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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

けいざい四季報 2022 Ⅳ ④ 経済安保 経済を「武器」に変える

2022-12-28 07:11:49 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報 2022 Ⅳ ④ 経済安保 経済を「武器」に変える
【ポイント】
①岸田文雄政権は「国家安全保障戦略」で初めて経済安全保障の政策推進を明記
②半導体など11分野を「経済安保法」の「特定重要物資」に。巨額支援が狙い
③トヨタ、NTTなど8社が次世代半導体の開発会社を設立。脱中国依存を加速

岸田文雄政権が16日に閣議決定した「国家安全保障戦略」は、米国の対中国戦略に日本を巻き込む「経済安全保障」を初めて位置づけました。

推進体制づくり
国家安全保障戦略は、経済安全保障政策を進める体制づくりをうたいました。
米中対立の主戦場である半導体分野については、大量破壊兵器やミサイルなど軍事転用可能な次世代半導体の開発・製造拠点の整備を行うと指摘。重要な物資や技術を担う民間企業への資本強化や政策金融の機能を強化してサプライチェーン(供給網)での脱中国依存を強める狙いです。
また、機微情報を扱う民間業者や研究者に付与されるセキュリティー・クリアランス(適性評価制度)の創設を検討すると明記。プライバシー侵害や公安調査庁による大学監視の強化など基本的人権を侵害する危険があります。
科学・技術の軍民両用(デュアルユース)化に向け、「先端重要技術の情報収集・開発・育成」のための「支援強化・体制整備」を行うと表明。5千億円規模を見込む内閣府の「経済安全保障重要技術育成プログラム」の活用を掲げました。
投資審査や輸出管理の強化を行うとし、対中国を念頭に14力国が参加する米国主導の「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の具体化など、同盟国・同志国との連携強化を行うとしました。


各国・地域の半導体産業への支援策
米国2022年8月に中国対抗の半導体産業支援法「CHIPS(チップス)法」を成立。5年間で計527億ドルの資金提供。設備投資などには25%の減税等措置
欧州22年2月に半導体の域内生産拡大や研究開発強化を図る「欧州半導体法案」を発表。30年までに官民で計5兆6000億円の投資計画
中国半導体関連技術・産業に対して中央政府5兆円超(14年から)、地方政府5兆円超の基金をつくり大規模投資を実施
台湾台湾への投資回帰を促す補助金等で累計2兆7000億円の投資申請を受理。20年7月に半導体分野に21年までの計300億円の補助金計画
内閣官房「経済安全保障法制に関する有識者会議」(第3回会合、22年10月6日)への内閣官房・内閣府提出資料を基に作成


重要物資11分野
政府は12月20日の閣議決定で、「経済安全保障法」に基づき安定供給を図る「特定重要物資」に半導体など11分野を指定しました。11分野は半導体、天然ガス、蓄電池、永久磁石、重要鉱物、工作機械・産業用ロボット、航空機部品、クラウド、船舶関連機器、肥料、抗菌性物質製剤。半導体については2030年に国内企業の合計売上高で15兆円超を実現すると掲げています。11月末まで意見公募を実施しました。
各国・地域では、半導体分野に大規模な支援策をとっています。日本政府も22年度第2次補正予算で、半導体や液化天然ガス(LNG)など重要物資の安定供給に向けて9582億円を計上。先端半導体には生産基盤の整備基金に4500億円を積み増しました。すでに台湾積体電路製造(TSMC)などの熊本新工場に5千億円近くを補助しており、さらに巨額の資金を投じることになります。
経済産業省は19日、日米が共同で進める次世代半導体の量産化に向けた新たな研究開発拠点の設立を認可しました。研究開発拠点は「技術研究組合最先端半導体技術センター(LSTC)」で、産業技術総合研究所や理化学研究所、東大などが参画します。7月の「日米経済政策協議委員会」(経済版2プラス2)で合意していました。



記者会見する岸田文雄首相=12月16日、首相官邸

脱中国依存推進
11月には、キオクシア、ソニー、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTT、三菱UFJ銀行の8社が出資して次世代半導体の量産製造拠点を目指す新会社「Rapidus」(ラピダス、東京)の設立を発表しました。経産省は700億円の助成を決定。同社はLSTCに参画します。12月には、最先端半導体の「2ナノメートル(ナノは10億分の1)品」について米大手IBMとの共同開発に着手。脱中国依存を進めるとしています。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月23日付掲載


米中対立の主戦場である半導体分野については、大量破壊兵器やミサイルなど軍事転用可能な次世代半導体の開発・製造拠点の整備を行うと指摘。重要な物資や技術を担う民間企業への資本強化や政策金融の機能を強化してサプライチェーン(供給網)での脱中国依存を強める狙い。
11月には、キオクシア、ソニー、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTT、三菱UFJ銀行の8社が出資して次世代半導体の量産製造拠点を目指す新会社「Rapidus」(ラピダス、東京)の設立を発表。経産省は700億円の助成を決定。同社はLSTCに参画。
何周も周回遅れの日本の半導体産業。挽回してほしい気持ちはありますが、かなりのテコ入れが必要ですね。