2023年度予算案の焦点⑥ 文教 教職員定数2474人減
2023年度の文教関係予算案は22年度比82億円増の4兆146億円です。「人への投資」や科学技術立国を経済成長の柱としながら、急速な物価高騰に見合う増額はしません。教育・研究、文化・芸術の環境悪化は避けられません。
子ども支援逆行
公立小中学校の教職員定数にかかわる義務教育費国庫負担金は1兆5216億円。22年度比201億円増ですが、人事院勧告による給与改定の影響を除けば54億円減です。
教職員定数は、小学校4年生を新たに35人学級にすることや教科担任制の推進による改善があるものの、少子化に伴う「自然減」や学校統廃合などの「合理化減」で6132人減らされます。さらに国庫負担金の算定方法見直しで800人相当の予算減を見込んでおり、差し引きでは2474人の大幅減となっています。
異常な長時間労働が背景となり精神疾患による教員の休職が21年の文部科学省調査で過去最多となっています。新型コロナウイルス感染症などによって求められている子どもへのきめ細やかな支援にも逆行しています。
部活動の地域移行に向けた環境整備費として28億円を計上。スポーツ庁や文化庁は当初、中学校の土日の部活動について、23年度からの3年間で集中的に移行を進める計画でしたが、予算の裏付けもなく、地方などからの批判を受け期間内の達成にこだわらない方針へと転換しています。
■2023年度予算案の教職員定数の増減
物価高考慮せず
国立大学法人運営費交付金は2億円減の1兆784億円です。04年の法人化当初と比べると1631億円も減っています。国立大学・高専等の施設整備費は増減なしの363億円です。国立大学協会は物価高騰に見合った運営費交付金の増額を求めていましたが、全く考慮されませんでした。
国立大学の学長からは「大学の努力を超える部分がある」「物価上昇はいままで経験したことがない状況。施設関係の工事費は3割増しになっている」などの悲鳴が上がっています。
交付金の一部を外部資金獲得実績といった共通指標で評価して増減させる「改革インセンティブ」制度を19年度につくり、23年度は1千億円を充てています。国大協は国立大学の多様性を奪い、研究力を低下させると批判しています。ほかに交付金のうち776億円を、文科省が位置づける政策課題を実現する予算枠とし、各大学に獲得を競わせる競争的資金にしています。
私立大学等経常費補助も1億円増の2976億円と横ばいで、実質大幅減です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月27日付掲載
教職員定数は、小学校4年生を新たに35人学級にすることや教科担任制の推進による改善があるものの、少子化に伴う「自然減」や学校統廃合などの「合理化減」で6132人減らされます。さらに国庫負担金の算定方法見直しで800人相当の予算減を見込んでおり、差し引きでは2474人の大幅減。
国立大学協会は物価高騰に見合った運営費交付金の増額を求めていましたが、全く考慮されませんでした。
義務教育も、高等教育も、求められるものに見合った教職員定数や予算が確保されていません。
2023年度の文教関係予算案は22年度比82億円増の4兆146億円です。「人への投資」や科学技術立国を経済成長の柱としながら、急速な物価高騰に見合う増額はしません。教育・研究、文化・芸術の環境悪化は避けられません。
子ども支援逆行
公立小中学校の教職員定数にかかわる義務教育費国庫負担金は1兆5216億円。22年度比201億円増ですが、人事院勧告による給与改定の影響を除けば54億円減です。
教職員定数は、小学校4年生を新たに35人学級にすることや教科担任制の推進による改善があるものの、少子化に伴う「自然減」や学校統廃合などの「合理化減」で6132人減らされます。さらに国庫負担金の算定方法見直しで800人相当の予算減を見込んでおり、差し引きでは2474人の大幅減となっています。
異常な長時間労働が背景となり精神疾患による教員の休職が21年の文部科学省調査で過去最多となっています。新型コロナウイルス感染症などによって求められている子どもへのきめ細やかな支援にも逆行しています。
部活動の地域移行に向けた環境整備費として28億円を計上。スポーツ庁や文化庁は当初、中学校の土日の部活動について、23年度からの3年間で集中的に移行を進める計画でしたが、予算の裏付けもなく、地方などからの批判を受け期間内の達成にこだわらない方針へと転換しています。
■2023年度予算案の教職員定数の増減
小学4年生での35人学級の実現 | 3283人 |
通級指導や外国人児童生徒への指導充実 | 425人 |
小学校高学年での教科担任制の推進など | 1100人 |
定数増計 | 4808人 |
少子化による基礎定数減 | -3167人 |
学校統廃合などに伴う「合理化」減 | -1760人 |
35人学級実現のための加配定数振り替え | -1205人 |
教職員配置の見直し | -350人 |
国庫負担金の算定方法見直し | -800人 |
定数減計 | -7282人 |
差し引き | -2474人 |
物価高考慮せず
国立大学法人運営費交付金は2億円減の1兆784億円です。04年の法人化当初と比べると1631億円も減っています。国立大学・高専等の施設整備費は増減なしの363億円です。国立大学協会は物価高騰に見合った運営費交付金の増額を求めていましたが、全く考慮されませんでした。
国立大学の学長からは「大学の努力を超える部分がある」「物価上昇はいままで経験したことがない状況。施設関係の工事費は3割増しになっている」などの悲鳴が上がっています。
交付金の一部を外部資金獲得実績といった共通指標で評価して増減させる「改革インセンティブ」制度を19年度につくり、23年度は1千億円を充てています。国大協は国立大学の多様性を奪い、研究力を低下させると批判しています。ほかに交付金のうち776億円を、文科省が位置づける政策課題を実現する予算枠とし、各大学に獲得を競わせる競争的資金にしています。
私立大学等経常費補助も1億円増の2976億円と横ばいで、実質大幅減です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年1月27日付掲載
教職員定数は、小学校4年生を新たに35人学級にすることや教科担任制の推進による改善があるものの、少子化に伴う「自然減」や学校統廃合などの「合理化減」で6132人減らされます。さらに国庫負担金の算定方法見直しで800人相当の予算減を見込んでおり、差し引きでは2474人の大幅減。
国立大学協会は物価高騰に見合った運営費交付金の増額を求めていましたが、全く考慮されませんでした。
義務教育も、高等教育も、求められるものに見合った教職員定数や予算が確保されていません。
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