きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「資産所得倍増」を考える③ 真の狙いは株価つりあげ

2022-06-18 07:13:32 | 参議院選挙(2022年)
「資産所得倍増」を考える③ 真の狙いは株価つりあげ
岸田文雄政権が打ち出した「資産所得倍増」論の本当の狙いは、「貯蓄から投資へ」というスローガンの方にあります。これは、預貯金などの元本保証型の「貯蓄」から、株式や投資信託などのハイリスクな「投資」に、家計の資産を移そうということです。
自民党や財界がこのスローガンを叫び始めたのは20年以上も前のことです。バブルが崩壊して、銀行が多くの不良債権を抱え、金融機能に支障が生じる中で、財界・大企業は、銀行を通じた従来の「間接金融」中心のシステムから、株式市場で投資家から直接資金を得る「直接金融」中心のシステムへ切り替えることを要求しました。
そのためには、株価が上がって、株式市場が活性化することが必要です。バブル崩壊後、株価が低迷する中で、株価つりあげのために家計の金融資産を動員しようとしたのです。「貯蓄から投資へ」の本当の目的は、「家計を豊かにする」ことではなく、家計にリスクを負担させて株式市場を活性化させることでした。



英国の金融街シティーの市庁舎で基調講演を行う岸田首相(中央)=5月5日(首相官邸ホームページから)

本音はっきりと
国会の議事録を検索すると、「貯蓄から投資へ」という言葉が初めて登場したのは、2001年10月1日、衆院本会議での自民党の麻生太郎政調会長の小泉純一郎首相に対する代表質問でした。要点を引用してみましょう。
「株式市場は、1万円を割り…低水準に落ち込んでおります。…最大の問題は、わが国の個人投資家が株式市場から逃げていることであります」
「個人金融資産1400兆円のうちわずか数%が証券市場に戻るだけで、…売り圧力を優にカバーできるということになります」
「間接金融から直接金融、貯蓄から投資への流れを促し、個人投資家が参加しやすい活発な証券市場の確立を促すための証券税制改革を、この臨時国会中にぜひとも実現させるべきだと考えます」
ここには、「資産所得倍増」などという欺瞞(ぎまん)的な言葉はなく、株価対策に家計の資産を動員するという本音があからさまに語られています。その是非は別として、岸田氏より麻生氏の方が正直だとは言えるでしょう。

行き詰まった末
岸田首相が「資産所得倍増」を言いだしたのは、イギリスの国際金融センターを訪問したときです。岸田氏はイギリスの投資家に対して「インベストインキシダ(岸田に投資を)」と呼びかけました。かつて安倍晋三氏が「バイマイアベノミクス」(アベノミクスは「買い」だ)と叫んだのを思い出させます。
安倍政権は、マスコミから「株価依存内閣」「株価連動政権」という異名を与えられたほど、株価最優先の政策を進めました。超低金利と円安しかり、大企業減税しかり、公的年金や日銀マネーの株式市場への投入しかりです。岸田氏が進めようとしているのも、その焼き直しです。
しかし、アベノミクスの破綻はいまや明らかです。金利はゼロになってこれ以上は下げられず、円安は物価高騰を招いて矛盾を拡大しています。公的年金や日銀の資金を、これ以上大量に注ぎ込むのも困難です。10兆円の大学ファンドの資金をつぎ込もうとしていますが、力不足です。だから「2000兆円の家計資産」を動員しようというのです。
何やら、戦艦も戦闘機も失い、弾薬も不足する状態で、国民に竹やりを持たせて突撃させようとしている光景が浮かんできてしまいます。株式投資は、預貯金と違って元本保証がない、ハイリスクの投資です。
「資産所得倍増」などという甘言にだまされて素人投資家が安易に手を出せば、大きな損失をこうむるおそれもあります。それこそ、竹やり一本で戦車に突撃するようなものです。
NHKの朝ドラ「ちむどんどん」では、あの詐欺師が再び登場し、「紅茶豆腐」なる怪しげな飲み物の販売に青年をまきこんでいます。破綻したアベノミクスの焼き直しを狙って、「資産所得倍増」なる怪しげな商品を売り込む岸田政権の姿が重なって見えてしまいます。しかし、国民はそんなに何度もだまされるほどお人よしではありません。そのことを来たるべき参議院選挙ではっきりと示そうではありませんか。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年6月17日付掲載


国会の議事録を検索すると、「貯蓄から投資へ」という言葉が初めて登場したのは、2001年10月1日、衆院本会議での自民党の麻生太郎政調会長の小泉純一郎首相に対する代表質問。
「個人金融資産1400兆円のうちわずか数%が証券市場に戻るだけで、…売り圧力を優にカバーできる」
「間接金融から直接金融、貯蓄から投資への流れを促し、個人投資家が参加しやすい活発な証券市場の確立を促すための証券税制改革を、この臨時国会中にぜひとも実現させるべき」
ここには、「資産所得倍増」などという欺瞞(ぎまん)的な言葉はなく、株価対策に家計の資産を動員するという本音があからさまに。
「資産所得倍増」などという甘言にだまされて素人投資家が安易に手を出せば、大きな損失をこうむるおそれもあり。
だまされてはいけません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