農業つぶすインボイス 免税の小規模農家に多くの不利益
そもそも消費税は農業を破壊する税制です。
農家は米や野菜を出荷する場合、販売価格を自分で決めることができません(産直市など例外も)。農協出荷や卸売市場に直接持ち込んでも、取引価格は「セリ」で決まり、経済的に強い立場にある買い手により左右されます。もともと農業は、天候や災害、病気・害虫の発生などで豊凶が変動します。
その結果、工業製品とは違い、生産に投入した経費が回収できず赤字になることもしばしばです。特に生産者米価(60キロ当たり)は、生産費1万5046円(2020年)を大きく下回る1万1千円前後です。
コンバインで稲刈り=岩手県遠野市
農家のほぼ9割が売り上げ1千万円以下の消費税の免税事業者です。22年の農業構造動態調査では農業経営体数が100万を下回り、生産基盤の崩壊が深刻です。コロナ禍とウクライナ危機で農業生産に必要な種子・肥料・農薬・生産資材が高騰し、多くの農家が経営危機に陥っています。
しかも、免税農家は、納税免除の代わりに、経費の仕入れにかかる消費税を負担しながら仕入れ税額控除ができず、「益税」どころか大幅な「損税」になっています。
インボイス制度が導入されると、これまでは農産物を仕入れた事業者が「帳簿方式」で仕入れ税額を控除できていたのに、今度はインボイスがなければ控除できなくなります。インボイスが発行できない免税農家は価格引き下げを求められ、取引そのものを断られることも心配されます。そのため、売り上げが小さくても課税事業者になってインボイスの登録をするよう迫られています。
本来、税金は支払う能力のあるものから集めるのが原則です。しかし、米や野菜などの売り上げがある限り、農業経営が赤字で所得税も納められない農家でも、消費税だけは納税しなければなりません。インボイス制度の導入は日本農業を支える小規模・家族農業の農家に「農業をやめろ」というのと同じです。
農業は農家だけでなく生産を支える多くの職種があって成り立っています。農村では畜産のヘルパーや畦(あぜ)などの草刈りを手伝ってくれるシルバー人材センター、個人獣医、授精師、削蹄(さくてい)師、地域の農機具店や肥料販売店、地域の農地を守るための集落営農組織、堆肥散布など作業委託料やコントラクター(農作業請負業者)など農業に関連するすべての取引にインボイスが必要になります。
多くの農家の経営を守って活動している農民連の産直センターも、出荷する免税農家への対応で苦しい判断を迫られており、経営基盤を根こそぎ破壊されかねません。地域の産直市でも、免税農家と課税農家で販売価格に差がつき、品質ではない理由で農家間に新たな差別が生み出されます。
小規模事業者の納税義務免除は消費税法9条に定められた権利です。インボイス導入を口実に奪うことは許されません。
長谷川敏郎(はせがわ・としろう 農民運動全国連合会会長)
「しんぶん赤旗」日曜版 2022年12月11日付掲載
農家のほぼ9割が売り上げ1千万円以下の消費税の免税事業者。22年の農業構造動態調査では農業経営体数が100万を下回り、生産基盤の崩壊が深刻。コロナ禍とウクライナ危機で農業生産に必要な種子・肥料・農薬・生産資材が高騰し、多くの農家が経営危機に。
しかも、免税農家は、納税免除の代わりに、経費の仕入れにかかる消費税を負担しながら仕入れ税額控除ができず、「益税」どころか大幅な「損税」に。
インボイス制度が導入されると、これまでは農産物を仕入れた事業者が「帳簿方式」で仕入れ税額を控除できていたのに、今度はインボイスがなければ控除できなくなる。インボイスが発行できない免税農家は価格引き下げを求められ、取引そのものを断られることも心配。そのため、売り上げが小さくても課税事業者になってインボイスの登録をするよう迫られる。
本来、税金は支払う能力のあるものから集めるのが原則。しかし、米や野菜などの売り上げがある限り、農業経営が赤字で所得税も納められない農家でも、消費税だけは納税しなければなりません。インボイス制度の導入は日本農業を支える小規模・家族農業の農家に「農業をやめろ」というのと同じ。
そもそも消費税は農業を破壊する税制です。
