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竜宮の玉手箱 はやぶさ2 砂の物語① 太陽系や生命起源の謎解く鍵

2023-05-01 07:14:06 | 科学だいすき
竜宮の玉手箱 はやぶさ2 砂の物語① 太陽系や生命起源の謎解く鍵


宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から持ち帰った砂や石は、太陽系形成の歴史や生命起源の謎を解く鍵が隠されている、まさに“玉手箱”です。研究者たちは開けてびっくり!眠っていた宝に秘められた宇宙の物語とは―。
「太陽系形成を理解する新たな化学的基準となりうる試料だ」
こう強調するのはリュウグウ試料の化学組成を分析したチームリーダーの圦本尚義(ゆりもとひさよし)北海道大学教授です。太陽系をつくった元素がそのまま石になったような物質だというのです。



はやぶさ2が着陸する想像図(©JAXA)


はやぶさ2が上空から撮影したリュウグウ(©JAXA、東京大学など)


専用容器に入ったリュウグウ試料(©JAXA)

リュウグウは、炭素質の「C型小惑星」に分類されていましたが、そもそもどんな物質からできているのかは不明でした。
リュウグウ試料の化学組成や元素の同位体(中性子の数が異なるもの)の組成などを精密に分析した結果、砂に含まれていた鉱物は、太陽系の誕生から500万年後につくられたものであることが分かりました。
検出された鉱物に液体の水と化学変化した痕跡がみられたことから、リュウグウの元となった天体(母天体)に氷があったことが示されました。分析チームは、氷が解けてできた約40度の水に鉱物が溶け出し、化学変化で別の鉱物に変わり沈殿したと考えています。
その後、母天体から現在のリュウグウに至るまで液体の水のほとんどは宇宙空間に蒸発しました。
砂に含まれる鉱物は、100度以上の熱にさらされていないとみられており、まるでタイムカプセルのように太陽系の誕生から500万年後に形成された時の状態を今日までとどめていることが考えられます。
また砂の化学組成は、太陽系形成時の元素の組成を持つ「イブナ型」と呼ばれる珍しい炭素質阻石とよく似ていることが判明。イブナ型阻石はこれまで太陽系の歴史を理解するための「標準試料」とみなされてきました。しかし地球に落下した阻石は、大気の影響などを受けているため、宇宙空間にいた時の状態と大きく変化している可能性が考えられます。
こうした影響を受けていないリュウグウ試料は、イブナ型阻石よりもさらに始原的な特徴を持つ天然試料だといえるのです。
(つづく)

はやぶさ2は2019年に2回、リュウグウに着陸して試料を採取。20年12月に地球に持ち帰った試料は、総合的な解析を行う二つのチームと専門分野ごとに設けた六つの初期分析チームによって、詳細な解析が進められてきました。その最新の成果を7回連載でリポートします。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年4月29日付掲載


はやぶさ2が、小惑星リュウグウから持ち帰った石。太陽系をつくった元素がそのまま石になったような物質だ。
リュウグウの砂に含まれていた鉱物は、太陽系の誕生からわずか500万年後につくられたものと。
太陽系の年齢45億年と比べるとその成り立ちを解き明かす貴重な化石です。
現在、太陽系を形成している惑星以外に、リュウグウの母天体が存在していたと。
地球に大量の水がもたらされた痕跡が…。
興味津々です。

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