守ろう地球の未来 襲いかかる気候危機② マーシャル諸島(中) お墓も水没の危機
マーシャル諸島の首都マジュロで働くシーレンド・ライデンさん(23)の家を訪ねました。中心市街地からやや外れたところにある薄いオレンジ色の1階建ての建物です。お墓が置かれた広場を取り囲むように合計7棟の家屋が立ち、人々が協力し合って生活しています。
シーレンド・ライデンさんの自宅前の広場にあるお墓と貯水タンク=2019年12月28日、マジュロ
水不足が心配
マジュロ環礁は小さな島が細長くつながった楕円形をしています。島の幅は一番広いところでも2キロ程度。ほとんどの建物は海のそばです。ライデンさんの家も15メートルほど離れたところに波が打ち寄せています。
「マーシャル諸島の人々にとって土地は先祖が眠る大切な場所です。出ていくことはできません」。海面上昇が進むと環礁に住めなくなる可能性があると言われていることについて、ライデンさんはお墓を指さしながらこう語りました。
マーシャル諸島では土葬が一般的な埋葬法です。住宅街を歩くと庭にお墓を立てている家が多くみられます。ライデンさんは「海面上昇は家だけでなくお墓も削り取り、奪っていきます。心が痛みます」と続けました。
気候変動が原因で深刻化しているとみられる異常気象のうち、マーシャル諸島の人々が特に懸念しているのは雨不足や干ばつです。
マーシャル諸島では雨水をためて生活用水として利用しています。多くの家に雨どいから水を集める貯水タンクがあります。ライデンさんの家が面する広場にも2メートルくらいの高さの青いタンクがありました。
マーシャル諸島政府は、マジュロでも異常気象により雨量が変動し、これまで経験したことのない深刻な干ばつが起きる危険性があるとしています。ライデンさんは「干ばつが頻繁に起きれば水不足が心配です。裕福な人は海水を真水にろ過する装置を使うかもしれません。しかし多くの貧しい人はどうすることもできません」と話します。
人ごとでない
取材していると隣の家のエディ・ジティアムさん(43)が声をかけてきました。気候変動の取材だと伝えると「この家も見てくれ」と言います。「最近は防潮堤を乗り越えて玄関先まで波が来ることがあるよ」と困った様子で強調しました。
ライデンさんは言います。「もしこのまま海面上昇が進むとしたら15年後にはここはどうなっているでしょうか。温暖化を放置すれば海面上昇による被害が東京も含めて世界の大都市でも起きるといわれています。マーシャル諸島の現実を世界の人々が自分のこととして考えてほしい」
(マジュロ=島田峰隆 写真も)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年1月5日付掲載
マーシャル諸島では、真水の確保もかなり苦労がいるのですね。
山から川が流れてたり、井戸でくみ上げたりでなくって、雨水を貯めている。
マーシャル諸島の首都マジュロで働くシーレンド・ライデンさん(23)の家を訪ねました。中心市街地からやや外れたところにある薄いオレンジ色の1階建ての建物です。お墓が置かれた広場を取り囲むように合計7棟の家屋が立ち、人々が協力し合って生活しています。
シーレンド・ライデンさんの自宅前の広場にあるお墓と貯水タンク=2019年12月28日、マジュロ
水不足が心配
マジュロ環礁は小さな島が細長くつながった楕円形をしています。島の幅は一番広いところでも2キロ程度。ほとんどの建物は海のそばです。ライデンさんの家も15メートルほど離れたところに波が打ち寄せています。
「マーシャル諸島の人々にとって土地は先祖が眠る大切な場所です。出ていくことはできません」。海面上昇が進むと環礁に住めなくなる可能性があると言われていることについて、ライデンさんはお墓を指さしながらこう語りました。
マーシャル諸島では土葬が一般的な埋葬法です。住宅街を歩くと庭にお墓を立てている家が多くみられます。ライデンさんは「海面上昇は家だけでなくお墓も削り取り、奪っていきます。心が痛みます」と続けました。
気候変動が原因で深刻化しているとみられる異常気象のうち、マーシャル諸島の人々が特に懸念しているのは雨不足や干ばつです。
マーシャル諸島では雨水をためて生活用水として利用しています。多くの家に雨どいから水を集める貯水タンクがあります。ライデンさんの家が面する広場にも2メートルくらいの高さの青いタンクがありました。
マーシャル諸島政府は、マジュロでも異常気象により雨量が変動し、これまで経験したことのない深刻な干ばつが起きる危険性があるとしています。ライデンさんは「干ばつが頻繁に起きれば水不足が心配です。裕福な人は海水を真水にろ過する装置を使うかもしれません。しかし多くの貧しい人はどうすることもできません」と話します。
人ごとでない
取材していると隣の家のエディ・ジティアムさん(43)が声をかけてきました。気候変動の取材だと伝えると「この家も見てくれ」と言います。「最近は防潮堤を乗り越えて玄関先まで波が来ることがあるよ」と困った様子で強調しました。
ライデンさんは言います。「もしこのまま海面上昇が進むとしたら15年後にはここはどうなっているでしょうか。温暖化を放置すれば海面上昇による被害が東京も含めて世界の大都市でも起きるといわれています。マーシャル諸島の現実を世界の人々が自分のこととして考えてほしい」
(マジュロ=島田峰隆 写真も)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年1月5日付掲載
マーシャル諸島では、真水の確保もかなり苦労がいるのですね。
山から川が流れてたり、井戸でくみ上げたりでなくって、雨水を貯めている。
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