この人に聞きたい 竹下景子 第3回 “女優続けたい”初めて思えた舞台 草笛さんがすばらしくて
〈1974年、NHK時代劇「ふりむくな鶴吉」でヒロインに。仕事が忙しくなり大学留年が決定しました。「クイズダービー」のレギュラー解答者になったのは、大学5年目の時です。正解率の高さから「三択の女王」と呼ばれました〉
留年が決まった時点で、実家からの仕送りが断ち切られました。今思えば、名古屋に帰ってくるように、というサインだったのかもしれません。
「三択の女王」というのは、司会の大橋巨泉さん独自のネーミングです。巨泉さんは、みんなにニックネームをつけるのが上手で、漫画家の黒鉄ヒロシさんは「裏切りたぬき」、はらたいらさんは「宇宙人」、篠沢秀夫先生は本当に教授だから「教授」。解答者はみんな、そのキャラクターを多少、演じるわけです。
巨泉さんにはテレビの世界を、ドラマとは違う部分で教えていただきました。結婚後は、家族ぐるみのお付き合いをさせていただきました。本当に大好きな、貴重な、先輩とテレビのプロデューサーやディレクターには「『クイズダービー』の時の景子ちゃんが、一番いいんだよね。演技は、どうしてそういうふうにならないのかなあ」と言われました。まあ下手だからなんですけど。(笑)
デビューした頃の竹下景子さん(本人提供)
ちょっと違う
〈23歳の時、てい談した政治家・荒舩清十郎さんの言葉がきっかけで、「お嫁さんにしたい女優ナンバー1」といわれました〉
私自身は家庭に落ち着くことなんて全然考えていませんでした。
ただドラマや映画で良家のお嬢さんのような役柄が続きました。
その頃いただいたコマーシャルのキャラクターも“かわいい奥さん”、子どもができたら“かわいいお母さん”…。(笑)
荒舩さんに文句を言うつもりはないんですけど、正直「ちょっと違うんだけどな」という窮屈さはありましたね。
でも、学生タレントとして始めたので、いつも自信がなくて、女優が自分の職業って言えるまでに随分、時間がかかりました。
〈80年、有吉佐和子原作の舞台「和宮様御留(かずのみやさまおとめ)」に出演。初舞台でした〉
司葉子さんと草笛光子さんが主演で、私は偽物の和宮に仕立てられるフキっていう少女の役でした。そのフキを宮様のようにしつける役として、草笛さんがいらしたんです。
草笛さんはすばらしくて、このとき初めて女優を続けていきたいと思いました。自分の全部がお客様の前であらわになるし、そこに全身全霊を込めて演じなくてはなりません。
同時に女優の仕事にはゴールがないな、と、そのとき感じました。
ずっと追求しないと答えは出ないという気が、漠然とですが、したのを覚えています。
〈29歳の時、主演したテレビドラマ「十二年間の嘘~乳と蜜の流れる地よ~」は、清純派女優の竹下さんが風俗嬢を演じたことで話題に。社会派でもあった作品は、芸術祭優秀賞を受賞。「モモ子シリーズ」として15年間で8本放送されました〉
私にすごく自由を与えてくれた作品です。
デビューまもない頃からオリジナルドラマや大河ドラマ「黄金の日日」に起用してくださった市川森一さんの脚本でしたし、覚悟を決めて臨みました。モモ子は根無し草できっぷがよくて、ちょっと寅さんと似ているところがあります。
はすっぱなモモ子を魅力的に仕上げてくださったのは、演出の堀川とんこうさんのセンスです。社会で本当に起きた事件をモチーフに、狂言回しとして愛すべき存在のモモ子をきっちり描いてくださいました。
とんこうさんは、昨年3月に亡くなりました。先日、奥様で脚本家の高木凛さんが、モモ子の第一作の台本を送ってくださったんです。とんこうさん御自身の書き込みと付箋がいっぱいあって…。タイムカプセルを開けたような気分になりました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日曜版 2021年6月27日付掲載
