「骨太の方針」の実像③ 米「力の戦略」と一体
今年の「骨太の方針」では、「国際秩序が重大な挑戦にさらされる歴史の転換期」との認識を示しています。
「歴史の転換期」という認識は、米国が昨年10月に発表した国家安全保障戦略の冒頭に記された「世界は変化している。われわれは今、世界史の重要な転換点にいる」とするバイデン大統領の認識と一致しています。重要なことは、時代の変革期にあっても日米両国政府が、“軍事力にものを言わせる世界”にどっぷりつかっていることです。米国は、「核の脅し」戦略にしがみつき、日本はそれを支えているということは、主要7力国首脳会議(G7広島サミット)でも明確になったことです。
訪日した米国のバイデン大統領との首脳会談をおこなう岸田首相=5月18日(官邸ホームページから)
日米同盟を強化
骨太の方針は、米国と擦り合わせて作成した国家安全保障戦略を挙げて、次のように記しています。
「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対応すべく、『国家安全保障戦略』等に基づき」軍事力を5年間で「抜本的に強化する」
そして、▽スタンド・オフ防衛能力▽統合防空ミサイル防衛能力▽無人アセット防衛能力▽領域横断作戦能力▽指揮統制・情報関連機能▽機動展開能力・国民保護▽持続性・強靱(きょうじん)性の七つの柱を重視することを強調しました。現有装備品の最大限活用、弾薬・燃料の確保、主要な施設の強靱化への投資の加速、中核能力強化を列挙しました。そのうえで、「日米同盟の抑止力と対処力を強化するとともに、同志国等との連携を強化する」としています。露骨な軍事対軍事の「力の戦略」です。
21世紀の中心地
一方、米国の国家安全保障戦略は、「世界各地での同盟とパートナーシップは、わが国の最も重要な戦略的資産である」と強調しています。とりわけインド太平洋地域を重視し、「インド太平洋地域は、世界の経済成長を大いに刺激し、21世紀の地政学の中心地となるだろう。米国は、インド太平洋地域の大国として、オープンで相互に結びつき、繁栄と安全、強靱なる地域を実現することに重大な利益を有している」としています。つまり、米国の利益の源泉は、“インド太平洋地域にあり”といっているわけです。
バイデン米国大統領は昨年5月に訪日した際、インド太平洋経済枠組み(Indo-Pacific Economic Frameworkの頭文字をとってIPEF=アイペフ)の立ち上げを発表しました。貿易・技術政策の発展や、強靱なサプライチェーン(供給網)の構築などの国際的枠組みづくりを進めています。
岸田政権の骨太の方針は、「『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向け、日米同盟を基軸に、米豪印や韓国を始め各国・地域との協力連携を進める」としています。これは、米国のインド太平洋戦略の推進を、日本政府も米国と一体となって積極的・能動的に進める、ということを宣言したものにほかなりません。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年6月22日付掲載
重要なことは、時代の変革期にあっても日米両国政府が、“軍事力にものを言わせる世界”にどっぷりつかっていること。
米国の利益の源泉は、“インド太平洋地域にあり”といっている。
岸田政権は、米国のインド太平洋戦略の推進を、日本政府も米国と一体となって積極的・能動的に進める、ということを宣言。
今年の「骨太の方針」では、「国際秩序が重大な挑戦にさらされる歴史の転換期」との認識を示しています。
「歴史の転換期」という認識は、米国が昨年10月に発表した国家安全保障戦略の冒頭に記された「世界は変化している。われわれは今、世界史の重要な転換点にいる」とするバイデン大統領の認識と一致しています。重要なことは、時代の変革期にあっても日米両国政府が、“軍事力にものを言わせる世界”にどっぷりつかっていることです。米国は、「核の脅し」戦略にしがみつき、日本はそれを支えているということは、主要7力国首脳会議(G7広島サミット)でも明確になったことです。
訪日した米国のバイデン大統領との首脳会談をおこなう岸田首相=5月18日(官邸ホームページから)
日米同盟を強化
骨太の方針は、米国と擦り合わせて作成した国家安全保障戦略を挙げて、次のように記しています。
「戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対応すべく、『国家安全保障戦略』等に基づき」軍事力を5年間で「抜本的に強化する」
そして、▽スタンド・オフ防衛能力▽統合防空ミサイル防衛能力▽無人アセット防衛能力▽領域横断作戦能力▽指揮統制・情報関連機能▽機動展開能力・国民保護▽持続性・強靱(きょうじん)性の七つの柱を重視することを強調しました。現有装備品の最大限活用、弾薬・燃料の確保、主要な施設の強靱化への投資の加速、中核能力強化を列挙しました。そのうえで、「日米同盟の抑止力と対処力を強化するとともに、同志国等との連携を強化する」としています。露骨な軍事対軍事の「力の戦略」です。
21世紀の中心地
一方、米国の国家安全保障戦略は、「世界各地での同盟とパートナーシップは、わが国の最も重要な戦略的資産である」と強調しています。とりわけインド太平洋地域を重視し、「インド太平洋地域は、世界の経済成長を大いに刺激し、21世紀の地政学の中心地となるだろう。米国は、インド太平洋地域の大国として、オープンで相互に結びつき、繁栄と安全、強靱なる地域を実現することに重大な利益を有している」としています。つまり、米国の利益の源泉は、“インド太平洋地域にあり”といっているわけです。
バイデン米国大統領は昨年5月に訪日した際、インド太平洋経済枠組み(Indo-Pacific Economic Frameworkの頭文字をとってIPEF=アイペフ)の立ち上げを発表しました。貿易・技術政策の発展や、強靱なサプライチェーン(供給網)の構築などの国際的枠組みづくりを進めています。
岸田政権の骨太の方針は、「『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向け、日米同盟を基軸に、米豪印や韓国を始め各国・地域との協力連携を進める」としています。これは、米国のインド太平洋戦略の推進を、日本政府も米国と一体となって積極的・能動的に進める、ということを宣言したものにほかなりません。
(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年6月22日付掲載
重要なことは、時代の変革期にあっても日米両国政府が、“軍事力にものを言わせる世界”にどっぷりつかっていること。
米国の利益の源泉は、“インド太平洋地域にあり”といっている。
岸田政権は、米国のインド太平洋戦略の推進を、日本政府も米国と一体となって積極的・能動的に進める、ということを宣言。
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