生成AI 光と影⑤ 企業まかせの日本
日本政府は今月末までにまとめる予定の「AI(人工知能)事業者向けガイドライン」で「公平性」、「透明性」、などの10原則を掲げて、偽情報対策を強化する方針です。ただ、欧州連合(EU)とは異なり法による規制をせず、事業者の自主性にゆだねる方針です。ここにも、巨大IT(情報技術)企業を抱えるアメリカに付き従う日本の姿勢が表れています。
AIが著作物を無断で学習することを認めている現行の著作権法をめぐっては、法改正せずに、例外的に一部を認めないケースとして示す方向です。これには日本新聞協会などから法改正を求める声が上がっています。
2月14日には、新組織「AIセーフティ・インスティテユート」を創設。AI事業者などを認定する機関になる予定です。
M7の一角を占める米半導体大手のエヌビディアの本社=米カリフォルニア州(ロイター)
溝深く協議難航
国連のグテレス事務総長は2026年までに自律型致死兵器システム(LAWS=ローズ)を法的に禁止・制限するように強く要求していますが、協議は難航しています。軍事大国を巻き込んだAI兵器開発国と非開発国の溝が深いからです。
軍縮会議の特命全権大使をつとめていた小笠原一郎氏はローズの規制に関して、「慎重派の一番最右翼にはロシアあるいはインド、イスラエルという国ぐに」「その後ぐらいにアメリカですとか日本」が続いていると答えています(2月7日、参院外交・安全保障に関する調査会)。日本はアメリカとともにローズの規制に消極的です。
生成AIの市場拡大によって、アップル、マイクロソフト、グーグルの親会社のアルファベット、アマゾン、エヌビディア、メタ、テスラのマグニフィセントセブン(壮大な7社=M7)と呼ばれるテクノロジー業界の巨大企業が世界を「支配する」と言われています。
19年にオープンAIと業務提携したマイクロソフトは、AI市場拡大の期待から、1月の時点で時価総額が3兆ドル(約440兆円)を超えました。AI向けの半導体で高いシェアを持つエヌビディアも、時価総額が1兆6000億ドルを超えました。
生成AIの市場が拡大すればするほどアメリカの巨大IT企業がもうかる構図のままでは、これまで以上に、M7の支配力が増していくことになります。
多くのデータを保管するクラウドサービスもM7のアマゾン、マイクロソフトなどのアメリカ勢の寡占状態が強まっています。
かつての石油のように、現代はどれだけ多くのデータを握るかに覇権がかかっています。生成AIのスピードに置いて行かれることのないように、そのリスクを規制する法整備が求められています。
問われる立場性
同時に、国際的なルール作りにどういう立場で取り組むかも問われています。この点で昨年日本が主導した主要7カ国(G7)の声明は、EU、米国、日本などがそれぞれバラバラに対応していることを追認しただけのものです。
EUは生成AIでも覇権を握ろうとしているアメリカの巨大IT企業の横暴を許さないという立場で、幅広いAIを対象にして包括的に規制しようとしています。日本が現状のまま、アメリカや巨大IT企業の支配に手を貸し続けるのかが厳しく問われています。
生成AIが国民生活や日本経済にとって「味方」になるよう、必要な法規制や厳格なルール作りをすすめ、絶えず監視していくことが、求められています。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年3月24日付掲載
日本政府は今月末までにまとめる予定の「AI(人工知能)事業者向けガイドライン」で「公平性」、「透明性」、などの10原則を掲げて、偽情報対策を強化する方針。ただ、欧州連合(EU)とは異なり法による規制をせず、事業者の自主性にゆだねる方針。
国連のグテレス事務総長は2026年までに自律型致死兵器システム(LAWS=ローズ)を法的に禁止・制限するように強く要求していますが、協議は難航。
生成AIが国民生活や日本経済にとって「味方」になるよう、必要な法規制や厳格なルール作りをすすめ、絶えず監視していくことが、求められています。