農家は米や野菜を出荷する場合、販売価格を自分で決めることができません(産直市など例外も)。農協出荷や卸売市場に直接持ち込んでも、取引価格は「セリ」で決まり、経済的に強い立場にある買い手により左右されます。もともと農業は、天候や災害、病気・害虫の発生などで豊凶が変動します。
その結果、工業製品とは違い、生産に投入した経費が回収できず赤字になることもしばしばです。特に生産者米価(60キロ当たり)は、生産費1万5046円(2020年)を大きく下回る1万1千円前後です。
コンバインで稲刈り=岩手県遠野市
農家のほぼ9割が売り上げ1千万円以下の消費税の免税事業者です。22年の農業構造動態調査では農業経営体数が100万を下回り、生産基盤の崩壊が深刻です。コロナ禍とウクライナ危機で農業生産に必要な種子・肥料・農薬・生産資材が高騰し、多くの農家が経営危機に陥っています。
しかも、免税農家は、納税免除の代わりに、経費の仕入れにかかる消費税を負担しながら仕入れ税額控除ができず、「益税」どころか大幅な「損税」になっています。
インボイス制度が導入されると、これまでは農産物を仕入れた事業者が「帳簿方式」で仕入れ税額を控除できていたのに、今度はインボイスがなければ控除できなくなります。インボイスが発行できない免税農家は価格引き下げを求められ、取引そのものを断られることも心配されます。そのため、売り上げが小さくても課税事業者になってインボイスの登録をするよう迫られています。
本来、税金は支払う能力のあるものから集めるのが原則です。しかし、米や野菜などの売り上げがある限り、農業経営が赤字で所得税も納められない農家でも、消費税だけは納税しなければなりません。インボイス制度の導入は日本農業を支える小規模・家族農業の農家に「農業をやめろ」というのと同じです。
農業は農家だけでなく生産を支える多くの職種があって成り立っています。農村では畜産のヘルパーや畦(あぜ)などの草刈りを手伝ってくれるシルバー人材センター、個人獣医、授精師、削蹄(さくてい)師、地域の農機具店や肥料販売店、地域の農地を守るための集落営農組織、堆肥散布など作業委託料やコントラクター(農作業請負業者)など農業に関連するすべての取引にインボイスが必要になります。
多くの農家の経営を守って活動している農民連の産直センターも、出荷する免税農家への対応で苦しい判断を迫られており、経営基盤を根こそぎ破壊されかねません。地域の産直市でも、免税農家と課税農家で販売価格に差がつき、品質ではない理由で農家間に新たな差別が生み出されます。
小規模事業者の納税義務免除は消費税法9条に定められた権利です。インボイス導入を口実に奪うことは許されません。
長谷川敏郎(はせがわ・としろう 農民運動全国連合会会長)
「しんぶん赤旗」日曜版 2022年12月11日付掲載
農家のほぼ9割が売り上げ1千万円以下の消費税の免税事業者。22年の農業構造動態調査では農業経営体数が100万を下回り、生産基盤の崩壊が深刻。コロナ禍とウクライナ危機で農業生産に必要な種子・肥料・農薬・生産資材が高騰し、多くの農家が経営危機に。
しかも、免税農家は、納税免除の代わりに、経費の仕入れにかかる消費税を負担しながら仕入れ税額控除ができず、「益税」どころか大幅な「損税」に。
インボイス制度が導入されると、これまでは農産物を仕入れた事業者が「帳簿方式」で仕入れ税額を控除できていたのに、今度はインボイスがなければ控除できなくなる。インボイスが発行できない免税農家は価格引き下げを求められ、取引そのものを断られることも心配。そのため、売り上げが小さくても課税事業者になってインボイスの登録をするよう迫られる。
本来、税金は支払う能力のあるものから集めるのが原則。しかし、米や野菜などの売り上げがある限り、農業経営が赤字で所得税も納められない農家でも、消費税だけは納税しなければなりません。インボイス制度の導入は日本農業を支える小規模・家族農業の農家に「農業をやめろ」というのと同じ。
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