女性の年金低すぎる② 差別の結果 節約の日々
「今以上医療費は払いたくないので、食事には気をつかっています」と話すのは、埼玉県春日部市の伊藤千枝子さん(84)です。年金額は月9万円弱。家賃4万5千円のマンションで1人暮らしをしています。
「家賃、水光熱費、食費などを足していくと年金だけでは足りず、毎月貯金を取り崩しながら暮らしています。食料品を買うのは月3回、割引のときに日持ちするものをまとめ買いするようにしています」
ピーマンは種まで、ミカンも皮まで食べるといいます。「ミカンの皮を食べるのは戦時中に覚えました。それと、日光はタダ。日光にはよく当たるようにしています」
趣味は新聞の切り抜き。興味のある記事を丁寧に切り抜いて、テーマごとにファイルに分けて保管しています。「でも、その新聞も妹からもらって読んでいます。化粧品は500円の化粧水だけ。パーマもかけず白髪染めは自分でやっています。洋服、靴、リュックなどもしばらく買っていません」。友人から旅行やお茶に誘われても断っています。
数年前に転倒して人工股関節を入れて以来、出歩く際には歩行器が欠かせません。自転車では10分だった道のりが、今では徒歩で40~50分かかります。
「政治は国民一人ひとりの苦しさに気付いてほしい」と話す伊藤さん=埼玉県春日部市
生活守れない
「年金は『基礎的部分を賄うもの』という規定ですが、本当は、安定した生活全般を保障するものでないといけないのではないでしようか。人間は衣食住と光熱費だけでは生きていけず、医療、介護、交通費、交際費などもかかります。私も、家計は1円単位で計算しています」
事務員、喫茶店、バー、パン工場、百貨店、NTT子会社の社員寮の管理人…。高卒で働き始めて定年を迎えるまで、2人の男の子を育てながら働き続けてきました。高卒で働き始めたときの初任給は、大卒男性の6割弱。「古い家父長制に基づいた女性蔑視が、いまだに残っていると感じます。非正規雇用も女性が多い。女性蔑視の結果は高齢女性の生活にも表れているのではないでしょうか」
46歳で上の子が中学2年生のときに離婚し、2人の子どもが自立して以来1人暮らしです。「持ち家だったら、夫婦2人暮らしならどれだけ生活が楽だったかと思います。1人でも2人でも、家賃も生活費もほとんど変わりませんから」
憲法の約束を
年金裁判の原告として、2015年から裁判闘争を続けています。原告になることを一度は断りましたが、2カ月間、関係資料などを通じて学び直す中で、改めて原告を引き受けました。「政府が進める年金制度の破壊、ごまかし、不当性を訴えるものだと理解しました。憲法13条、25条の約束をどう考えるのか。国に物申すチャンスだと思いました」
「まるで悪さしかしていない」と、今の国会情勢に憤ります。「政党助成金はもらいながら、国民の生活苦には見向きもしない。裁判闘争を通じていろいろ勉強してきましたガ、今の政治は信用できません。政治は、国民一人ひとりの苦しさに気付いてほしい」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年7月6日付掲載
「年金は『基礎的部分を賄うもの』という規定ですが、本当は、安定した生活全般を保障するものでないといけない。人間は衣食住と光熱費だけでは生きていけず、医療、介護、交通費、交際費などもかかります。私も、家計は1円単位で計算」
年金裁判の原告として、2015年から裁判闘争を続けている。原告になることを一度は断りましたが、2カ月間、関係資料などを通じて学び直す中で、改めて原告を引き受けました。「政府が進める年金制度の破壊、ごまかし、不当性を訴えるものだと理解。憲法13条、25条の約束をどう考えるのか。国に物申すチャンスだと思った」
憲法の約束を国が果たす。大事なことです。
「今以上医療費は払いたくないので、食事には気をつかっています」と話すのは、埼玉県春日部市の伊藤千枝子さん(84)です。年金額は月9万円弱。家賃4万5千円のマンションで1人暮らしをしています。
「家賃、水光熱費、食費などを足していくと年金だけでは足りず、毎月貯金を取り崩しながら暮らしています。食料品を買うのは月3回、割引のときに日持ちするものをまとめ買いするようにしています」
ピーマンは種まで、ミカンも皮まで食べるといいます。「ミカンの皮を食べるのは戦時中に覚えました。それと、日光はタダ。日光にはよく当たるようにしています」
趣味は新聞の切り抜き。興味のある記事を丁寧に切り抜いて、テーマごとにファイルに分けて保管しています。「でも、その新聞も妹からもらって読んでいます。化粧品は500円の化粧水だけ。パーマもかけず白髪染めは自分でやっています。洋服、靴、リュックなどもしばらく買っていません」。友人から旅行やお茶に誘われても断っています。
数年前に転倒して人工股関節を入れて以来、出歩く際には歩行器が欠かせません。自転車では10分だった道のりが、今では徒歩で40~50分かかります。
「政治は国民一人ひとりの苦しさに気付いてほしい」と話す伊藤さん=埼玉県春日部市
生活守れない
「年金は『基礎的部分を賄うもの』という規定ですが、本当は、安定した生活全般を保障するものでないといけないのではないでしようか。人間は衣食住と光熱費だけでは生きていけず、医療、介護、交通費、交際費などもかかります。私も、家計は1円単位で計算しています」
事務員、喫茶店、バー、パン工場、百貨店、NTT子会社の社員寮の管理人…。高卒で働き始めて定年を迎えるまで、2人の男の子を育てながら働き続けてきました。高卒で働き始めたときの初任給は、大卒男性の6割弱。「古い家父長制に基づいた女性蔑視が、いまだに残っていると感じます。非正規雇用も女性が多い。女性蔑視の結果は高齢女性の生活にも表れているのではないでしょうか」
46歳で上の子が中学2年生のときに離婚し、2人の子どもが自立して以来1人暮らしです。「持ち家だったら、夫婦2人暮らしならどれだけ生活が楽だったかと思います。1人でも2人でも、家賃も生活費もほとんど変わりませんから」
憲法の約束を
年金裁判の原告として、2015年から裁判闘争を続けています。原告になることを一度は断りましたが、2カ月間、関係資料などを通じて学び直す中で、改めて原告を引き受けました。「政府が進める年金制度の破壊、ごまかし、不当性を訴えるものだと理解しました。憲法13条、25条の約束をどう考えるのか。国に物申すチャンスだと思いました」
「まるで悪さしかしていない」と、今の国会情勢に憤ります。「政党助成金はもらいながら、国民の生活苦には見向きもしない。裁判闘争を通じていろいろ勉強してきましたガ、今の政治は信用できません。政治は、国民一人ひとりの苦しさに気付いてほしい」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年7月6日付掲載
「年金は『基礎的部分を賄うもの』という規定ですが、本当は、安定した生活全般を保障するものでないといけない。人間は衣食住と光熱費だけでは生きていけず、医療、介護、交通費、交際費などもかかります。私も、家計は1円単位で計算」
年金裁判の原告として、2015年から裁判闘争を続けている。原告になることを一度は断りましたが、2カ月間、関係資料などを通じて学び直す中で、改めて原告を引き受けました。「政府が進める年金制度の破壊、ごまかし、不当性を訴えるものだと理解。憲法13条、25条の約束をどう考えるのか。国に物申すチャンスだと思った」
憲法の約束を国が果たす。大事なことです。
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