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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

田沢湖姫観音と朝鮮人強制労働① 辰子姫伝説の湖

2019-12-26 15:54:51 | 平和・憲法・歴史問題について
田沢湖姫観音と朝鮮人強制労働① 辰子姫伝説の湖
茶谷十六
ちゃだに・じゅうろく 1941年生まれ。秋田県歴史教育者協議会会長、田沢湖姫観音像開眼80周年記念法要実行委員会事務局

秋田県の田沢湖は、水深423・4メートル、日本で最も深い湖であり、かつては北海道の摩周湖とならんで透明度日本一を誇っていた。
古くは「辰子潟」と呼ばれ、村娘・辰子が、美貌が永遠に衰えないようにと観音様に祈願してついに竜となり、湖の主となったという「辰子姫伝説」が息づく神秘の湖として親しまれてきた。

この田沢湖の湖畔に、「姫観音」と呼ばれる石像が立っている。若き彫刻家・八柳(やつやなぎ)五兵衛が銘石真鶴(まなづる)石に刻んだこの像は、みずみずしい青年像のような生気をたたえて、碧緑(へきりょく)の湖面のはるか彼方を見つめ続けている。
1939(昭和14)年11月10日に開眼供養が行なわれた像の台座には次の碑文が刻まれている。(原文はカタカナ)

夫(そ)れ往昔(おうせき)一女性辰子の美貌ありて、大蔵山(おおくらさん)に祈願するところにあり。満願にして天変地異、一大湖沼成り、姫は大龍と化せり。爾来郷人只管(じらいきょうじんひたすら)湖水の汚濁を懼(おそ)る。
即ち清明澄徴なる湖と純情無垢なる姫を護らんと、日夜祈念したるなり。偶玉(たまたま)川の毒水湖に導入せらるや、忽然(こつぜん)と観音現覚し、辰子姫積年の誓願成就にして、大衆を導いて共に宏謨(こうぼ)翼賛に邁進(まいしん)せんとの勇猛心なるべし。茲に姫観音の尊像を建立して菩薩の威神力(いじんりき)を如意ならしめんと祈念して止まさるところなり矣。
昭和十四年十一月十日開眼
槎湖(さこ)仏教会 敬白



田沢湖に向かって立つ田沢湖姫観音像(筆者撮影)

この像は、従来、玉川温泉の強酸性の毒水の流入によって死滅した魚と湖神辰子姫の霊を慰めるために建立されたものと言われてきた。田沢寺に保存されていた「姫観音像建立趣意書」から、生保内(おぼない)発電所建設に伴う隧道工事の犠牲となった工事関係者の供養と慰霊が像建立のもっとも大切な目的であったことが明らかにされたのは、1991(平成3)年のことであった。

今からちょうど80年前に建立・開眼されたこの像は、一体どのような情況の下で、誰によって、何のために建てられたのであろうか?当時の歴史をひもといてゆくと、思いもかけない激動の経緯が浮かび上がってくる。田沢湖姫観音像の建立・開眼にまつわるドラマの真相を明らかにしたい。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年11月27日付掲載


辰子姫の伝説が残る田沢湖。20代のころ、旅行に行ったときにレンタサイクルで1週した覚えがある。
観音像の本当の由来が、発電所建設の工事の犠牲者を慰霊するものだとわかり、そのドラマが解き明かされる。

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