介護 STOP破壊① 現場から(下) 増える自己負担 利用の抑制ますます
ケアマネジャーの藤井裕子さん(46)は「利用者に対して、自分の価値観でなく相手本位の接し方をしないといけない。それがボランティアにできるかは疑問」と話します。盗難や器物損壊が起こった際、責任ある対応が取れるかも問われます。
「何よりボランティアを担う人がいない」と藤井さん。ボランティアに携わるには生活や収入に余裕が必要です。定年後も暮らしを支えるために働いている人は多く、「人が集まらないという地元の声も聞く」といいます。
安倍政権はケアプランの有料化や、利用料2割・3割負担対象者の拡大など国民の負担増を狙っています。
ケアマネジャーの藤井さんと話す附木すみゑさん(左)=千葉県船橋市
年金で足りず
糖尿病やリウマチなどの持病を持ち、要介護2の認定を受けている附木(つけぎ)すみゑさん(83)=千葉県=。足に痛みがあり、室内でも杖(つえ)を使い歩行しています。
1人暮らしの附木さん宅には、生活支援として隔週1回、ヘルパーが掃除をしています。「足が痛くて、立っていられない。転んだら危なくて」と話します。
「窓やカーテンも掃除できずに真っ黒」という附木さん。ヘルパーに依頼することもできますが、保険適用外のため依頼はしていません。「1回いくらってかかっちゃう。年金じゃ足りないものね」
90代の親を70代の子が介護する場合、自身も年金生活者のケースが多くあります。藤井さんは「親にお金を使ってあげたくても、貯金を使い切ってしまうのではという不安から、利用を制限する人はいます」と話します。
安倍政権は2015年に、一定収入以上の人に利用料2割負担を、18年に3割負担を導入。そして、来年の通常国会で2割、3割負担の対象者拡大を狙っています。
週1回のデイサービスだけでも利用料は、1割負担だと1回1500円ほど(食事代含む)ですが、3割負担では1回3300円(食事代含む)に上ります。月4回利用すれば、月額は1万3200円です。ケアプランが有料化されれば、さらに4回の作成につき1400円ほどの負担がのしかかります。
「2割、3割負担の人になると、どうしても利用を控える傾向は強くなります」(藤井さん)
未納者に罰則
介護保険料未納者に対する厳しい罰則規定も問題です。
千葉県船橋市にある八木が谷在宅介護支援センターの泉水玲子センター長は81歳の女性のケースを話します。
女性は認知症を患い、息子と同居。「同じ話を何度も繰り返すなど、家族の介護負担が重く、家庭環境が険悪な雰囲気になり、支援に入りました」
泉水さんはデイサービスの利用を勧めたいと考えましたが、本人は無年金者。介護保険料や国民健康保険料を2年以上滞納していました。介護保険は2年以上滞納があれば、利用料が3割負担になってしまいます。
「世帯収入は息子さんの月20万円ほど」と泉水さん。「無年金で保険料を払えなかった人が、1回3000円前後の利用料を払えるはずがありません」
厚生労働省が9月に発表した17年の介護保険の滞納処分者は全国で1万5998人。過去最多に上ります。
日本共産党は罰則規定の見直しを国会で追及しています。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年11月28日付掲載
今でも介護度がアップして、利用回数が増えると負担が増えるのに、1割負担を2割3割にアップするって。
高齢者から必要な介護を取り上げる無慈悲な行為。
ケアマネジャーの藤井裕子さん(46)は「利用者に対して、自分の価値観でなく相手本位の接し方をしないといけない。それがボランティアにできるかは疑問」と話します。盗難や器物損壊が起こった際、責任ある対応が取れるかも問われます。
「何よりボランティアを担う人がいない」と藤井さん。ボランティアに携わるには生活や収入に余裕が必要です。定年後も暮らしを支えるために働いている人は多く、「人が集まらないという地元の声も聞く」といいます。
安倍政権はケアプランの有料化や、利用料2割・3割負担対象者の拡大など国民の負担増を狙っています。
ケアマネジャーの藤井さんと話す附木すみゑさん(左)=千葉県船橋市
年金で足りず
糖尿病やリウマチなどの持病を持ち、要介護2の認定を受けている附木(つけぎ)すみゑさん(83)=千葉県=。足に痛みがあり、室内でも杖(つえ)を使い歩行しています。
1人暮らしの附木さん宅には、生活支援として隔週1回、ヘルパーが掃除をしています。「足が痛くて、立っていられない。転んだら危なくて」と話します。
「窓やカーテンも掃除できずに真っ黒」という附木さん。ヘルパーに依頼することもできますが、保険適用外のため依頼はしていません。「1回いくらってかかっちゃう。年金じゃ足りないものね」
90代の親を70代の子が介護する場合、自身も年金生活者のケースが多くあります。藤井さんは「親にお金を使ってあげたくても、貯金を使い切ってしまうのではという不安から、利用を制限する人はいます」と話します。
安倍政権は2015年に、一定収入以上の人に利用料2割負担を、18年に3割負担を導入。そして、来年の通常国会で2割、3割負担の対象者拡大を狙っています。
週1回のデイサービスだけでも利用料は、1割負担だと1回1500円ほど(食事代含む)ですが、3割負担では1回3300円(食事代含む)に上ります。月4回利用すれば、月額は1万3200円です。ケアプランが有料化されれば、さらに4回の作成につき1400円ほどの負担がのしかかります。
「2割、3割負担の人になると、どうしても利用を控える傾向は強くなります」(藤井さん)
未納者に罰則
介護保険料未納者に対する厳しい罰則規定も問題です。
千葉県船橋市にある八木が谷在宅介護支援センターの泉水玲子センター長は81歳の女性のケースを話します。
女性は認知症を患い、息子と同居。「同じ話を何度も繰り返すなど、家族の介護負担が重く、家庭環境が険悪な雰囲気になり、支援に入りました」
泉水さんはデイサービスの利用を勧めたいと考えましたが、本人は無年金者。介護保険料や国民健康保険料を2年以上滞納していました。介護保険は2年以上滞納があれば、利用料が3割負担になってしまいます。
「世帯収入は息子さんの月20万円ほど」と泉水さん。「無年金で保険料を払えなかった人が、1回3000円前後の利用料を払えるはずがありません」
厚生労働省が9月に発表した17年の介護保険の滞納処分者は全国で1万5998人。過去最多に上ります。
日本共産党は罰則規定の見直しを国会で追及しています。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年11月28日付掲載
今でも介護度がアップして、利用回数が増えると負担が増えるのに、1割負担を2割3割にアップするって。
高齢者から必要な介護を取り上げる無慈悲な行為。