2023年度 概算要求の焦点⑦ 文教・こども 教員定数差し引き974人減
2023年度の文部科学省の概算要求は22年度当初予算比で6130億円増の5兆8949億円です。そのうち文教関係予算は4兆3589億円です(事項要求除く)。
新型コロナ危機を契機に文科省は21年度から5年間かけ小学校全学年を現在の40人学級から35人学級に引き下げる計画です。3年目の23年度は4年生が対象で、同省はそのために3283人の教職員定数改善を求めています。
ただし、そのうち1205人は現在自治体の判断で35~39人学級の実現に充てている加配定数を振り替えるため、少人数学級の推進に伴う教職員定数の純増は2078人にとどまります。加配定数は少人数指導など政策目的に応じて配分される定数です。
そのほか小学校高学年での教科担任制の推進に950人の加配を求めるなど、全体で5158人の定数改善を要求。一方、少子化や学校統廃合による定数減が6132人に上るため、少人数学級を進めても差し引きでは974人減です。過労死水準の長時間労働の解消や子どもへのきめ細やかな支援に逆行しています。
デジタル化巨額
小中学校に整備されたパソコンの1人1台端末の活用を支援する「GIGAスクール運営支援センターの機能強化」に102億円(92億円増)、学校運営に必要な仕事(校務)をデジタル化する実証事業に10億円(新規)、デジタル教科書・教材の活用のための通信環境の調査研究に6億円(新規)など、教育のデジタル化に巨額の予算を計上しています。多くの施策で民間活用を想定しており「教育の市場化」がいっそう進む危険があります。
2023年度概算要求の教職員定数の増減
1人1台与えられたパソコン端末を操作する小学生
獲得を競わせる
国立大学法人運営費交付金は1兆1116億円(330億円増)です。本来大学の規模や学部編成に応じて機械的に配分すべき同交付金の一部に自公政権は19年度、外部資金獲得実績などの指標で評価して傾斜配分する改革インセンティブ制度を導入。概算要求では1千億円ですが、予算折衝で財務省からさらなる増額を迫られるとみられます。
さらに同交付金のうち915億円(140億円増)を、文科省が位置づける政策課題を実現するための予算枠とし、各大学に獲得を競わせる競争的資金にしています。交付金の傾斜配分や競争的資金化は、国立大学の安定的運営を困難にし、日本の研究力を掘り崩していると批判されています。
私立大学等経常費補助は3021億円(46億円増)です。政府の教育未来創造会議は定員未充足の大学への減額率を引き上げるなどの見直しを、23年度以降順次実施するとしており注意が必要です。
23年4月に発足するこども家庭庁の概算要求は、一般会計と特別会計を合わせて4兆7510億円です。ただ数字がついているのは厚生労働省や内閣府から移管された事業で、新規事業の予算は全て事項要求です。岸田文雄首相はこの間、子ども関連予算の「倍増」を表明してきましたが、概算要求では中身が全くみえません。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月21日付掲載
小中学校に整備されたパソコンの1人1台端末の活用を支援する「GIGAスクール運営支援センターの機能強化」に102億円(92億円増)、学校運営に必要な仕事(校務)をデジタル化する実証事業に10億円(新規)、デジタル教科書・教材の活用のための通信環境の調査研究に6億円(新規)など、教育のデジタル化に巨額の予算を計上。
国立大学法人運営費交付金のうち915億円(140億円増)を、文科省が位置づける政策課題を実現するための予算枠とし、各大学に獲得を競わせる競争的資金にしています。交付金の傾斜配分や競争的資金化は、国立大学の安定的運営を困難にし、日本の研究力を掘り崩していると批判されている。
2023年度の文部科学省の概算要求は22年度当初予算比で6130億円増の5兆8949億円です。そのうち文教関係予算は4兆3589億円です(事項要求除く)。
新型コロナ危機を契機に文科省は21年度から5年間かけ小学校全学年を現在の40人学級から35人学級に引き下げる計画です。3年目の23年度は4年生が対象で、同省はそのために3283人の教職員定数改善を求めています。
ただし、そのうち1205人は現在自治体の判断で35~39人学級の実現に充てている加配定数を振り替えるため、少人数学級の推進に伴う教職員定数の純増は2078人にとどまります。加配定数は少人数指導など政策目的に応じて配分される定数です。
そのほか小学校高学年での教科担任制の推進に950人の加配を求めるなど、全体で5158人の定数改善を要求。一方、少子化や学校統廃合による定数減が6132人に上るため、少人数学級を進めても差し引きでは974人減です。過労死水準の長時間労働の解消や子どもへのきめ細やかな支援に逆行しています。
デジタル化巨額
小中学校に整備されたパソコンの1人1台端末の活用を支援する「GIGAスクール運営支援センターの機能強化」に102億円(92億円増)、学校運営に必要な仕事(校務)をデジタル化する実証事業に10億円(新規)、デジタル教科書・教材の活用のための通信環境の調査研究に6億円(新規)など、教育のデジタル化に巨額の予算を計上しています。多くの施策で民間活用を想定しており「教育の市場化」がいっそう進む危険があります。
2023年度概算要求の教職員定数の増減
小学4年生での35人学級実現 | 3283人 |
通級指導や外国人児童生徒への指導充実 | 425人 |
小学校高学年での教科担任制の推進 | 950人 |
学校における働き方改革など | 500人 |
定数改善計 | 5158人 |
少子化による基礎定数減 | -3167人 |
学校統廃合等に伴う「合理化」減 | -1760人 |
35人学級実現のための加配定数振り替え | -1205人 |
定数減計 | -6132人 |
差し引き | -974人 |
1人1台与えられたパソコン端末を操作する小学生
獲得を競わせる
国立大学法人運営費交付金は1兆1116億円(330億円増)です。本来大学の規模や学部編成に応じて機械的に配分すべき同交付金の一部に自公政権は19年度、外部資金獲得実績などの指標で評価して傾斜配分する改革インセンティブ制度を導入。概算要求では1千億円ですが、予算折衝で財務省からさらなる増額を迫られるとみられます。
さらに同交付金のうち915億円(140億円増)を、文科省が位置づける政策課題を実現するための予算枠とし、各大学に獲得を競わせる競争的資金にしています。交付金の傾斜配分や競争的資金化は、国立大学の安定的運営を困難にし、日本の研究力を掘り崩していると批判されています。
私立大学等経常費補助は3021億円(46億円増)です。政府の教育未来創造会議は定員未充足の大学への減額率を引き上げるなどの見直しを、23年度以降順次実施するとしており注意が必要です。
23年4月に発足するこども家庭庁の概算要求は、一般会計と特別会計を合わせて4兆7510億円です。ただ数字がついているのは厚生労働省や内閣府から移管された事業で、新規事業の予算は全て事項要求です。岸田文雄首相はこの間、子ども関連予算の「倍増」を表明してきましたが、概算要求では中身が全くみえません。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月21日付掲載
小中学校に整備されたパソコンの1人1台端末の活用を支援する「GIGAスクール運営支援センターの機能強化」に102億円(92億円増)、学校運営に必要な仕事(校務)をデジタル化する実証事業に10億円(新規)、デジタル教科書・教材の活用のための通信環境の調査研究に6億円(新規)など、教育のデジタル化に巨額の予算を計上。
国立大学法人運営費交付金のうち915億円(140億円増)を、文科省が位置づける政策課題を実現するための予算枠とし、各大学に獲得を競わせる競争的資金にしています。交付金の傾斜配分や競争的資金化は、国立大学の安定的運営を困難にし、日本の研究力を掘り崩していると批判されている。
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