2023年予算案の焦点④ 中小企業・雇用 低賃金の責任 個人への転嫁
中小企業はコロナ禍で過剰債務を抱えた上、急激な物価高に見舞われ、崖っぷちの経営を迫られています。それにもかかわらず政府全体の中小企業対策費は1704億円と22年度当初予算から9億円も減額されました。軍事費を大幅に増額するのとは対照的です。
支援産業を選択
中小企業向け資金繰り支援策である信用保証協会への補助・出資事業は15億円減の35億円にとどまります。円滑な価格転嫁を後押しする「中小企業取引対策事業」へは24億円しか計上されていません。わずかに増額された3億円分は300人体制へ増強する下請けGメンの人件費などに充てます。他方、強力な検査権限を持つ専任の下請代金検査官の大幅な増員はなく、ぜい弱な体制のままです。
一方、先端技術に特化した「成長型中小企業等研究開発支援事業」には28億円増の133億円を計上。企業の合併・買収(M&A)等を支援する「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」には157億円を充てます。成長分野に支援を集中するばかりでなく、現事業を継続できる下支えこそ不可欠です。
雇用の7割を担う中小企業の最低賃金引き上げ支援は既存の「業務改善助成金」を踏襲したにすぎず、予算額はわずか10億円です。22年度補正予算で100億円を充てたものの全体額は削減されました。
物価上昇に見合う賃上げが切望される中、厚生労働省が747億円をかけて推進するのは「賃金上昇を伴う労働移動の円滑化」です。そのうち「労働移動支援助成金」(早期雇い入れ支援コース)へ167億円を計上。11億円だった前年度当初予算から大幅に積み増しました。
賃上げは転職で
岸田文雄政権は「人への投資」を掲げ、5年間で1兆円を「リスキリング(学び直し)」の支援に投じると発表。これを受け厚労省は、学び直しを軸に「成長産業」への労働移動を政策の中心に据えます。目立つのは企業向けの支援策です。
職業訓練を行った企業への「人材開発支援助成金」へ658億円を計上。助成率を引き上げ、新たに「事業展開等リスキリング支援コース」を設けます。出向中の賃金の一部を助成する「産業雇用安定助成金」にはスキルアップ支援コースを新設し、93億円を新規計上しました。
講座受講費などの一部を個人へ支給する「教育訓練給付」には117億円を計上。21億円を増額し、主にデジタル分野の講座を増やします。
低賃金の要因を個人の能力不足と労働市場の硬直化に求め、学び直しを口実に労働者に転職や兼業・副業を促します。労働者個々人が分断され能力主義競争が助長されかねません。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月25日付掲載
雇用の7割を担う中小企業の最低賃金引き上げ支援は既存の「業務改善助成金」を踏襲したにすぎず、予算額はわずか10億円。
岸田文雄政権は「人への投資」を掲げ、5年間で1兆円を「リスキリング(学び直し)」の支援に投じると発表。
要するに、賃金をアップして欲しければ、学びなおして転職しなさいってこと。
根本的には、最低賃金を全国で時給1500円へ。それを保障するために、大企業の内部留保に時限的に課税。中小企業の社会保険料負担への援助で実現。
それが一番現実的。
中小企業はコロナ禍で過剰債務を抱えた上、急激な物価高に見舞われ、崖っぷちの経営を迫られています。それにもかかわらず政府全体の中小企業対策費は1704億円と22年度当初予算から9億円も減額されました。軍事費を大幅に増額するのとは対照的です。
支援産業を選択
中小企業向け資金繰り支援策である信用保証協会への補助・出資事業は15億円減の35億円にとどまります。円滑な価格転嫁を後押しする「中小企業取引対策事業」へは24億円しか計上されていません。わずかに増額された3億円分は300人体制へ増強する下請けGメンの人件費などに充てます。他方、強力な検査権限を持つ専任の下請代金検査官の大幅な増員はなく、ぜい弱な体制のままです。
一方、先端技術に特化した「成長型中小企業等研究開発支援事業」には28億円増の133億円を計上。企業の合併・買収(M&A)等を支援する「中小企業活性化・事業承継総合支援事業」には157億円を充てます。成長分野に支援を集中するばかりでなく、現事業を継続できる下支えこそ不可欠です。
雇用の7割を担う中小企業の最低賃金引き上げ支援は既存の「業務改善助成金」を踏襲したにすぎず、予算額はわずか10億円です。22年度補正予算で100億円を充てたものの全体額は削減されました。
物価上昇に見合う賃上げが切望される中、厚生労働省が747億円をかけて推進するのは「賃金上昇を伴う労働移動の円滑化」です。そのうち「労働移動支援助成金」(早期雇い入れ支援コース)へ167億円を計上。11億円だった前年度当初予算から大幅に積み増しました。
賃上げは転職で
岸田文雄政権は「人への投資」を掲げ、5年間で1兆円を「リスキリング(学び直し)」の支援に投じると発表。これを受け厚労省は、学び直しを軸に「成長産業」への労働移動を政策の中心に据えます。目立つのは企業向けの支援策です。
職業訓練を行った企業への「人材開発支援助成金」へ658億円を計上。助成率を引き上げ、新たに「事業展開等リスキリング支援コース」を設けます。出向中の賃金の一部を助成する「産業雇用安定助成金」にはスキルアップ支援コースを新設し、93億円を新規計上しました。
講座受講費などの一部を個人へ支給する「教育訓練給付」には117億円を計上。21億円を増額し、主にデジタル分野の講座を増やします。
低賃金の要因を個人の能力不足と労働市場の硬直化に求め、学び直しを口実に労働者に転職や兼業・副業を促します。労働者個々人が分断され能力主義競争が助長されかねません。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月25日付掲載
雇用の7割を担う中小企業の最低賃金引き上げ支援は既存の「業務改善助成金」を踏襲したにすぎず、予算額はわずか10億円。
岸田文雄政権は「人への投資」を掲げ、5年間で1兆円を「リスキリング(学び直し)」の支援に投じると発表。
要するに、賃金をアップして欲しければ、学びなおして転職しなさいってこと。
根本的には、最低賃金を全国で時給1500円へ。それを保障するために、大企業の内部留保に時限的に課税。中小企業の社会保険料負担への援助で実現。
それが一番現実的。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます