危機の経済 識者は語る② ファーウェイの猛追
龍谷大学名誉教授 夏目啓二さん
中国企業ファーウェイ(華為技術)が2020年3月に発表した19年12月期決算は、純利益が626億元(約9600億円)、売上高は8588億元(約12兆8820億円)で、ともに過去最高を更新しました。一方、ライバル企業の米国最大のスマホメーカー、アップルの19年9月期の経営業績は、純利益552億ドル(約5兆9000億円)、売上高2601億ドル(約27兆8300億円)でした。ファーウェイは、売上高規模でアップルに猛追しています。
ファーウェイは19年6月に米国政府から制裁を科せられ、米国企業などからソフトウエアや部品を調達することを制限されています。このため米国製ソフトを採用している海外向けスマホの販売が伸び悩みました。同社によると、19年にスマホなど消費者向け事業の海外売上高は少なくとも100億ドル(1兆円超)減の影響を受けた、といいます。
世界第2位に
ファーウェイの19年の事業別売上高は、スマホなどが4673億元(約7兆円)、基地局などが2966億元(約4兆4400億円)でした。
売上高構成でみると、スマホが54%、基地局が35%で、ファーウェイの主力事業はスマホであるといえます。しかし、5年前の14年、売上高構成では同社の主力事業は、スマホが747億元の26%、基地局が1914億元の66%の通信機器事業だったのです。
ファーウェイは、この最近5年間に4Gの通信機器メーカーから、スマホメーカーへと事業転換を果たしたといえます。スマホの事業規模は、5年前の747億元(14年)の6・3倍、4673億元(19年)へと急成長したのです。スマホの世界出荷台数は2億4千万台で、米国のアップルを抜いて世界第1位のサムスン(韓国)に次ぎ世界第2位となりました。

GAFA排除
中国国内のスマホ市場シェア(占有率)を見ると、12年に第1位の座にあったのはアップルでした。しかし、アップルは、5年後の17年には上位4社からその姿を消し、5位に転落しました。第1位はファーウェイで、同社に続いて、オッポ、ビポ、シャオミなど低価格の中国スマホメーカーが占めました。
アップルが中国市場で競争力を失ったのは、中国製スマホの安い価格競争力と自撮りカメラの機能だけが原因ではありません。インターネット普及期には、中国でも外国のデジタル企業が歓迎されましたが、08年の北京五輪を機に中国の指導者が言論統制を強めました。
フェイスブックとツイッター、ユーチューブは09年にブロックされ、グーグルは翌10年、検索結果の検閲に否定的態度を表明した後にブロックされました。その結果、中国の検索市場はバイドゥが独占しました。アリババが米国の競売大手のイーベイを打ち負かしました。
米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字)の検索サービス、スマホ、SNS(交流サイト)、ネット通販を利用できないアップルのスマホに市場価値、競争力はありませんでした。かわって、中国のBATH(バイドゥ〈百度〉、アリババ集団、テンセント、ファーウェイの頭文字)の検索サービス、ネット通販、SNS、スマホの利用が普及しました。
ついに、19年にアップルの中国市場での売上不振が起きました。アップル・ショックといわれます。同時に、トランプ政権による中国の通信機器企業ZTE、ファーウェイたたきが先鋭化しました。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月22日付掲載
世界を席巻するGAFAですが、中国市場からは追い出されているんですね。
一方の中国のファーウェイもアメリカ市場には食い込めていない。
お互いに住み分けってところでしょうか。
ところで、一時期はバイドゥ(百度)のフリーソフトが良く出ていましたが、最近はあまりみかけませんね。
龍谷大学名誉教授 夏目啓二さん
中国企業ファーウェイ(華為技術)が2020年3月に発表した19年12月期決算は、純利益が626億元(約9600億円)、売上高は8588億元(約12兆8820億円)で、ともに過去最高を更新しました。一方、ライバル企業の米国最大のスマホメーカー、アップルの19年9月期の経営業績は、純利益552億ドル(約5兆9000億円)、売上高2601億ドル(約27兆8300億円)でした。ファーウェイは、売上高規模でアップルに猛追しています。
ファーウェイは19年6月に米国政府から制裁を科せられ、米国企業などからソフトウエアや部品を調達することを制限されています。このため米国製ソフトを採用している海外向けスマホの販売が伸び悩みました。同社によると、19年にスマホなど消費者向け事業の海外売上高は少なくとも100億ドル(1兆円超)減の影響を受けた、といいます。
世界第2位に
ファーウェイの19年の事業別売上高は、スマホなどが4673億元(約7兆円)、基地局などが2966億元(約4兆4400億円)でした。
売上高構成でみると、スマホが54%、基地局が35%で、ファーウェイの主力事業はスマホであるといえます。しかし、5年前の14年、売上高構成では同社の主力事業は、スマホが747億元の26%、基地局が1914億元の66%の通信機器事業だったのです。
ファーウェイは、この最近5年間に4Gの通信機器メーカーから、スマホメーカーへと事業転換を果たしたといえます。スマホの事業規模は、5年前の747億元(14年)の6・3倍、4673億元(19年)へと急成長したのです。スマホの世界出荷台数は2億4千万台で、米国のアップルを抜いて世界第1位のサムスン(韓国)に次ぎ世界第2位となりました。

GAFA排除
中国国内のスマホ市場シェア(占有率)を見ると、12年に第1位の座にあったのはアップルでした。しかし、アップルは、5年後の17年には上位4社からその姿を消し、5位に転落しました。第1位はファーウェイで、同社に続いて、オッポ、ビポ、シャオミなど低価格の中国スマホメーカーが占めました。
アップルが中国市場で競争力を失ったのは、中国製スマホの安い価格競争力と自撮りカメラの機能だけが原因ではありません。インターネット普及期には、中国でも外国のデジタル企業が歓迎されましたが、08年の北京五輪を機に中国の指導者が言論統制を強めました。
フェイスブックとツイッター、ユーチューブは09年にブロックされ、グーグルは翌10年、検索結果の検閲に否定的態度を表明した後にブロックされました。その結果、中国の検索市場はバイドゥが独占しました。アリババが米国の競売大手のイーベイを打ち負かしました。
米国のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの頭文字)の検索サービス、スマホ、SNS(交流サイト)、ネット通販を利用できないアップルのスマホに市場価値、競争力はありませんでした。かわって、中国のBATH(バイドゥ〈百度〉、アリババ集団、テンセント、ファーウェイの頭文字)の検索サービス、ネット通販、SNS、スマホの利用が普及しました。
ついに、19年にアップルの中国市場での売上不振が起きました。アップル・ショックといわれます。同時に、トランプ政権による中国の通信機器企業ZTE、ファーウェイたたきが先鋭化しました。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月22日付掲載
世界を席巻するGAFAですが、中国市場からは追い出されているんですね。
一方の中国のファーウェイもアメリカ市場には食い込めていない。
お互いに住み分けってところでしょうか。
ところで、一時期はバイドゥ(百度)のフリーソフトが良く出ていましたが、最近はあまりみかけませんね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます