目でみる経済 ゆがむ日本経済③ 崩壊の危機深まる農業
日本の農業と農村が崩壊の危機を深めています。農業を主に担っている基幹的農業従事者は、30年足らずのうちに半減しました。同時に、耕作放棄地が増え、耕作面積が減少し続けています。農業生産の基盤が弱体化し、低下し続けてきた食料自給率は2018年度に、史上最低の37%まで落ち込みました。
稲刈り=千葉県松戸市
農政に原因
農業生産の自然条件に恵まれた日本で、農業がここまで衰退してきたのは、歴代の自民党政府の農政に原因があります。米国と財界のいいなりに、輸出大企業の利益を優先し、自動車など工業品の輸出で積み上げた対米貿易黒字の見返りに日本の農産物市場を明け渡し、国内の農業を犠牲にしてきたからです。その結果、食料の対外依存が深まりました。不作で米不足に陥った1993年のような事態がいつ起きないとも限りません。
特に、「企業が一番活躍しやすい国」を掲げる安倍晋三政権は、国境を越えて利益を追求する多国籍大企業を最優先する国際的経済連携を推進してきました。環太平洋連携協定(TPP)や日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(日欧EPA)に続き、10月7日には日米貿易協定に署名しました。自動車に対する追加関税を振りかざすトランプ政権の圧力に屈し、米国の農産物のために大々的に市場を開放しょうとしているのです。米ホワイトハウスは同日、「米国の農業者の巨大な勝利だ」と勝ち誇る声明を発表しました。
同声明は、「日本は米国の農産物輸出の約72億ドル(約7800億円)分の関税を撤廃または削減する」としました。安倍首相は10月24日、衆院本会議で、日本共産党の笠井亮議員の質問に対する答弁で、約72億ドル分の関税撤廃・削減を認めました。
続く米要求
しかし、米国の農産物への市場開放は、約72億ドル分にとどまりません。日米貿易協定付属書は、「アメリカ合衆国は、将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求する」としており、米国の市場開放要求は今後も続くのです。(北川俊文)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年11月7日付掲載
日本がアメリカに輸出してる自動車製品と輸入している農生産物。金額で見れば自動車製品の方がはるかに大きい。
問題は、日本の食料自給率や耕地面積が一貫として減少していること。アメリカをはじめ食糧輸出諸外国に食料主権を売り渡していることです。
日本の農業と農村が崩壊の危機を深めています。農業を主に担っている基幹的農業従事者は、30年足らずのうちに半減しました。同時に、耕作放棄地が増え、耕作面積が減少し続けています。農業生産の基盤が弱体化し、低下し続けてきた食料自給率は2018年度に、史上最低の37%まで落ち込みました。
稲刈り=千葉県松戸市
農政に原因
農業生産の自然条件に恵まれた日本で、農業がここまで衰退してきたのは、歴代の自民党政府の農政に原因があります。米国と財界のいいなりに、輸出大企業の利益を優先し、自動車など工業品の輸出で積み上げた対米貿易黒字の見返りに日本の農産物市場を明け渡し、国内の農業を犠牲にしてきたからです。その結果、食料の対外依存が深まりました。不作で米不足に陥った1993年のような事態がいつ起きないとも限りません。
特に、「企業が一番活躍しやすい国」を掲げる安倍晋三政権は、国境を越えて利益を追求する多国籍大企業を最優先する国際的経済連携を推進してきました。環太平洋連携協定(TPP)や日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(日欧EPA)に続き、10月7日には日米貿易協定に署名しました。自動車に対する追加関税を振りかざすトランプ政権の圧力に屈し、米国の農産物のために大々的に市場を開放しょうとしているのです。米ホワイトハウスは同日、「米国の農業者の巨大な勝利だ」と勝ち誇る声明を発表しました。
同声明は、「日本は米国の農産物輸出の約72億ドル(約7800億円)分の関税を撤廃または削減する」としました。安倍首相は10月24日、衆院本会議で、日本共産党の笠井亮議員の質問に対する答弁で、約72億ドル分の関税撤廃・削減を認めました。
続く米要求
しかし、米国の農産物への市場開放は、約72億ドル分にとどまりません。日米貿易協定付属書は、「アメリカ合衆国は、将来の交渉において、農産品に関する特恵的な待遇を追求する」としており、米国の市場開放要求は今後も続くのです。(北川俊文)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年11月7日付掲載
日本がアメリカに輸出してる自動車製品と輸入している農生産物。金額で見れば自動車製品の方がはるかに大きい。
問題は、日本の食料自給率や耕地面積が一貫として減少していること。アメリカをはじめ食糧輸出諸外国に食料主権を売り渡していることです。