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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

生成AI 光と影④ EU 包括的ルール

2024-03-24 07:12:34 | 経済・産業・中小企業対策など
生成AI 光と影④ EU 包括的ルール

多くの技術と同様、生成AI(人工知能)の進歩を止めることはできません。生成AIの拡大に遅れることなく、ルールや必要な規制を行って、混乱や悪影響を抑える必要があります。

リスク4段階で
欧州連合(EU)は13日、本会議を開きAIの開発や運用を規制する世界初の包括的なAI法(AIの包括的なルールを定める規則)を可決しました。規制は2026年に開始されます。
EUのAI法は、AIのリスクを4段階に分類。高いほど規制を厳しくします。(表)
リスクが高いものは「直ちに禁止」。2番目の「高いリスク」は事前審査や利用記録の保持といった厳格な規制を順守させます。3番目の「限定的なリスク」の場合は、文書や画像をAIで作成した旨を明示するよう義務付けます。ゲームなど、上記のリスクに該当しないAIの利用は「最小限のリスク」として、強制的な義務は課さず、行動規範にとどめます。


EUのAl法・リスクを4段階にわけて禁止・制限
直ちに禁止①無意識に誘導するサブリミナル(潜在意識)②子どもや障害者などの脆弱(ぜいじゃく)性を利用③政府が個人の格付けを行うようなソーシャルスコアリング④法執行を目的とした公共空間でのリアルタイムな遠隔生態識別システムなど
高いリスク①生態認証や分類②交通などの重要インフラの管理③入試や学生の評価④企業の採用や労働者管理⑤ローンなどに絡む信用調査など民間や公共サービスへのアクセス⑥法執行⑦移民や難民に関わる書類の管理など
限定的なリスク①チャット②感情認識システム③生体分類システム④ディープフエイク生成AIシステム
最小限のリスクゲームなど上記以外のシステム


違反した企業には最大3500万ユーロ(約56億円)か、世界の年間売上高の7%という、巨額の制裁金を科す規定も設けています。さらに不適切な開発や利用がないかを新設された専門組織が監視すると定め、加盟各国にも監視組織がおかれます。
ただし軍事利用や安全保障分野でのAI利用については、EUも含め、各国の規制の対象外におかれていることを忘れてはなりません。
AI開発企業を多く抱えるアメリカでは従来、企業の自主性にまかせてきました。昨年7月、主要7社は自主的に生成AIに関する政府の指針に合意しました。、
昨年10月にはバイデン大統領がAIの安全性確保に向けた大統領令に署名。法的拘束力を持つ規制が初めて導入されました。この大統領令は、AI開発企業には重要情報を政府と共有するように義務付け、生成AIで作成した文書や画像を見分ける「電子透かし」の技術を導入します。
一方、企業への罰則規定は見送られ、AIの技術革新を後押しする項目も盛り込まれました。大統領令は、官民連携でAIの国際ルール作りをリードすることが狙いです。

統制強める中国
AIへの統制を強めているのが中国です。習近平政権は昨年8月、政府批判や社会の混乱を抑える狙いで、24条からなる生成AIの管理規則を施行しました。
生成AIで発信してはならない内容として、①国家権力や「社会主義」制度の転覆を先導し、国家の安全と利益を危険にさらす②テロリズム・過激主義を促進する③民族差別・暴力・わいせつ・虚偽の有害情報―などを定めています。
また、事業者が一般向けに生成AIを提供するには当局の審査が必要で、アリババやファーウェイ、バイドゥなどのサービスが認可されています。
習近平政権は、生成AIが経済覇権を左右するとみて、国を挙げた技術開発をすすめています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年3月22日付掲載


EUのAI法は、AIのリスクを4段階に分類。高いほど規制を厳しくします。(表)
リスクが高いものは「直ちに禁止」。2番目の「高いリスク」は事前審査や利用記録の保持といった厳格な規制を順守。3番目の「限定的なリスク」の場合は、文書や画像をAIで作成した旨を明示するよう義務付け。
軍事利用や安全保障分野でのAI利用については、EUも含め、各国の規制の対象外におかれていることを忘れてはなりません。

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