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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

暴走と破滅の敵基地攻撃③ なし崩しの能力保有

2020-10-27 07:56:16 | 平和・憲法・歴史問題について
暴走と破滅の敵基地攻撃③ なし崩しの能力保有
「敵基地攻撃」をめぐる政肘見解の出発点は、1956年の鳩山一郎首相答弁と59年の伊能繁次郎防衛庁長官の答弁(別項)にあります。(以下も含め役職はいずれも当時)

明確な政府見解
日本への攻撃を防ぐのに「他に手段がない」場合に限り、敵のミサイル基地をたたくことは「法理的には自衛の範囲に含まれ、可能」だが、実際に敵基地攻撃能力を保有することは「憲法の趣旨ではない」という政府見解を明確にしました。
この間、自衛隊は、防衛力が行使できるのは相手から武力攻撃を受けた時だけで、自衛のための必要最小限度にとどまるとする「専守防衛」を確立。72年、田中角栄首相が専守防衛は「わが国防衛の基本的な方針であり、この考え方を変えるということは全くありません」(衆院本会議)と言明しました。
「性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のために用いられるいわゆる攻撃的兵器」の保有は、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるため「いかなる場合にも許されない」とし、政府はこの見解を現在も維持しています。


敵基地攻撃をめぐる政府見解
「誘導弾等による攻撃を防御するに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくこと法理的に自衛の範囲に含まれ、可である」「他に防御の手段があるもかかわらず、安易にその基地を撃するのは、自衛の範囲には入らない」(1956年2月29日、衆院内閣委、鳩山一郎首相=船田中防衛庁長代読)

「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っていることは憲法の趣旨とするところではない」(1959年3月19日、衆院内閣委、伊能繁次郎防衛庁長官)


長距離・長射程
その裏で、自衛隊の兵器の変遷をたどると、なし崩し的に「敵基地攻撃能力」保有の動きを進めてきた実態が浮かび上がります。
72年のF4戦闘機導入に際しては、戦闘行動半径の長さが他国に侵略的・攻撃的脅威を与えかねないとの理由から爆撃装置を外し、空中給油装置を地上給油用に改修していました。ところが、80年代から始まったF15戦闘機の導入以降、「有事の際に空中警戒待機の態勢をとるため空中給油装置が必要となることが十分予想される」として、戦闘機は空中給油装置を取り外さず運用。そして、戦闘機の航続時間と航続距離を延長し、長距離作戦を可能にする空中給油機KC767も導入しました。空中警戒管制機(AWACS)も配備し、管制機能も強化していきます。
爆弾も、衛星によるGPS(全地球測位システム)を利用した精密誘導装置付爆弾(JDAM)を調達し、さらにイラク戦争で米軍が使ったものと同じタイプのレーザー光線で誘導するレーザーJDAMを導入。爆撃の精度をより高めました。2018年の防衛大綱・中期防衛力整備計画で長射程の巡航ミサイル保有を決めています。



日米共同訓練で、航空自衛隊F15戦闘機に給油ずる米空軍のKC135空中給油機=2010年5月(米空軍ホームページから)

第2の英国軍化
防衛ジャーナリストの半田滋氏は「自衛隊が保有する航空機や爆弾を組み合わせれば、いまでも米軍に近い敵基地攻撃能力を持っている」と指摘します。最新鋭兵器で武装した自衛隊が、今度は憲法解釈に風穴をあけ「敵基地攻撃」を可能とする―。どんなリスクがあるか。
半田氏は、「安保法制というアメリカの戦争にいつでも付き合うことができる恒久法がある以上、アメリカの戦争に自衛隊も参戦することは間違いない」といいます。これまでの後方からの米兵の空輸や洋上補給ではなく前方へ展開し、「攻撃する自衛隊になる」としたうえで、こう警鐘を鳴らします。「英国軍がイラク・アフガニスタン戦争時にアメリカと一緒に攻撃したように、日本が第2の英国軍化していく」(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年10月21日付掲載


有事の際には必要になるということで、空中給油機の導入、戦闘機の飛行航続時間と距離のアップ。
それが実質的に敵基地攻撃の保有につながっていった。

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