けいざい四季報 2023Ⅰ ① 世界経済 米欧、インフレ抑制を優先
【ポイント】
①米国の急激な利上げで金融市場の環境が悪化。預金が流出した銀行が経営破綻
②中国が2023年経済成長目標を22年目標より引き下げ、「5%前後」に設定
③G20財務相・中銀総裁会議がウクライナ侵略での意見の対立で共同声明見送り
インフレ抑制を目指す米国の急激な利上げは、他方で金融市場の環境を悪化させ、預金が流出した一部の銀行が経営破綻に追い込まれました。
銀行敬遠破綻
米連邦準備制度理事会(FRB)は3月22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、前回2月1日に続き、政策金利を0・25%引き上げることを決めました。利上げは9会合連続で、政策金利は年4・75~5・00%と2007年以来の高水準。米中堅銀行の相次ぐ破綻をきっかけに信用不安がくすぶる中でもインフレ抑制を優先しました。
IT(情報技術)企業やベンチャー企業を主要顧客とする米シリコンバレー銀行が3月10日、経営破綻しました。急激な利上げで金融市場の環境が変化し、資金調達が困難になったベンチャー企業などの預金引き出しが増加し、経営が破綻。また、暗号資産(仮想通貨)関連業者との積極的な取引で知られるニューヨークの中堅銀行シグネチャー銀行も3月12日、経営破綻。
他方、欧州中央銀行(ECB)も3月16日の定例理事会で、政策金利を0・5%引き上げることを決めました。昨年7月以降6会合連続で、0・5%の利上げは3回連続。08年10~11月以来の高金利水準。スイス金融大手クレディ・スイスの経営不安で金融市場が混乱しているものの、インフレ抑制を優先しました。
FOMC後に記者会見するパウエルFRB議長=3月22日、ワシントン(ロイター)
目標引き下げ
中国の国会に当たる第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議が3月5~13日、北京の人民大会堂で開かれました。李克強首相(当時)は政府活動報告で、2023年の経済成長目標を予想より低めの「5%前後」に設定しました。
22年の実際の成長率は3・0%で、目標の「5・5%前後」に届きませんでした。新型コロナウイルスの感染対策として上海市などで都市封鎖が導入され、経済活動が滞ったため。
23年の経済成長目標については、大方の予想は「5~6%」でしたが、予想の下限付近となり、22年の目標をも0・5ポイント下回りました。全人代閉会後に初の記者会見を行った李強新首相は、「5%前後」の目標についても「達成は恐らく容易でなく、一層の努力が必要だ」と述べました。
世界経済の主な出来事(1~3月)
共同声明出ず
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が2月23~25日、インド南部のベンガルールで開かれたものの、ロシアのウクライナ侵略を巡る意見の対立から共同声明の採択が見送られ、議長国インドが議長総括を発表しました。
会議は、ウクライナ侵略をきっかけに加速したエネルギーや食料価格の高騰が世界経済に与える影響や、深刻化する途上国の債務問題を中心に討議。
途上国の債務問題では、「低・中所得国の債務を巡る脆弱(ぜいじゃく)性に対処する緊急性を認識する」とし、多国間協調の必要性を訴えました。債務膨張の一因に挙げられる米欧の利上げを巡っては、「負の波及効果の抑制に資するよう金融政策の姿勢について明確に意思疎通する」としました。(つづく)(3回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年3月28日付掲載
米連邦準備制度理事会(FRB)は3月22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、前回2月1日に続き、政策金利を0・25%引き上げることを決定。利上げは9会合連続で、政策金利は年4・75~5・00%と2007年以来の高水準。米中堅銀行の相次ぐ破綻をきっかけに信用不安がくすぶる中でもインフレ抑制を優先。
中国の国会に当たる第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議が3月5~13日、北京の人民大会堂で開かれました。李克強首相(当時)は政府活動報告で、2023年の経済成長目標を予想より低めの「5%前後」に設定。
コロナ禍でも低成長ながらも成長をしている世界経済。日本経済は取り残されている。
【ポイント】
①米国の急激な利上げで金融市場の環境が悪化。預金が流出した銀行が経営破綻
②中国が2023年経済成長目標を22年目標より引き下げ、「5%前後」に設定
③G20財務相・中銀総裁会議がウクライナ侵略での意見の対立で共同声明見送り
インフレ抑制を目指す米国の急激な利上げは、他方で金融市場の環境を悪化させ、預金が流出した一部の銀行が経営破綻に追い込まれました。
