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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

北陸新幹線 延伸を問う(中) 不安と疑問置き去り 水枯れ・残土処理・環境アセス

2024-09-01 07:11:42 | 公共交通・安全について
北陸新幹線 延伸を問う(中) 不安と疑問置き去り 水枯れ・残土処理・環境アセス

北陸新幹線を巡って、多くの市民から懸念されているのは、地下水脈への影響と、掘り出された大量の残土処理の問題です。

地下水に影響
7日に開催された整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(与党PT)会合で示された京都駅3案は、いずれも、敦賀~小浜~京都市北部を山岳トンネル、京都市内部分をシールドトンネルでつなぐ計画です。
国交省の資料によれば、シールド工法は「基本的に水を通さない構造のため、トンネル内に地下水を引き込まない」などと、根拠も示さず断言しています。しかも、会合の中でも地下駅の位置や方向によっては「地下水の流れをせき止める可能性はある」との意見も出されました。
近年でも、大深度地下トンネル工事では、東京・調布市で、東京外かく環状道路工事で陥没事故が発生(2021年)。地下水への影響では、リニア工事にともなって岐阜県瑞浪市で井戸などの水位低下が発生(23年)するなど、事前の見通しでは予想できなかった事故が相次いでいます。
地下水への影響は、日本酒、和菓子、豆腐など、京都の地場産業に取り返しのつかない事態を引き起こす危険があります。
また地下水とともに、大きな懸念となっている残土の問題については、今回の資料では一切の言及がありませんでした。
建設残土の不適切な処理によって発生した、静岡県熱海市の土石流災害(21年7月)では、28人が犠牲となりました。
また、発生残土には少なからずヒ素など猛毒の重金属が含まれ、鉄道運輸機構も残土の中の「対策土の含有率は30%」と認めており、環境への影響も懸念されます。
推計880万立方メートルにものぼる発生残土の処理方針をいっさい示せなかったことは、この計画が破綻していることの表れです。



岐阜県瑞浪市の水枯れ現場を調査する、光永敦彦・京都府議(右)=8月5日(府議団ユーチューブから)


伏見区の酒蔵、地下水は日本酒造りに欠かせない=8月22日

法違反の恐れ
北陸新幹線は、環境影響評価(環境アセスメント)が法律で義務付けられる事業です。国交省も「(アセスが)できなければ工事着工は法律上できない」と、述べてきました。22、23両年の相次ぐ着工延期は、ルート上の住民が反対し、アセス調査ができていないことが原因の一つです。にもかかわらず「調査費」と称して、ボーリング調査を強行しようとしており問題です。
さらに、アセスメントの「方法書」では「京都駅の大深度地下」を前提としていました。ところが、今回の与党PT会合には、大深度地下ではない地下20メートルの「南北案」と、京都駅ですらない「桂川駅案」が出てきました。こんなアセス法違反ともいうべき、出鱈目(でたらめ)なやり方は許せません。
アセスメント手続きの基礎を欠いたまま着工することは、アセス法違反の重大な疑念が生じます。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年8月24日付掲載


近年でも、大深度地下トンネル工事では、東京・調布市で、東京外かく環状道路工事で陥没事故が発生(2021年)。地下水への影響では、リニア工事にともなって岐阜県瑞浪市で井戸などの水位低下が発生(23年)するなど、事前の見通しでは予想できなかった事故が相次いでいます。
地下水への影響は、日本酒、和菓子、豆腐など、京都の地場産業に取り返しのつかない事態を引き起こす危険が。
また地下水とともに、大きな懸念となっている残土の問題については、今回の資料では一切の言及がありません。
北陸新幹線は、環境影響評価(環境アセスメント)が法律で義務付けられる事業です。国交省も「(アセスが)できなければ工事着工は法律上できない」と。

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