2021年概算要求の焦点④ 雇用 労働者保護の後退
厚生労働省の2021年度概算要求における雇用関係予算は、多様な働き方の推進、新型コロナウイルス禍を踏まえた対策に力点を置いています。
働き方改悪
高年齢者雇用安定法の改定に伴い、「高齢者の就労・社会参加の促進」に、20年度当初予算比40億円増の319億円を計上しました。70歳までの就業機会を確保するとして、フリーランスなど雇用によらない働き方も認めています。結果として労働法制が適用されない不安定雇用の労働者を増やしかねません。その他、就職氷河期世代の活躍支援として681億円、女性の活躍推進に向けた事業へ183億円を計上しています。
また、人材の流動化を狙った「業種・地域・職種を超えた再就職等の促進」に1206億円を要求。感染症対策として拡大したテレワークのさらなる定着を目指し、10倍超に当たる31億円を盛り込みました。どちらも今年の「骨太の方針」で示された新しい「働き方改革」の一環です。テレワークは通勤負担の軽減が期待される一方、長時間労働になりやすいという課題も指摘されています。
「長時間労働の是正」に向けた経費は、27億円減の169億円へ縮小(一部事項要求)。最低賃金・賃上げに努める企業への支援も、105億円から94億円へ減額されました。切実に求められている最賃の引き上げに逆行しています。
雇用関連予算概算要求の主要事項
(カッコ内は20年度当初予算比)
(厚生労働省の資料から作成)
新型コロナウイルス禍の中で「しばらく休業します」と張り紙をしてシャッターを下ろす商店=大阪市浪速区
コロナ対策
企業の倒産を理由に退職した労働者に対し、未払賃金の一部を立て替える「未払賃金立替払制度」の拡充へ222億円を盛り込みました。新型コロナ関連倒産が増加傾向にあることを受け、143億円を新たに積み増します。
また、コロナに起因する離職者や生活困窮者の増加を背景に、247億円を「求職者支援訓練による再就職支援」として計上。訓練の受講者が今後も増える可能性があるため、一部を事項要求とし、状況に応じてさらなる拡充を図ります。
新型コロナ禍で雇用情勢の先行きが見通せないことから、雇用調整助成金(雇調金)や休業支援金を活用する企業への支援を、金額を示さない「事項要求」としました。雇調金の特例措置が切れる12月末以降については、雇用環境が大幅に悪化しない限り、特例で引き上げた助成額の上限を段階的に元へ戻す(減額)としています。
新型コロナ関係の解雇・雇い止めは増え続けており、雇用不安は大企業の正社員にも広がっています。
雇調金の特例措置を来年1月以降も継続し、助成率10割の対象を中堅企業まで広げるなど、雇用と事業を維持・持続できるよう最大限支援することが、いま求められています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年10月16日付掲載
業種・地域・職域を超えた再就職等の促進や就職氷河期世代活躍支援プランの実施、未払賃金立替払の確実・迅速な実施など、コロナ禍での雇用環境の悪化に対応した施策は評価。
雇調金の特例措置を来年1月以降も継続することが求められています。
厚生労働省の2021年度概算要求における雇用関係予算は、多様な働き方の推進、新型コロナウイルス禍を踏まえた対策に力点を置いています。
働き方改悪
高年齢者雇用安定法の改定に伴い、「高齢者の就労・社会参加の促進」に、20年度当初予算比40億円増の319億円を計上しました。70歳までの就業機会を確保するとして、フリーランスなど雇用によらない働き方も認めています。結果として労働法制が適用されない不安定雇用の労働者を増やしかねません。その他、就職氷河期世代の活躍支援として681億円、女性の活躍推進に向けた事業へ183億円を計上しています。
また、人材の流動化を狙った「業種・地域・職種を超えた再就職等の促進」に1206億円を要求。感染症対策として拡大したテレワークのさらなる定着を目指し、10倍超に当たる31億円を盛り込みました。どちらも今年の「骨太の方針」で示された新しい「働き方改革」の一環です。テレワークは通勤負担の軽減が期待される一方、長時間労働になりやすいという課題も指摘されています。
「長時間労働の是正」に向けた経費は、27億円減の169億円へ縮小(一部事項要求)。最低賃金・賃上げに努める企業への支援も、105億円から94億円へ減額されました。切実に求められている最賃の引き上げに逆行しています。
雇用関連予算概算要求の主要事項
(カッコ内は20年度当初予算比)
業種・地域・職域を超えた再就職等の促進 | 1206億円+事項要求(21億円増) |
高齢者の就労・社会参加の促進 | 319億円+事項要求(40億円増) |
就職氷河期世代活躍支援プランの実施 | 681億円+事項要求(49億円増) |
「新しい働き方」に対応した良質な雇用型テレワークの導入・定着促進 | 31億円(27.9億円増) |
未払賃金立替払の確実・迅速な実施 | 222億円(143億円増) |
長時間労働の是正 | 169億円+事項要求(27億円減) |
女性活躍・男性の育児休業取得の推進 | 183億円+事項要求(9億円増) |
新型コロナウイルス禍の中で「しばらく休業します」と張り紙をしてシャッターを下ろす商店=大阪市浪速区
コロナ対策
企業の倒産を理由に退職した労働者に対し、未払賃金の一部を立て替える「未払賃金立替払制度」の拡充へ222億円を盛り込みました。新型コロナ関連倒産が増加傾向にあることを受け、143億円を新たに積み増します。
また、コロナに起因する離職者や生活困窮者の増加を背景に、247億円を「求職者支援訓練による再就職支援」として計上。訓練の受講者が今後も増える可能性があるため、一部を事項要求とし、状況に応じてさらなる拡充を図ります。
新型コロナ禍で雇用情勢の先行きが見通せないことから、雇用調整助成金(雇調金)や休業支援金を活用する企業への支援を、金額を示さない「事項要求」としました。雇調金の特例措置が切れる12月末以降については、雇用環境が大幅に悪化しない限り、特例で引き上げた助成額の上限を段階的に元へ戻す(減額)としています。
新型コロナ関係の解雇・雇い止めは増え続けており、雇用不安は大企業の正社員にも広がっています。
雇調金の特例措置を来年1月以降も継続し、助成率10割の対象を中堅企業まで広げるなど、雇用と事業を維持・持続できるよう最大限支援することが、いま求められています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年10月16日付掲載
業種・地域・職域を超えた再就職等の促進や就職氷河期世代活躍支援プランの実施、未払賃金立替払の確実・迅速な実施など、コロナ禍での雇用環境の悪化に対応した施策は評価。
雇調金の特例措置を来年1月以降も継続することが求められています。
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