銀行敬遠破綻
米連邦準備制度理事会(FRB)は3月22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、前回2月1日に続き、政策金利を0・25%引き上げることを決めました。利上げは9会合連続で、政策金利は年4・75~5・00%と2007年以来の高水準。米中堅銀行の相次ぐ破綻をきっかけに信用不安がくすぶる中でもインフレ抑制を優先しました。
IT(情報技術)企業やベンチャー企業を主要顧客とする米シリコンバレー銀行が3月10日、経営破綻しました。急激な利上げで金融市場の環境が変化し、資金調達が困難になったベンチャー企業などの預金引き出しが増加し、経営が破綻。また、暗号資産(仮想通貨)関連業者との積極的な取引で知られるニューヨークの中堅銀行シグネチャー銀行も3月12日、経営破綻。
他方、欧州中央銀行(ECB)も3月16日の定例理事会で、政策金利を0・5%引き上げることを決めました。昨年7月以降6会合連続で、0・5%の利上げは3回連続。08年10~11月以来の高金利水準。スイス金融大手クレディ・スイスの経営不安で金融市場が混乱しているものの、インフレ抑制を優先しました。
FOMC後に記者会見するパウエルFRB議長=3月22日、ワシントン(ロイター)
目標引き下げ
中国の国会に当たる第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議が3月5~13日、北京の人民大会堂で開かれました。李克強首相(当時)は政府活動報告で、2023年の経済成長目標を予想より低めの「5%前後」に設定しました。
22年の実際の成長率は3・0%で、目標の「5・5%前後」に届きませんでした。新型コロナウイルスの感染対策として上海市などで都市封鎖が導入され、経済活動が滞ったため。
23年の経済成長目標については、大方の予想は「5~6%」でしたが、予想の下限付近となり、22年の目標をも0・5ポイント下回りました。全人代閉会後に初の記者会見を行った李強新首相は、「5%前後」の目標についても「達成は恐らく容易でなく、一層の努力が必要だ」と述べました。
世界経済の主な出来事(1~3月)
1/17 | 22年の中国GDP発表。前年比3.0%増 |
2/23~25 | G20財務相・中銀総裁会合開催。共同声明見送り |
3/2 | 2月のユー口圏消費者物価指数発表。前年同月比8.5%上昇 |
3/5~13 | 中国第14期全人代第1回会議開催 |
3/10 | 米シリコンバレー銀が経営破綻 |
3/12 | 米シグネチャー銀が経営破綻 |
3/14 | 2月の米消費者物価指数発表。前年同月比6.0%上昇 |
3/16 | 欧州中銀が政策金利の0.5%引き上げを決定 |
3/19 | スイスUBSがクレディ・スイス買収で合意 |
3/20 | 日米欧6中銀が協調してドル資金を毎日供給することで合意 |
3/22 | 米FRBが政策金利の0.25%引き上げを決定 |
3/23 | 英中銀が政策金利の0.25%引き上げを決定 |
共同声明出ず
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が2月23~25日、インド南部のベンガルールで開かれたものの、ロシアのウクライナ侵略を巡る意見の対立から共同声明の採択が見送られ、議長国インドが議長総括を発表しました。
会議は、ウクライナ侵略をきっかけに加速したエネルギーや食料価格の高騰が世界経済に与える影響や、深刻化する途上国の債務問題を中心に討議。
途上国の債務問題では、「低・中所得国の債務を巡る脆弱(ぜいじゃく)性に対処する緊急性を認識する」とし、多国間協調の必要性を訴えました。債務膨張の一因に挙げられる米欧の利上げを巡っては、「負の波及効果の抑制に資するよう金融政策の姿勢について明確に意思疎通する」としました。(つづく)(3回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年3月28日付掲載
米連邦準備制度理事会(FRB)は3月22日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、前回2月1日に続き、政策金利を0・25%引き上げることを決定。利上げは9会合連続で、政策金利は年4・75~5・00%と2007年以来の高水準。米中堅銀行の相次ぐ破綻をきっかけに信用不安がくすぶる中でもインフレ抑制を優先。
中国の国会に当たる第14期全国人民代表大会(全人代)第1回会議が3月5~13日、北京の人民大会堂で開かれました。李克強首相(当時)は政府活動報告で、2023年の経済成長目標を予想より低めの「5%前後」に設定。
コロナ禍でも低成長ながらも成長をしている世界経済。日本経済は取り残されている。
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