加速する宇宙軍拡② 国境なき空間 情報収集
2月3日、東京ビッグサイトで開催された「2023国際宇宙産業展」(日刊工業新聞社主催)の会場に、高市早苗宇宙政策担当相の姿がありました。
「宇宙システムというのが経済や社会を支える基盤であると同時に経済安全保障を含む安全保障の観点からも重要性を増している」と述べ、「今年の夏をめどに宇宙の安全保障構想を策定いたします。そして民生分野や科学、探査分野も含めまして3年ぶりに宇宙基本計画を改定して宇宙政策を一層強化していく予定」と発言しました。宇宙領域の軍事利用が急ピッチで進められています。
国際宇宙産業展であいさつする高市早苗宇宙政策担当相=2月3日、東京ビッグサイト
「安全保障基盤」
防衛省が2020年2月、ある資料を公表しました。「防衛省の宇宙分野における取組」と題したこの冊子には、宇宙の軍事利用について次のように指摘していました。
「宇宙空間は国境の概念がなく、人工衛星を活用すれば、地球上のあらゆる地域の情報収集や通信、測位などが可能となるため、安全保障の基盤として死活的に重要な役割を果たしており、各国は宇宙空間を軍事作戦の基盤として利用」
国境のない宇宙空間では、平和的な国際協力こそ求められるものの、軍事利用が進めば、平和と安全が危険にさらされてしまいます。
22年4月、自民党が公表した「安全保障における宇宙利用について」は、「わが国を取り巻く脅威に対応するためには、最新の宇宙技術を適切に活用して警戒・監視能力、指揮・通信能力を強化することが必須」と明記。他国に対する監視システムを強化することを提起しました。さらに「ミサイル防衛のための宇宙システムを早急に整備する」ことを防衛省に求めました。
監視衛星の計画
防衛省は、23年度予算案に、宇宙関連予算として1844億円(契約ベース)を計上しました。22年度予算の2・3倍です。この中には、音速の5倍以上で飛ぶ極超音速滑空ミサイルを探知・追尾する技術開発のための経費として46億円(契約ベース)が盛り込まれています。さらに防衛省は、26年度までに宇宙状況の監視衛星の打ち上げを計画しています。宇宙作戦の運用基盤を強化するため、宇宙作戦指揮統制システムの整備にも注力しています。
22年4月の自民党の提言は、「国家宇宙安全保障戦略(仮称)」を策定することを提起しました。この戦略に盛り込む課題として「脅威対象や戦略目標、戦略的アプローチ、必要となる宇宙システム等を明記」することを挙げています。さらに、「同盟国・友好国にわが国の意思を明確に伝え、防衛力強化のための宇宙の活用を迅速かつ効果的に進める」ことを強調しました。
岸田文雄首相は昨年12月、「安保3文書」を閣議決定。航空自衛隊を改編して航空宇宙自衛隊にするなど宇宙軍拡が加速しています。
(おわり)(金子豊弘が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年2月23日付掲載
最新の宇宙技術を活用して、警戒・監視能力、指揮・通信能力を強化。さらに、ミサイル防衛のための宇宙システムを早急に整備する、と。
23年度予算案には、音速の5倍以上で飛ぶ極超音速滑空ミサイルを探知・追尾する技術開発のための経費として46億円(契約ベース)が。
こちら側で、音速5倍のミサイル配備する計画に備えてってことでしょうか。まさにいたちごっこです。
2月3日、東京ビッグサイトで開催された「2023国際宇宙産業展」(日刊工業新聞社主催)の会場に、高市早苗宇宙政策担当相の姿がありました。
「宇宙システムというのが経済や社会を支える基盤であると同時に経済安全保障を含む安全保障の観点からも重要性を増している」と述べ、「今年の夏をめどに宇宙の安全保障構想を策定いたします。そして民生分野や科学、探査分野も含めまして3年ぶりに宇宙基本計画を改定して宇宙政策を一層強化していく予定」と発言しました。宇宙領域の軍事利用が急ピッチで進められています。
国際宇宙産業展であいさつする高市早苗宇宙政策担当相=2月3日、東京ビッグサイト
「安全保障基盤」
防衛省が2020年2月、ある資料を公表しました。「防衛省の宇宙分野における取組」と題したこの冊子には、宇宙の軍事利用について次のように指摘していました。
「宇宙空間は国境の概念がなく、人工衛星を活用すれば、地球上のあらゆる地域の情報収集や通信、測位などが可能となるため、安全保障の基盤として死活的に重要な役割を果たしており、各国は宇宙空間を軍事作戦の基盤として利用」
国境のない宇宙空間では、平和的な国際協力こそ求められるものの、軍事利用が進めば、平和と安全が危険にさらされてしまいます。
22年4月、自民党が公表した「安全保障における宇宙利用について」は、「わが国を取り巻く脅威に対応するためには、最新の宇宙技術を適切に活用して警戒・監視能力、指揮・通信能力を強化することが必須」と明記。他国に対する監視システムを強化することを提起しました。さらに「ミサイル防衛のための宇宙システムを早急に整備する」ことを防衛省に求めました。
監視衛星の計画
防衛省は、23年度予算案に、宇宙関連予算として1844億円(契約ベース)を計上しました。22年度予算の2・3倍です。この中には、音速の5倍以上で飛ぶ極超音速滑空ミサイルを探知・追尾する技術開発のための経費として46億円(契約ベース)が盛り込まれています。さらに防衛省は、26年度までに宇宙状況の監視衛星の打ち上げを計画しています。宇宙作戦の運用基盤を強化するため、宇宙作戦指揮統制システムの整備にも注力しています。
22年4月の自民党の提言は、「国家宇宙安全保障戦略(仮称)」を策定することを提起しました。この戦略に盛り込む課題として「脅威対象や戦略目標、戦略的アプローチ、必要となる宇宙システム等を明記」することを挙げています。さらに、「同盟国・友好国にわが国の意思を明確に伝え、防衛力強化のための宇宙の活用を迅速かつ効果的に進める」ことを強調しました。
岸田文雄首相は昨年12月、「安保3文書」を閣議決定。航空自衛隊を改編して航空宇宙自衛隊にするなど宇宙軍拡が加速しています。
(おわり)(金子豊弘が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年2月23日付掲載
最新の宇宙技術を活用して、警戒・監視能力、指揮・通信能力を強化。さらに、ミサイル防衛のための宇宙システムを早急に整備する、と。
23年度予算案には、音速の5倍以上で飛ぶ極超音速滑空ミサイルを探知・追尾する技術開発のための経費として46億円(契約ベース)が。
こちら側で、音速5倍のミサイル配備する計画に備えてってことでしょうか。まさにいたちごっこです。