日本政府は今月末までにまとめる予定の「AI(人工知能)事業者向けガイドライン」で「公平性」、「透明性」、などの10原則を掲げて、偽情報対策を強化する方針です。ただ、欧州連合(EU)とは異なり法による規制をせず、事業者の自主性にゆだねる方針です。ここにも、巨大IT(情報技術)企業を抱えるアメリカに付き従う日本の姿勢が表れています。
AIが著作物を無断で学習することを認めている現行の著作権法をめぐっては、法改正せずに、例外的に一部を認めないケースとして示す方向です。これには日本新聞協会などから法改正を求める声が上がっています。
2月14日には、新組織「AIセーフティ・インスティテユート」を創設。AI事業者などを認定する機関になる予定です。
M7の一角を占める米半導体大手のエヌビディアの本社=米カリフォルニア州(ロイター)
溝深く協議難航
国連のグテレス事務総長は2026年までに自律型致死兵器システム(LAWS=ローズ)を法的に禁止・制限するように強く要求していますが、協議は難航しています。軍事大国を巻き込んだAI兵器開発国と非開発国の溝が深いからです。
軍縮会議の特命全権大使をつとめていた小笠原一郎氏はローズの規制に関して、「慎重派の一番最右翼にはロシアあるいはインド、イスラエルという国ぐに」「その後ぐらいにアメリカですとか日本」が続いていると答えています(2月7日、参院外交・安全保障に関する調査会)。日本はアメリカとともにローズの規制に消極的です。
生成AIの市場拡大によって、アップル、マイクロソフト、グーグルの親会社のアルファベット、アマゾン、エヌビディア、メタ、テスラのマグニフィセントセブン(壮大な7社=M7)と呼ばれるテクノロジー業界の巨大企業が世界を「支配する」と言われています。
19年にオープンAIと業務提携したマイクロソフトは、AI市場拡大の期待から、1月の時点で時価総額が3兆ドル(約440兆円)を超えました。AI向けの半導体で高いシェアを持つエヌビディアも、時価総額が1兆6000億ドルを超えました。
生成AIの市場が拡大すればするほどアメリカの巨大IT企業がもうかる構図のままでは、これまで以上に、M7の支配力が増していくことになります。
多くのデータを保管するクラウドサービスもM7のアマゾン、マイクロソフトなどのアメリカ勢の寡占状態が強まっています。
かつての石油のように、現代はどれだけ多くのデータを握るかに覇権がかかっています。生成AIのスピードに置いて行かれることのないように、そのリスクを規制する法整備が求められています。
問われる立場性
同時に、国際的なルール作りにどういう立場で取り組むかも問われています。この点で昨年日本が主導した主要7カ国(G7)の声明は、EU、米国、日本などがそれぞれバラバラに対応していることを追認しただけのものです。
EUは生成AIでも覇権を握ろうとしているアメリカの巨大IT企業の横暴を許さないという立場で、幅広いAIを対象にして包括的に規制しようとしています。日本が現状のまま、アメリカや巨大IT企業の支配に手を貸し続けるのかが厳しく問われています。
生成AIが国民生活や日本経済にとって「味方」になるよう、必要な法規制や厳格なルール作りをすすめ、絶えず監視していくことが、求められています。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年3月24日付掲載
日本政府は今月末までにまとめる予定の「AI(人工知能)事業者向けガイドライン」で「公平性」、「透明性」、などの10原則を掲げて、偽情報対策を強化する方針。ただ、欧州連合(EU)とは異なり法による規制をせず、事業者の自主性にゆだねる方針。
国連のグテレス事務総長は2026年までに自律型致死兵器システム(LAWS=ローズ)を法的に禁止・制限するように強く要求していますが、協議は難航。
生成AIが国民生活や日本経済にとって「味方」になるよう、必要な法規制や厳格なルール作りをすすめ、絶えず監視していくことが、求められています。
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