2023年度予算案の焦点⑦ 社会保障 コロナ・物価 窮状に背
2023年度の社会保障関係費は、22年度比6154億円増で、過去最大の36兆8889億円です。増額分は高齢化などで当然増える「自然増」などによるもので、丸3年の新型コロナウイルス禍で繰り返されてきた医療逼迫(ひっぱく)や死亡者の増加を止めるための抜本的対策はまったく示していません。むしろ、社会保障費の抑制に躍起です。
軍事費増に流用
自公政権は、コロナ禍で疲弊した医療・介護現場の抜本的な人員増には背を向け、逆に病床確保に対する財政支援の支給要件の厳格化や削減を続けてきました。23年度予算案では、公的病院を運営する独立行政法人の「国立病院機構」と「地域医療機能推進機構」に早期返納を求めたコロナ関連補助金の積立金1000億円近くを、軍事費の大幅増額の財源に流用します。
社会保障費の自然増は、1500億円も圧縮します。圧縮分は、▽医療体制の拡充に充てるルールだった薬の公定価格(薬価)の引き下げ分▽75歳以上の医療費窓口負担(原則1割)に22年10月から導入した2割負担が1年通して実施されることに伴う国費の削減分▽従業員を休ませ休業手当を支払った企業を支援する雇用調整助成金のコロナ特例の縮小―など国民負担増・給付削減で賄います。
23度社会保障費「自然増」分の削減 ▲約1500億円
※財務省資料をもとに作成
病床削減に固執
「自然増削減」は、安倍晋三政権時の13年度から合計で2兆3000億円を超えることになります。
消費税増税分を財源にして、病床を減らした医療機関に給付金を支給する「病床機能再編支援」も引き続き計上。病床削減や統廃合に固執しています。
生活保護費は、10月から食費や光熱費に充てる生活扶助を19年の消費水準に合わせて見直したうえで、「足下の物価高騰を踏まえ」た対応として1人当たり月1千円だけの特例加算を設けます。(24年度も実施)
特例加算をしても現行の支給額より減額となる世帯は据え置きますが、高齢者世帯やひとり親世帯を中心に実質減となる世帯が大量に出てきます。
公的年金額は、改定率を物価や賃金の伸びより低く抑える「マクロ経済スライド」が3年ぶりに発動されます。22年の物価上昇分2・5%と比べ、年金額は67歳以下の人がプラス2・2%、68歳以上の人がプラス1・9%に抑えられます。実質的に0・3~0・6%の目減りです。
67歳以下の場合、国民年金は満額で月381円、厚生年金は夫妻2人の標準世帯で月1260円の目減りとなります。高齢者や同居家族の生活がさらに悪化するのは必至です。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月28日付掲載
23年度予算案では、公的病院を運営する独立行政法人の「国立病院機構」と「地域医療機能推進機構」に早期返納を求めたコロナ関連補助金の積立金1000億円近くを、軍事費の大幅増額の財源に流用。
「自然増削減」は、安倍晋三政権時の13年度から合計で2兆3000億円を超えることに。
国家予算でもっとも重視すべき社会保障がおざなりになっています。
2023年度の社会保障関係費は、22年度比6154億円増で、過去最大の36兆8889億円です。増額分は高齢化などで当然増える「自然増」などによるもので、丸3年の新型コロナウイルス禍で繰り返されてきた医療逼迫(ひっぱく)や死亡者の増加を止めるための抜本的対策はまったく示していません。むしろ、社会保障費の抑制に躍起です。
軍事費増に流用
自公政権は、コロナ禍で疲弊した医療・介護現場の抜本的な人員増には背を向け、逆に病床確保に対する財政支援の支給要件の厳格化や削減を続けてきました。23年度予算案では、公的病院を運営する独立行政法人の「国立病院機構」と「地域医療機能推進機構」に早期返納を求めたコロナ関連補助金の積立金1000億円近くを、軍事費の大幅増額の財源に流用します。
社会保障費の自然増は、1500億円も圧縮します。圧縮分は、▽医療体制の拡充に充てるルールだった薬の公定価格(薬価)の引き下げ分▽75歳以上の医療費窓口負担(原則1割)に22年10月から導入した2割負担が1年通して実施されることに伴う国費の削減分▽従業員を休ませ休業手当を支払った企業を支援する雇用調整助成金のコロナ特例の縮小―など国民負担増・給付削減で賄います。
23度社会保障費「自然増」分の削減 ▲約1500億円
主な内容 | 医療体制の拡充に充てるルールだった薬価引き下げ分 | ▲約700億円 |
75歳以上に導入した医療窓口・2割負担の通年化 | ▲約400億円 | |
雇用調整助成金などのコロナ特例措置の縮小 | ▲約300億円 | |
介護予防などを促す「保険者機能強化推進交付金」の削減 | ▲約100億円 |
病床削減に固執
「自然増削減」は、安倍晋三政権時の13年度から合計で2兆3000億円を超えることになります。
消費税増税分を財源にして、病床を減らした医療機関に給付金を支給する「病床機能再編支援」も引き続き計上。病床削減や統廃合に固執しています。
生活保護費は、10月から食費や光熱費に充てる生活扶助を19年の消費水準に合わせて見直したうえで、「足下の物価高騰を踏まえ」た対応として1人当たり月1千円だけの特例加算を設けます。(24年度も実施)
特例加算をしても現行の支給額より減額となる世帯は据え置きますが、高齢者世帯やひとり親世帯を中心に実質減となる世帯が大量に出てきます。
公的年金額は、改定率を物価や賃金の伸びより低く抑える「マクロ経済スライド」が3年ぶりに発動されます。22年の物価上昇分2・5%と比べ、年金額は67歳以下の人がプラス2・2%、68歳以上の人がプラス1・9%に抑えられます。実質的に0・3~0・6%の目減りです。
67歳以下の場合、国民年金は満額で月381円、厚生年金は夫妻2人の標準世帯で月1260円の目減りとなります。高齢者や同居家族の生活がさらに悪化するのは必至です。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月28日付掲載
23年度予算案では、公的病院を運営する独立行政法人の「国立病院機構」と「地域医療機能推進機構」に早期返納を求めたコロナ関連補助金の積立金1000億円近くを、軍事費の大幅増額の財源に流用。
「自然増削減」は、安倍晋三政権時の13年度から合計で2兆3000億円を超えることに。
国家予算でもっとも重視すべき社会保障がおざなりになっています。
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