女性の年金 低すぎる③ 賃金格差が跳ね返る
異常な物価高、社会保障の相次ぐ改悪で、高齢者の暮らしが押しつぶされようとしています。とりわけ女性は受け取る年金額が低くて食べていくのもやっとの状況です。女性の低年金の背景に何があるのでしょうか。
「現役時代の女性の賃金が低いからです。これはジェンダーの問題と絡んでいます」
こう指摘するのは、全日本年金者組合女性部長の中川滋子さんです。
女性たちは結婚、妊娠、出産、子育てのたびに働き方の選択を迫られます。男女雇用機会均等法により男女差別が禁止されました。しかし、総合職と一般職が設けられ、女性は長時間労働・転勤無制限の総合職の仕事には入っていけず、一般職、パートなど低賃金、非正規労働しかありません。
■2021年度国民年金のみの「老齢年金」(25年未満)受給月額別人数
厚生労働省「2021年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」に基づき作成
年金格差になり
男女の賃金格差は、そのまま年金の格差となって跳ね返ってきます。2021年度の国民年金(老齢年金)しかない受給権者を見ると、平均月額は5・5万円、納付期間が25年未満で平均月額4万円未満の受給者は男性19・1%に対し、女性は77・1%と圧倒的に多くなっています(表)。同年度の厚生年金(老齢年金)の受給平均月額は10・5万円、10万円以下の低年金受給者は男性31・4%、女性82・7%です。(グラフ)
中川さんは「日本の資本主義は女性の差別とともに始まった」と強調します。明治時代、女工を低賃金で長時間働かせるとともに、男尊女卑の家父長制度が引き継がれて男女の賃金格差が出現。新憲法のもとで形だけは男女平等になりましたが、格差がずっと続いているといいます。ただでさえ低い年金は、第2次安倍政権からのH年間で7・3%減額されています。
年金者組合女性部は2月、1年がかりで低年金に悩む女性の声を集めた冊子『今、ここにある窮状』を発行。そこには「離婚し、実母と3人の子どものために働き続けた。生活費は切り詰め暮らしている」「82歳でパートをしている。コロナ禍でパート代が減っている」などとつづられています。
実態知らせたい
冊子を求める人が各地にいると語る中川さん。他方「結婚して夫の庇護(ひご)のもとにいたんだから年金が少なくてもしょうがない」という声もあると言います。「ジェンダー平等の問題と、政府による社会保障の責任投げ捨て、若者と高齢者との分断政策のからくりが分かり、自己責任の問題ではないことに気づいてもらえるよう、もっと女性の低年金問題の実態を全国に知らせたい」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年7月7日付掲載
男女の賃金格差は、そのまま年金の格差となって跳ね返ってきます。2021年度の国民年金(老齢年金)しかない受給権者を見ると、平均月額は5・5万円、納付期間が25年未満で平均月額4万円未満の受給者は男性19・1%に対し、女性は77・1%と圧倒的に多くなっています。
明治時代、女工を低賃金で長時間働かせるとともに、男尊女卑の家父長制度が引き継がれて男女の賃金格差が出現。新憲法のもとで形だけは男女平等になりましたが、格差がずっと続いているといいます。ただでさえ低い年金は、第2次安倍政権からの11年間で7・3%減額。
異常な物価高、社会保障の相次ぐ改悪で、高齢者の暮らしが押しつぶされようとしています。とりわけ女性は受け取る年金額が低くて食べていくのもやっとの状況です。女性の低年金の背景に何があるのでしょうか。
「現役時代の女性の賃金が低いからです。これはジェンダーの問題と絡んでいます」
こう指摘するのは、全日本年金者組合女性部長の中川滋子さんです。
女性たちは結婚、妊娠、出産、子育てのたびに働き方の選択を迫られます。男女雇用機会均等法により男女差別が禁止されました。しかし、総合職と一般職が設けられ、女性は長時間労働・転勤無制限の総合職の仕事には入っていけず、一般職、パートなど低賃金、非正規労働しかありません。
■2021年度国民年金のみの「老齢年金」(25年未満)受給月額別人数
年金月額 | 人数(千人) | 年金月額(円) | |||||
男性 | 割合(%) | 女性 | 割合(%) | ||||
2万円未満 | 200 | 39 | 11.3 | 19.1 | 161 | 46.7 | 77.1 |
2万~4万円 | 132 | 27 | 7.8 | 105 | 304 | ||
4万円以上 | 13 | 2 | 0.6 | 11 | 3.2 | ||
合計 | 345 | 69 | 20.0 | 276 | 80.0 | ||
平均年金月額 | 19,046 | 19,288 | ― | 18,968 | ― |
年金格差になり
男女の賃金格差は、そのまま年金の格差となって跳ね返ってきます。2021年度の国民年金(老齢年金)しかない受給権者を見ると、平均月額は5・5万円、納付期間が25年未満で平均月額4万円未満の受給者は男性19・1%に対し、女性は77・1%と圧倒的に多くなっています(表)。同年度の厚生年金(老齢年金)の受給平均月額は10・5万円、10万円以下の低年金受給者は男性31・4%、女性82・7%です。(グラフ)
中川さんは「日本の資本主義は女性の差別とともに始まった」と強調します。明治時代、女工を低賃金で長時間働かせるとともに、男尊女卑の家父長制度が引き継がれて男女の賃金格差が出現。新憲法のもとで形だけは男女平等になりましたが、格差がずっと続いているといいます。ただでさえ低い年金は、第2次安倍政権からのH年間で7・3%減額されています。
年金者組合女性部は2月、1年がかりで低年金に悩む女性の声を集めた冊子『今、ここにある窮状』を発行。そこには「離婚し、実母と3人の子どものために働き続けた。生活費は切り詰め暮らしている」「82歳でパートをしている。コロナ禍でパート代が減っている」などとつづられています。
実態知らせたい
冊子を求める人が各地にいると語る中川さん。他方「結婚して夫の庇護(ひご)のもとにいたんだから年金が少なくてもしょうがない」という声もあると言います。「ジェンダー平等の問題と、政府による社会保障の責任投げ捨て、若者と高齢者との分断政策のからくりが分かり、自己責任の問題ではないことに気づいてもらえるよう、もっと女性の低年金問題の実態を全国に知らせたい」
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年7月7日付掲載
男女の賃金格差は、そのまま年金の格差となって跳ね返ってきます。2021年度の国民年金(老齢年金)しかない受給権者を見ると、平均月額は5・5万円、納付期間が25年未満で平均月額4万円未満の受給者は男性19・1%に対し、女性は77・1%と圧倒的に多くなっています。
明治時代、女工を低賃金で長時間働かせるとともに、男尊女卑の家父長制度が引き継がれて男女の賃金格差が出現。新憲法のもとで形だけは男女平等になりましたが、格差がずっと続いているといいます。ただでさえ低い年金は、第2次安倍政権からの11年間で7・3%減額。
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