2022年予算案の焦点① 税・財政 国民収奪とバラマキ
2022年度予算政府案の特徴を主な分野でみていきます。
岸田文雄政権は2022年度予算案を、昨年末に成立させた21年度補正予算と合わせて、16カ月予算と位置づけます。補正予算では台湾の半導体企業TSMCとソニーグループが計画する熊本県の工場に4000億円の補助金投入を可能にしました。経済安全保障重要技術育成プログラムとして、2500億円を投入して基金を設け、大学や民間企業に事業を委託します。22年度当初予算は一般会計税収で消費税が最多の税目となる一方、社会保障は抑制。軍事費は過去最高を更新しました。国民から収奪し、大企業と軍事にバラまくのが岸田政権の掲げる新しい資本主義の実態です。
総額は過去最大
国の基本的な予算規模を示す一般会計の総額は107兆5964億円と、当初予算として過去最大を更新しました。当初予算が100兆円を超えるのは4年連続で、過去最大を更新するのは10年連続です。
社会保障費は36兆2735億円を計上、社会保障費の自然増は4400億円としました。介護職員の賃上げのために150億円を計上。ただ、全額補助金で対応した補正予算とは違い、賃上げの原資は介護報酬の改定でまかないます。保険料の引き上げや利用者負担増につながる重大問題です。
新型コロナウイルスのオミクロン株が登場し、感染拡大が深刻になるもと、コロナ関連予算は5兆円を計上した予備費が中心。コロナ禍で経営危機となっている医療・介護施設への減収補てんや、中小業者の事業支援、困窮者向けの給付金は盛り込まれていません。
沖縄振興予算は2684億円を計上。21年度当初予算から1割以上の削減です。3000億円を割り込むのは10年ぶり。とりわけ県が使途を決められる一括交付金は2割以上の削減です。玉城デニー知事を先頭に辺野古新基地建設に反対する沖縄県へのいじめです。
GDP1.1%超
軍事費は5兆3687億円(デジタル庁計上分318億円を除く)と過去最大になりました。当初予算で5兆円を超えるのは8年連続。第2次安倍晋三政権発足後の13年度から10年連続で前年度を上回り、8年連続で過去最大を更新しました。軍事費は21年度補正予算との合計で6兆1744億円となり、国内総生産(GDP)比で1・1%を超えました。
内閣官房は情報収集衛星(スパイ衛星)の開発・運用のために21年度と同額の625億円を計上しました。9月に発足したデジタル庁は初の通年予算として4720億円を盛り込みました。デジタル庁の予算とは別に総務省はマイナンバーカードの普及に1027億円を計上しました。
予算案と同日に閣議決定された「税制改正大綱」には岸田首相が総裁選時に提唱していた金融課税の見直しは盛り込まれませんでした。一方、政権の目玉とする賃上げ減税が盛り込まれました。ただ、法人税減税として実施するため、赤字企業や少額しか法人税を納めていない企業には恩恵がなく、賃上げ効果は見通せません。
(つづく)
(9回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年1月18日付掲載
22年度当初予算は一般会計税収で消費税が最多の税目となる一方、社会保障は抑制。軍事費は過去最高を更新。
新型コロナウイルスのオミクロン株が登場し、感染拡大が深刻になるもと、コロナ関連予算は5兆円を計上した予備費が中心。コロナ禍で経営危機となっている医療・介護施設への減収補てんや、中小業者の事業支援、困窮者向けの給付金は盛り込まれていません。
必要な社会保障やコロナ対策のための税収。負担能力に応じて確保することが求められます。
2022年度予算政府案の特徴を主な分野でみていきます。
岸田文雄政権は2022年度予算案を、昨年末に成立させた21年度補正予算と合わせて、16カ月予算と位置づけます。補正予算では台湾の半導体企業TSMCとソニーグループが計画する熊本県の工場に4000億円の補助金投入を可能にしました。経済安全保障重要技術育成プログラムとして、2500億円を投入して基金を設け、大学や民間企業に事業を委託します。22年度当初予算は一般会計税収で消費税が最多の税目となる一方、社会保障は抑制。軍事費は過去最高を更新しました。国民から収奪し、大企業と軍事にバラまくのが岸田政権の掲げる新しい資本主義の実態です。
総額は過去最大
国の基本的な予算規模を示す一般会計の総額は107兆5964億円と、当初予算として過去最大を更新しました。当初予算が100兆円を超えるのは4年連続で、過去最大を更新するのは10年連続です。
社会保障費は36兆2735億円を計上、社会保障費の自然増は4400億円としました。介護職員の賃上げのために150億円を計上。ただ、全額補助金で対応した補正予算とは違い、賃上げの原資は介護報酬の改定でまかないます。保険料の引き上げや利用者負担増につながる重大問題です。
新型コロナウイルスのオミクロン株が登場し、感染拡大が深刻になるもと、コロナ関連予算は5兆円を計上した予備費が中心。コロナ禍で経営危機となっている医療・介護施設への減収補てんや、中小業者の事業支援、困窮者向けの給付金は盛り込まれていません。
沖縄振興予算は2684億円を計上。21年度当初予算から1割以上の削減です。3000億円を割り込むのは10年ぶり。とりわけ県が使途を決められる一括交付金は2割以上の削減です。玉城デニー知事を先頭に辺野古新基地建設に反対する沖縄県へのいじめです。
GDP1.1%超
軍事費は5兆3687億円(デジタル庁計上分318億円を除く)と過去最大になりました。当初予算で5兆円を超えるのは8年連続。第2次安倍晋三政権発足後の13年度から10年連続で前年度を上回り、8年連続で過去最大を更新しました。軍事費は21年度補正予算との合計で6兆1744億円となり、国内総生産(GDP)比で1・1%を超えました。
内閣官房は情報収集衛星(スパイ衛星)の開発・運用のために21年度と同額の625億円を計上しました。9月に発足したデジタル庁は初の通年予算として4720億円を盛り込みました。デジタル庁の予算とは別に総務省はマイナンバーカードの普及に1027億円を計上しました。
予算案と同日に閣議決定された「税制改正大綱」には岸田首相が総裁選時に提唱していた金融課税の見直しは盛り込まれませんでした。一方、政権の目玉とする賃上げ減税が盛り込まれました。ただ、法人税減税として実施するため、赤字企業や少額しか法人税を納めていない企業には恩恵がなく、賃上げ効果は見通せません。
(つづく)
(9回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年1月18日付掲載
22年度当初予算は一般会計税収で消費税が最多の税目となる一方、社会保障は抑制。軍事費は過去最高を更新。
新型コロナウイルスのオミクロン株が登場し、感染拡大が深刻になるもと、コロナ関連予算は5兆円を計上した予備費が中心。コロナ禍で経営危機となっている医療・介護施設への減収補てんや、中小業者の事業支援、困窮者向けの給付金は盛り込まれていません。
必要な社会保障やコロナ対策のための税収。負担能力に応じて確保することが求められます。
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