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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

竜宮の玉手箱 はやぶさ2 砂の物語⑥ “日焼け”が矛盾解決

2023-05-06 05:33:45 | 科学だいすき
竜宮の玉手箱 はやぶさ2 砂の物語⑥ “日焼け”が矛盾解決

大気のない小惑星リュウグウの表面は、太陽風や宇宙線を浴び続け、マイクロメートル(1000分の1ミリメートル)サイズの微小な隕石(いんせき)が銃弾よりも速い速度で衝突するなどの影響をじかに受けています。こうした過酷な宇宙空間にさらされている下で、どのような物質変化(宇宙風化)を起こしているのか。リュウグウならではの“お肌事情”が見えてきました。

二つの特徴発見
分析チームは、100マイクロメートル以下の約900粒の粒子を分析し、宇宙風化による“日焼け”の痕を探しました。チームリーダーの野口高明京都大学教授は「表面の特徴を見つけることから始め、2カ月間を棒に振った。このまま見つからないのではと思ったが、その後に見つかり始めた」と振り返ります。その結果、粒子全体のうちわずか6%だけが表面組織を維持していることが分かりました。
表面組織を詳しく解析したところ、宇宙風化を受けていない組織(写真1)のほか、二つの特徴を発見しました。一つは、比較的滑らかな表面上に約0・1マイクロメートルの穴が部分的に形成されたもの(写真2)。太陽風によって砂や石の鉱物が破壊され脱水が起きたと考えられました。



写真1(京都大学、九州大学提供)


写真2(Noguchi et al.,2022)

もう一つは、石や砂の表面(2~3マイクロメートルの層)に、鉱物が溶融し激しく泡立った痕が見られる組織(写真3)です。野口さんによると、リュウグウ粒子は隙間が多い粘土鉱物で、加熱されると熱が逃げにくいため、溶けやすい性質を持ちます。チームは、微小な隕石の衝突による摩擦熱で、粒子表面が水蒸気を放出しながら溶けだして形成されたものと考えています。



写真3(Noguchi et al.,2022)

現地観測と相違
探査機はやぶさ2による現地観測では、天体表面において、水を含む鉱物(含水鉱物)の存在量は、わずか1%以下と見積もられていました。一方、地球に持ち帰ったリュウグウ粒子の分析では、鉱物内部に相当量の水が見つかるなど、食い違いがありました。
この二つの結果の矛盾を解決に導いたのは、粒子表面に見られた“日焼け”でした。
水や有機物を含むリュウグウでは、隕石衝突などの宇宙風化によって脱水した層が表面を覆ったために、現地観測では水が検出されにくかったと考えられます。
約50人からなる野口さんのチームの7割は海外の研究者。もともとはライバルだったメンバーが今回、一丸となって取り組んだ成果だと述べました。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年5月5日付掲載


表面組織を詳しく解析したところ、宇宙風化を受けていない組織(写真1)のほか、二つの特徴を発見。一つは、比較的滑らかな表面上に約0・1マイクロメートルの穴が部分的に形成されたもの(写真2)。太陽風によって砂や石の鉱物が破壊され脱水が起きたと。
もう一つは、石や砂の表面(2~3マイクロメートルの層)に、鉱物が溶融し激しく泡立った痕が見られる組織(写真3)。
水や有機物を含むリュウグウでは、隕石衝突などの宇宙風化によって脱水した層が表面を覆ったために、現地観測では水が検出されにくかったと。

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