数値が示す日本経済⑨ 消費 収入乏しく生活切り詰め
エンゲル係数が急上昇しています。総務省「家計調査」によると、2人以上の世帯のうち勤労者世帯について2005年度に平均21・6%だったエンゲル係数は、15年度平均で23・9%に上昇。6月の家計調査速報値では25・4%となりました。10年ちょっとの間に4ポイント近く上昇したことになります。
エンゲル係数とは、消費支出に占める食料品の割合です。収入が乏しく、消費を切り詰めなければならなくても、食費を削ることには限界があるので、暮らしのゆとりを示すバロメーターとされています。
駅前アーケード商店街=東京都内
食品価格の上昇
エンゲル係数が急上昇した要因の一つは食品価格の上昇です。総務省「消費者物価指数」によると、生活実感に近い「持ち家の帰属家賃を除く総合」の物価指数は、05年度から15年度の間に3・4%上昇しました。しかし、食料品は同じ期間に10・8%もの急上昇です。とりわけ、安倍晋三政権の経済政策であるアベノミクスの「第1の矢」である「異次元の金融緩和」が推進され、円安が加速して以降は、輸入に頼る食料品の価格が高騰しました。
もう一つの要因が可処分所得の減少です。可処分所得とは実収入から直接税と社会保険料の非消費支出を除いた額で、家計の判断で使える金額とされます。05年度に平均年額523万1418円だった可処分所得は、15年度には512万2020円へ10万9398円も減少しました。さらに、物価変動の影響を差し引いた実質可処分所得は、同じ期間に545万5076円から512万2020円へ33万3056円も下落しました。
実質可処分所得の減少の背景には、物価の高騰に加え、実収入の伸び悩みと非消費支出の負担増があります。とりわけ、安倍政権下では賃金の低い非正規雇用労働者が増えたことが影響しています。年金の支給額が減らされました。一方で、年金や介護をはじめとする保険料も毎年のように引き上げて、非消費支出を増大させています。
消費税の負担も
深刻なのは消費税の負担です。間接税である消費税は、商品価格の一部分となります。そのため消費支出に組み込まれてしまい、家計負担は見えにくくなるからです。
家計調査から消費税相当分を試算すると、05年の年間15万9702円から、15年には24万3856円へと8万4154円も負担が増えました。安倍政権が14年4月に強行した8%への消費税率引き上げとそれに伴う物価上昇が主な要因です。
エンゲル係数が高まった結果、家計に占める割合が減ったのは被服や履物にかけるお金です。05年度の年間17万8051円から15年度には16万1387円へ1万6664円の減少です。また交際費や嗜好品などその他の支出も減少しました。
日本国憲法第25条は国民に対し「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保証しています。安心して暮らせる所得を実現しなければならないのです。(清水渡)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月27日付掲載
食品価格の上昇や可処分所得の減少は、リアルな実感として感じますね。
美味しいものを食べるのも良い事ですが、「健康で文化的な最低限度の生活」と言えば、お気に入りの服を着て、リラックスできる家に住んで、映画やドライブなど趣味を楽しむ…ことなどが欲しいですよね。
エンゲル係数が急上昇しています。総務省「家計調査」によると、2人以上の世帯のうち勤労者世帯について2005年度に平均21・6%だったエンゲル係数は、15年度平均で23・9%に上昇。6月の家計調査速報値では25・4%となりました。10年ちょっとの間に4ポイント近く上昇したことになります。
エンゲル係数とは、消費支出に占める食料品の割合です。収入が乏しく、消費を切り詰めなければならなくても、食費を削ることには限界があるので、暮らしのゆとりを示すバロメーターとされています。
駅前アーケード商店街=東京都内
食品価格の上昇
エンゲル係数が急上昇した要因の一つは食品価格の上昇です。総務省「消費者物価指数」によると、生活実感に近い「持ち家の帰属家賃を除く総合」の物価指数は、05年度から15年度の間に3・4%上昇しました。しかし、食料品は同じ期間に10・8%もの急上昇です。とりわけ、安倍晋三政権の経済政策であるアベノミクスの「第1の矢」である「異次元の金融緩和」が推進され、円安が加速して以降は、輸入に頼る食料品の価格が高騰しました。
もう一つの要因が可処分所得の減少です。可処分所得とは実収入から直接税と社会保険料の非消費支出を除いた額で、家計の判断で使える金額とされます。05年度に平均年額523万1418円だった可処分所得は、15年度には512万2020円へ10万9398円も減少しました。さらに、物価変動の影響を差し引いた実質可処分所得は、同じ期間に545万5076円から512万2020円へ33万3056円も下落しました。
実質可処分所得の減少の背景には、物価の高騰に加え、実収入の伸び悩みと非消費支出の負担増があります。とりわけ、安倍政権下では賃金の低い非正規雇用労働者が増えたことが影響しています。年金の支給額が減らされました。一方で、年金や介護をはじめとする保険料も毎年のように引き上げて、非消費支出を増大させています。
消費税の負担も
深刻なのは消費税の負担です。間接税である消費税は、商品価格の一部分となります。そのため消費支出に組み込まれてしまい、家計負担は見えにくくなるからです。
家計調査から消費税相当分を試算すると、05年の年間15万9702円から、15年には24万3856円へと8万4154円も負担が増えました。安倍政権が14年4月に強行した8%への消費税率引き上げとそれに伴う物価上昇が主な要因です。
エンゲル係数が高まった結果、家計に占める割合が減ったのは被服や履物にかけるお金です。05年度の年間17万8051円から15年度には16万1387円へ1万6664円の減少です。また交際費や嗜好品などその他の支出も減少しました。
日本国憲法第25条は国民に対し「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保証しています。安心して暮らせる所得を実現しなければならないのです。(清水渡)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月27日付掲載
食品価格の上昇や可処分所得の減少は、リアルな実感として感じますね。
美味しいものを食べるのも良い事ですが、「健康で文化的な最低限度の生活」と言えば、お気に入りの服を着て、リラックスできる家に住んで、映画やドライブなど趣味を楽しむ…ことなどが欲しいですよね。
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