込まれる中、2015年度までに39基受注し、売上高を1兆円にする目標」を掲げていると明言しています。
日立本社の入っている日本生命丸の内ビル
もうけのため
三菱重工にいたっては6月の「原子力事業本部事業説明会」で、原発事故以降も「33力国が原子力推進の政策、当社重点顧客はプロジェクト推進を表明」と述べています。年次報告では、「原子力事業は、2011年度2000億円、2012年度4000億円、2014年度6000億円」を目指すと宣言しました。同社原子力本部長の正森滋郎氏は、「(過酷事故を起こした)同発電所を踏まえた経験と技術を全世界に展開することにより、地球温暖化対策、エネルギーセキュリティの確保、電力の安定供給に貢献していきます」と述べています。
しかし、もうけのために原子力事故と放射能の危険を全世界にふりまく「死の商人」ともなりかねません。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年12月7日付掲載
原発事故への反省など、まったくないのでしょうね。まさに「もうけのため」なら何でもアリって感じですね。