星空を見上げて⑥ 夜空の夏祭りを楽しもう
渡部潤一
この夏は星空も夏祭り。祭りを彩るのはなんといっても花火ですが、星空にもたくさんの流れ星が、まるで星の花火のように夜空に現れます。ペルセウス座流星群です。毎年8月12日から14日ごろ、出現が最も多くなります。空が暗くて、星がよく見えるところでは1時間に50個を超えることも。
ペルセウス座流星群のイメージ図(国立天文台提供)
★☆~☆★
流れ星は1センチにも満たない小さな砂粒が、地球の大気に飛び込んで光る現象です。流れ星になる砂粒は彗星から放出されたものです。彗星の通り道(軌道)に沿って、その砂粒の川があります。地球の軌道と交差する砂粒の川を地球が通過すると、たくさんの砂粒が地球に降ってきて流星群となります。
砂粒は、ほぼ同一方向に動いているので、地上からは、流れ星が夜空のある一点から放射状に流れ出るように見えます。平行なレールが遠方で一点に収束するように見えるのと同じ原理です。この点を放射点(または輻射点)と呼び、放射点が存在する星座名が流星群の名前になります。
8月なかばの流星群は、この放射点がペルセウス座にあります。放射点が上がってくる深夜過ぎから流れはじめ、明け方にピークを迎えます。
国立天文台では、「夏の夜、流れ星を数えよう」という観察キャンペーンを行っています。8月10日から14日の期間中、15分以上夜空を眺めて、何個の流れ星が見えたかを報告してもらうもので、誰でも参加できます。
★☆~☆★
ところで、今年はさらに素晴らしいショーが星空の夏祭りを彩ります。先月のこの欄でご紹介した8月14日の早朝の金星食です。明け方の東の空で輝く明けの明星・金星が月齢26の細い月の光っている側(明縁)から潜入し、暗い側(暗縁)から出現します。
場所によって時刻が異なりますが、金星が現れる頃には朝焼けが始まります。
オレンジ色のグラディエーションに染まる夜空を背景に、月と金星が並び、そしてときどき流れ星が見られるでしょう。
さて、早朝に美しい天文ショーを堪能したら、その宵にも祭りが続きます。西南西の地平線上に明るい三つの星が縦に並ぶのです。
上から土星、火星、そしておとめ座の1等星スピカです。土星がやや明るい程度で、どれも似た明るさですから、オリオン座ならぬ「春の三つ星」という珍しい天体ショーです。色合いが微妙に違うカラフルさも、まるで夏祭りの屋台のよう。
1日ごとに位置が違っていきますから、連続して観察するのも、小学生の夏休みの自由研究にぴったりです。
いずれにしろ、8月14日は早朝も夕方も、夜空から目が離せない日になりそうです。(おわり)
(わたなべ・じゅんいち 国立天文台副台長)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年8月8日付掲載
今回の金星食。早朝だけども頑張ってみたかったのですが、全国的にお天気が悪いようです。残念です。
その分、「宵の祭り」の方は見れるように晴れてほしいですね。
渡部潤一
この夏は星空も夏祭り。祭りを彩るのはなんといっても花火ですが、星空にもたくさんの流れ星が、まるで星の花火のように夜空に現れます。ペルセウス座流星群です。毎年8月12日から14日ごろ、出現が最も多くなります。空が暗くて、星がよく見えるところでは1時間に50個を超えることも。
ペルセウス座流星群のイメージ図(国立天文台提供)
★☆~☆★
流れ星は1センチにも満たない小さな砂粒が、地球の大気に飛び込んで光る現象です。流れ星になる砂粒は彗星から放出されたものです。彗星の通り道(軌道)に沿って、その砂粒の川があります。地球の軌道と交差する砂粒の川を地球が通過すると、たくさんの砂粒が地球に降ってきて流星群となります。
砂粒は、ほぼ同一方向に動いているので、地上からは、流れ星が夜空のある一点から放射状に流れ出るように見えます。平行なレールが遠方で一点に収束するように見えるのと同じ原理です。この点を放射点(または輻射点)と呼び、放射点が存在する星座名が流星群の名前になります。
8月なかばの流星群は、この放射点がペルセウス座にあります。放射点が上がってくる深夜過ぎから流れはじめ、明け方にピークを迎えます。
国立天文台では、「夏の夜、流れ星を数えよう」という観察キャンペーンを行っています。8月10日から14日の期間中、15分以上夜空を眺めて、何個の流れ星が見えたかを報告してもらうもので、誰でも参加できます。
★☆~☆★
ところで、今年はさらに素晴らしいショーが星空の夏祭りを彩ります。先月のこの欄でご紹介した8月14日の早朝の金星食です。明け方の東の空で輝く明けの明星・金星が月齢26の細い月の光っている側(明縁)から潜入し、暗い側(暗縁)から出現します。
場所によって時刻が異なりますが、金星が現れる頃には朝焼けが始まります。
オレンジ色のグラディエーションに染まる夜空を背景に、月と金星が並び、そしてときどき流れ星が見られるでしょう。
さて、早朝に美しい天文ショーを堪能したら、その宵にも祭りが続きます。西南西の地平線上に明るい三つの星が縦に並ぶのです。
上から土星、火星、そしておとめ座の1等星スピカです。土星がやや明るい程度で、どれも似た明るさですから、オリオン座ならぬ「春の三つ星」という珍しい天体ショーです。色合いが微妙に違うカラフルさも、まるで夏祭りの屋台のよう。
1日ごとに位置が違っていきますから、連続して観察するのも、小学生の夏休みの自由研究にぴったりです。
いずれにしろ、8月14日は早朝も夕方も、夜空から目が離せない日になりそうです。(おわり)
(わたなべ・じゅんいち 国立天文台副台長)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年8月8日付掲載
今回の金星食。早朝だけども頑張ってみたかったのですが、全国的にお天気が悪いようです。残念です。
その分、「宵の祭り」の方は見れるように晴れてほしいですね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます