けいざい四季報 2022 Ⅰ ② 国内景気 冷え込む消費者心理
ポイント
①新型コロナウイルスの感染拡大と生活必需品の値上がりで消費者心理が冷え込む
②コロナ禍で完全失業率も上昇し、ロシアのウクライナ侵略で先行き不透明感増大
③日銀の大規模金融緩和で円安が加速し、物価が一層上昇することへの懸念が拡大
1月初旬から新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染が日本国内で急拡大しました。原油や原材料の価格上昇を背景とした生活必需品の値上がりが追い打ちとなり、消費者心理が冷え込みました。
景況連続悪化
2月の消費動向調査(3月3日、内閣府発表)で、消費者心理の明るさを示す消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)は前月比1・4ポイント低下の35・3となり、3カ月連続で悪化しました。基調判断は前月の「足踏みが見られる」から「弱含んでいる」に2カ月連続で下方修正されました。
2月の景気ウオッチャー調査(3月8日、内閣府発表)でも、街角の景況感を示す現状判断指数(季節調整値)が前月比0・2ポイント低下の37・7となり、2カ月連続で悪化しました。
政府は2月の月例経済報告(2月17日発表)で景気の全体判断を下方修正し、「持ち直しの動きが続いているものの、新国内景気型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さが見られる」としました。5カ月ぶりの判断引き下げとなりました。
日本銀行本店=東京都中央区
増える休失業
新型コロナの感染拡大により、勤め先や事業の都合による離職が増えました。1月の労働力調査(3月4日、総務省発表)で「非自発的な離職」が前月比6万人増え、完全失業者数(季節調整値)は4万人増の191万人となりました。完全失業率は0・1ポイント上昇の2・8%となり、2カ月ぶりに悪化しました。
休業者数(原数値)は59万人増の249万人で、デルタ株が流行した昨年8月(250万人)に近い水準となりました。宿泊業・飲食サービス業などで休業者が増え、総務省は「感染者数の増加やまん延防止等重点措置適用の影響がみられる」と指摘しました。
さらに、ロシアが2月24日に隣国ウクライナへの侵略戦争を始め、先行きの不透明感が強まりました。政府は3月の月例経済報告(3月25日発表)で、景気の基調判断を据え置く一方、景気の先行きについては原材料価格の上昇や供給面での制約を挙げ、「下振れリスクに十分注意する必要がある」と警戒感を示しました。
国内経済の主な出来事(1~3月)
悪い円安懸念
外国為替市場では円安・ドル高が加速し、輸入物価の一層の上昇が懸念されています。3月28日の外国為替市場で円相場は一時1ドル=125円台に急落しました。背景にあるのは、インフレに対抗するため金融引き締めに動く米欧と、大規模緩和を続ける日本の金融政策の違いです。日米金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが進んでいます。
ウクライナ危機による原油・原料高の打撃を円安が増幅させる「悪い円安」への懸念が広がっています。しかし日銀の黒田東彦総裁は「円安が全体として経済・物価をともに押し上げ、わが国経済にプラスに作用している」(3月22日の記者会見)と言い放ち、物価上昇に苦しむ国民との乖離」(かいり)が深刻になっています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年3月31日付掲載
休業者数(原数値)は59万人増の249万人で、デルタ株が流行した昨年8月(250万人)に近い水準となりました。宿泊業・飲食サービス業などで休業者が増え、総務省は「感染者数の増加やまん延防止等重点措置適用の影響がみられる」と指摘。
ウクライナ危機による原油・原料高の打撃を円安が増幅させる「悪い円安」への懸念が広がっています。しかし日銀の黒田東彦総裁は「円安が全体として経済・物価をともに押し上げ、わが国経済にプラスに作用している」(3月22日の記者会見)と言い放ち、物価上昇に苦しむ国民との乖離」(かいり)が深刻に。
ポイント
①新型コロナウイルスの感染拡大と生活必需品の値上がりで消費者心理が冷え込む
②コロナ禍で完全失業率も上昇し、ロシアのウクライナ侵略で先行き不透明感増大
③日銀の大規模金融緩和で円安が加速し、物価が一層上昇することへの懸念が拡大
1月初旬から新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」の感染が日本国内で急拡大しました。原油や原材料の価格上昇を背景とした生活必需品の値上がりが追い打ちとなり、消費者心理が冷え込みました。
景況連続悪化
2月の消費動向調査(3月3日、内閣府発表)で、消費者心理の明るさを示す消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)は前月比1・4ポイント低下の35・3となり、3カ月連続で悪化しました。基調判断は前月の「足踏みが見られる」から「弱含んでいる」に2カ月連続で下方修正されました。
2月の景気ウオッチャー調査(3月8日、内閣府発表)でも、街角の景況感を示す現状判断指数(季節調整値)が前月比0・2ポイント低下の37・7となり、2カ月連続で悪化しました。
政府は2月の月例経済報告(2月17日発表)で景気の全体判断を下方修正し、「持ち直しの動きが続いているものの、新国内景気型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さが見られる」としました。5カ月ぶりの判断引き下げとなりました。
日本銀行本店=東京都中央区
増える休失業
新型コロナの感染拡大により、勤め先や事業の都合による離職が増えました。1月の労働力調査(3月4日、総務省発表)で「非自発的な離職」が前月比6万人増え、完全失業者数(季節調整値)は4万人増の191万人となりました。完全失業率は0・1ポイント上昇の2・8%となり、2カ月ぶりに悪化しました。
休業者数(原数値)は59万人増の249万人で、デルタ株が流行した昨年8月(250万人)に近い水準となりました。宿泊業・飲食サービス業などで休業者が増え、総務省は「感染者数の増加やまん延防止等重点措置適用の影響がみられる」と指摘しました。
さらに、ロシアが2月24日に隣国ウクライナへの侵略戦争を始め、先行きの不透明感が強まりました。政府は3月の月例経済報告(3月25日発表)で、景気の基調判断を据え置く一方、景気の先行きについては原材料価格の上昇や供給面での制約を挙げ、「下振れリスクに十分注意する必要がある」と警戒感を示しました。
国内経済の主な出来事(1~3月)
1/9 | 政府が広島、山口、沖縄の3県で「まん延防止等重点措置」を実施</ta> |
1/17 | みずほフィナンシャルグループがシステム障害多発を受け金融庁に業務改善計画を提出 |
1/21 | 政府が「まん延防止等重点措置」を16都県に拡大 |
2/9 | トヨタの2021年4~12月期連結決算で純利益が過去最高の2兆3162億円に |
2/15 | 台湾積体電路製造(TSMC)とソニーグループが熊本県に建設する半導体工場の総投資額を約9800億円に増額すると発表 |
3/9 | 農林水産省が輸入小麦の価格を4月1日から17.3%引き上げると発表 |
3/10 | 2月の国内企業物価指数が前年同月比9.3%上昇 |
3/21 | 政府が「まん延防止等重点措置」を終了 |
悪い円安懸念
外国為替市場では円安・ドル高が加速し、輸入物価の一層の上昇が懸念されています。3月28日の外国為替市場で円相場は一時1ドル=125円台に急落しました。背景にあるのは、インフレに対抗するため金融引き締めに動く米欧と、大規模緩和を続ける日本の金融政策の違いです。日米金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが進んでいます。
ウクライナ危機による原油・原料高の打撃を円安が増幅させる「悪い円安」への懸念が広がっています。しかし日銀の黒田東彦総裁は「円安が全体として経済・物価をともに押し上げ、わが国経済にプラスに作用している」(3月22日の記者会見)と言い放ち、物価上昇に苦しむ国民との乖離」(かいり)が深刻になっています。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年3月31日付掲載
休業者数(原数値)は59万人増の249万人で、デルタ株が流行した昨年8月(250万人)に近い水準となりました。宿泊業・飲食サービス業などで休業者が増え、総務省は「感染者数の増加やまん延防止等重点措置適用の影響がみられる」と指摘。
ウクライナ危機による原油・原料高の打撃を円安が増幅させる「悪い円安」への懸念が広がっています。しかし日銀の黒田東彦総裁は「円安が全体として経済・物価をともに押し上げ、わが国経済にプラスに作用している」(3月22日の記者会見)と言い放ち、物価上昇に苦しむ国民との乖離」(かいり)が深刻に。
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