けいざい四季報2018Ⅱ ③ 国内経済 アベノミクスで停滞 国民犠牲
①GDPが年0・6%減。個人消費と住宅投資が落ち込む
②大企業の4割が過去6年間で最高益。金融緩和の影響で銀行本業の利益は急減
③安倍政権が骨太方針と未来投資戦略を決定。国民を犠牲にして大企業を支援
日本経済の停滞があらわになっています。内閣府が8日に発表した2018年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、実質で前期比0・2%減。この成長ペースが1年続いた場合の年率換算で0・6%減となりました。
実質GDPを項目別にみると、自動車出荷などが減少し、個人消費が前期比0・1%減となりました。住宅投資も新規着工が減って1・8%減でした。
これら国民生活にかかわる民間需要は17年7~9月期以降、落ち込みが顕著になっています。実質賃金の低迷が個人消費の減退を招き、全体の成長率を押し下げています。大企業の利益を最優先するアベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)によって経済が停滞しています。
輸出は0・6%増でしたが、17年4~6月期が0・1%減、同年7~9月期が2%増など、乱高下を繰り返しています。内需が伸びず外需に揺さぶられる、ぜい弱な日本経済の構造が続いています。
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日立製作所本社前で原発輸出反対を訴える英国の建設予定地の周辺住民ら=5月29日、東京都千代田区
国内経済の主な出来事(4~6月)
大企業は最高益
国民生活が疲弊する一方、アベノミクスによる金融緩和や減税、規制緩和で大企業は潤っています。18年3月期決算を5月18日までに発表した大業1500社のうち、約650社(43%)が過去6回の通期決算の中で最高益をあげました。
電機大手8社のうち東芝を除く7社が本業のもうけを示す営業利益を増やしました。円安による為替差益のほか、事業再編による人員削減で利益が増えました。日立は人員削減と海外企業の合併・買収(M&A)を進め、海外従業員を約5000人増やす一方、国内従業員を約1650人削減しました。
自動車大手7社のうち、ホンダ、日産、スバルを除く4社が営業利益を増やし、スバルを除く6社が税引き後の純利益を増やしました。為替差益や原価改善、米国の法人税減税が主な要因でした。
他方、日銀の「異次元の金融緩和」による超低金利で、銀行本業の利益は急減し、銀行経営が圧迫されています。本業の貸し出しによる業務純益は全国の都市銀行と地方銀行の合計で2・81兆円となり、前年度から5000億円以上も減少。過去10年間のピーク時と比べ、4割近くも落ち込みました。
企業要求を反映
安倍政権は15日に「骨太の方針2018」と「未来投資戦略2018」を閣議決定し、今後の経済戦略を定めました。
19年10月に消費税率を10%に引き上げると明記し、社会保障費の自然増分を大幅に削減し続ける方針を確認しました。
他方、軍事産業の強靭(きょうじん)化を図り、軍事力は強化すると強調しました。公共事業には大都市圏環状道路や国際戦略港湾などの大型プロジェクトを盛り込みました。自動運転やフィンテック(金融テクノロジー)を推進する司令塔として「産官協議会」を設置し、予算や税制・規制改革に企業の要求を直接反映することを決めました。
大企業の利益のために国民生活を犠牲にする姿勢が鮮明です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年6月28日付掲載
大企業は最高益だと言いますが、為替差益によるものが大きい。原発の輸出も安定したものではない。大幅賃金アップ、社会保障の充実で購買力アップが求められています。
①GDPが年0・6%減。個人消費と住宅投資が落ち込む
②大企業の4割が過去6年間で最高益。金融緩和の影響で銀行本業の利益は急減
③安倍政権が骨太方針と未来投資戦略を決定。国民を犠牲にして大企業を支援
日本経済の停滞があらわになっています。内閣府が8日に発表した2018年1~3月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)改定値は、実質で前期比0・2%減。この成長ペースが1年続いた場合の年率換算で0・6%減となりました。
実質GDPを項目別にみると、自動車出荷などが減少し、個人消費が前期比0・1%減となりました。住宅投資も新規着工が減って1・8%減でした。
これら国民生活にかかわる民間需要は17年7~9月期以降、落ち込みが顕著になっています。実質賃金の低迷が個人消費の減退を招き、全体の成長率を押し下げています。大企業の利益を最優先するアベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)によって経済が停滞しています。
輸出は0・6%増でしたが、17年4~6月期が0・1%減、同年7~9月期が2%増など、乱高下を繰り返しています。内需が伸びず外需に揺さぶられる、ぜい弱な日本経済の構造が続いています。
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日立製作所本社前で原発輸出反対を訴える英国の建設予定地の周辺住民ら=5月29日、東京都千代田区
国内経済の主な出来事(4~6月)
4/4 | ネット通販大手アマゾンジャパンが配送料を最大5割値上げ |
4/24 | トルコでの原発建設計画で伊藤忠商事の出資見送りが判明 |
5/8 | 武田薬品工業がアイルランドの製薬大手シャイアー買収で合意 |
5/15 | 三菱UFJ銀行の国内515店舗の2割削減方針が判明 |
5/25 | 対外資産残高が17年末に初めて1千兆円を超したことが判明 |
5/31 | 東芝が米テキサス州での原発計画からの撤退を発表 |
6/4 | 英政府と日立が原発新設計画の交渉入りで基本合意 |
6/11 | 三菱マテリアルの竹内章社長が品質不正で引責辞任 |
6/11 | 10年物国債の取引が今年4度目の不成立 |
6/15 | 大企業支援の骨太方針と未来投資戦略を政府が閣議決定 |
大企業は最高益
国民生活が疲弊する一方、アベノミクスによる金融緩和や減税、規制緩和で大企業は潤っています。18年3月期決算を5月18日までに発表した大業1500社のうち、約650社(43%)が過去6回の通期決算の中で最高益をあげました。
電機大手8社のうち東芝を除く7社が本業のもうけを示す営業利益を増やしました。円安による為替差益のほか、事業再編による人員削減で利益が増えました。日立は人員削減と海外企業の合併・買収(M&A)を進め、海外従業員を約5000人増やす一方、国内従業員を約1650人削減しました。
自動車大手7社のうち、ホンダ、日産、スバルを除く4社が営業利益を増やし、スバルを除く6社が税引き後の純利益を増やしました。為替差益や原価改善、米国の法人税減税が主な要因でした。
他方、日銀の「異次元の金融緩和」による超低金利で、銀行本業の利益は急減し、銀行経営が圧迫されています。本業の貸し出しによる業務純益は全国の都市銀行と地方銀行の合計で2・81兆円となり、前年度から5000億円以上も減少。過去10年間のピーク時と比べ、4割近くも落ち込みました。
企業要求を反映
安倍政権は15日に「骨太の方針2018」と「未来投資戦略2018」を閣議決定し、今後の経済戦略を定めました。
19年10月に消費税率を10%に引き上げると明記し、社会保障費の自然増分を大幅に削減し続ける方針を確認しました。
他方、軍事産業の強靭(きょうじん)化を図り、軍事力は強化すると強調しました。公共事業には大都市圏環状道路や国際戦略港湾などの大型プロジェクトを盛り込みました。自動運転やフィンテック(金融テクノロジー)を推進する司令塔として「産官協議会」を設置し、予算や税制・規制改革に企業の要求を直接反映することを決めました。
大企業の利益のために国民生活を犠牲にする姿勢が鮮明です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年6月28日付掲載
大企業は最高益だと言いますが、為替差益によるものが大きい。原発の輸出も安定したものではない。大幅賃金アップ、社会保障の充実で購買力アップが求められています。