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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

国民犠牲の安倍経済戦略④ 通商政策 TPP11早期発効狙う

2018-06-25 10:23:23 | 経済・産業・中小企業対策など
国民犠牲の安倍経済戦略④ 通商政策 TPP11早期発効狙う
「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2018」は、日本が主導して「21世紀型の新たな経済秩序を世界へ広げる」と豪語しています。それこそ、20世紀に格差と貧困を広げ、矛盾を深めた多国籍大企業本位の通商政策にほかなりません。
「骨太の方針」が日本の主導を強調するのは、環太平洋連携協定(TPP)から米国が離脱した後、残りの11カ国がTPPを実施する新しい協定(TPP11)に署名したことを受けたものです。米国が抜けた後は、日本が盟主だといわんばかりに、TPP11の早期発効をめざすとしています。



TPPを許さないと、国会に向けて抗議する人たち=5月18日、衆院第2議員会館前

米政権に迎合
他方、米国とは経済対話や「自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議」を行うとしています。これらの対話や協議は、TPPから離脱したトランプ米大統領の2国間交渉重視に迎合して、日本側から提起したものです。TPPとは別に、貿易や投資に関わる対日要求の受け皿となるものです。
米国が抜けても、TPPの本質は変わりません。国境を越えて利益を追求する多国籍大企業を優遇し、各国内の農業、地場産業、地域経済、消費者などを守る関税を撤廃・削減し、規制を撤廃・緩和するものです。格差と貧困をなくし、環境を守り、各国の経済主権や食料主権を尊重する互恵・平等の投資と貿易のルールが求められる21世紀の基準には値しません。
TPPなど多国籍大企業本位の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の破綻は、各国で高まる批判を見ても、明らかです。人権問題を担当する国連の特別報告者や専門家は、貧困問題を激化させるなど人権への否定的影響を警告しています。米マサチューセッツ州のタフツ大学世界開発環境研究所(GDAE)のTPP試算は、すべての国で雇用が減少するほか、労働から資本への所得の再分配が進み、労働分配率が低下し、格差がさらに拡大すると指摘しています。

各国で矛盾も
各国での矛盾も広がっています。これまでに、TPP12承認の国内手続きを完了したのは、日本とニュージーランドだけです。TPP11は、メキシコだけです。カナダでは15年10月の総選挙で、TPPを推進してきた保守党が敗北しました。ニュージーランドでも、17年9月の総選挙の結果、TPPを推進してきた国民党が下野しました。今年5月、史上初めて政権交代したマレーシアでは、マハティール新首相がTPP11の再交渉を主張しています。そもそも、米国がTPPから離脱したのも、米国内の反対世論を反映したものでした。
「骨太の方針」はまた、投資関連協定の締結を推進し、企業の海外展開を促進するとしています。20年のインフラシステム受注約30兆円の目標を掲げて、「インフラシステム輸出戦略」を官民一体で進めるとしています。
「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指す安倍晋三政権の通商政策は、他国の多国籍大企業に対して国内の市場を明け渡し、農業、地場産業、地域経済に打撃を与えるだけでなく、多国籍化した日本の大企業の海外展開を後押しして、日本の空洞化を助長する結果を招きます。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年6月23日付掲載


TPP11。アメリカが抜けて日本が盟主になったつもりでも、国境を越えて利益を追求する多国籍大企業を優遇し、各国内の農業、地場産業、地域経済、消費者などを守る関税を撤廃・削減し、規制を撤廃・緩和する本質は変わらない。
21世紀の今、格差と貧困をなくし、環境を守り、各国の経済主権や食料主権を尊重する互恵・平等の投資と貿易のルールが求められます。