「クイズダービー」のレギュラー解答者になったのは、大学5年目の時。正解率の高さから「三択の女王」と。すこし記憶があります。
80年、有吉佐和子原作の舞台「和宮様御留(かずのみやさまおとめ)」に出演。初舞台。
司葉子さんと草笛光子さんが主演で、私は偽物の和宮に仕立てられるフキっていう少女の役。そのフキを宮様のようにしつける役として、草笛さんがいらしたんです。
草笛さんはすばらしくて、このとき初めて女優を続けていきたいと思いました。同時に女優の仕事にはゴールがないな、と、そのとき感じたと。
なるほどなあ~~
〈1974年、NHK時代劇「ふりむくな鶴吉」でヒロインに。仕事が忙しくなり大学留年が決定しました。「クイズダービー」のレギュラー解答者になったのは、大学5年目の時です。正解率の高さから「三択の女王」と呼ばれました〉
留年が決まった時点で、実家からの仕送りが断ち切られました。今思えば、名古屋に帰ってくるように、というサインだったのかもしれません。
「三択の女王」というのは、司会の大橋巨泉さん独自のネーミングです。巨泉さんは、みんなにニックネームをつけるのが上手で、漫画家の黒鉄ヒロシさんは「裏切りたぬき」、はらたいらさんは「宇宙人」、篠沢秀夫先生は本当に教授だから「教授」。解答者はみんな、そのキャラクターを多少、演じるわけです。
巨泉さんにはテレビの世界を、ドラマとは違う部分で教えていただきました。結婚後は、家族ぐるみのお付き合いをさせていただきました。本当に大好きな、貴重な、先輩とテレビのプロデューサーやディレクターには「『クイズダービー』の時の景子ちゃんが、一番いいんだよね。演技は、どうしてそういうふうにならないのかなあ」と言われました。まあ下手だからなんですけど。(笑)
デビューした頃の竹下景子さん(本人提供)
ちょっと違う
〈23歳の時、てい談した政治家・荒舩清十郎さんの言葉がきっかけで、「お嫁さんにしたい女優ナンバー1」といわれました〉
私自身は家庭に落ち着くことなんて全然考えていませんでした。
ただドラマや映画で良家のお嬢さんのような役柄が続きました。
その頃いただいたコマーシャルのキャラクターも“かわいい奥さん”、子どもができたら“かわいいお母さん”…。(笑)
荒舩さんに文句を言うつもりはないんですけど、正直「ちょっと違うんだけどな」という窮屈さはありましたね。
でも、学生タレントとして始めたので、いつも自信がなくて、女優が自分の職業って言えるまでに随分、時間がかかりました。
〈80年、有吉佐和子原作の舞台「和宮様御留(かずのみやさまおとめ)」に出演。初舞台でした〉
司葉子さんと草笛光子さんが主演で、私は偽物の和宮に仕立てられるフキっていう少女の役でした。そのフキを宮様のようにしつける役として、草笛さんがいらしたんです。
草笛さんはすばらしくて、このとき初めて女優を続けていきたいと思いました。自分の全部がお客様の前であらわになるし、そこに全身全霊を込めて演じなくてはなりません。
同時に女優の仕事にはゴールがないな、と、そのとき感じました。
ずっと追求しないと答えは出ないという気が、漠然とですが、したのを覚えています。
〈29歳の時、主演したテレビドラマ「十二年間の嘘~乳と蜜の流れる地よ~」は、清純派女優の竹下さんが風俗嬢を演じたことで話題に。社会派でもあった作品は、芸術祭優秀賞を受賞。「モモ子シリーズ」として15年間で8本放送されました〉
私にすごく自由を与えてくれた作品です。
デビューまもない頃からオリジナルドラマや大河ドラマ「黄金の日日」に起用してくださった市川森一さんの脚本でしたし、覚悟を決めて臨みました。モモ子は根無し草できっぷがよくて、ちょっと寅さんと似ているところがあります。
はすっぱなモモ子を魅力的に仕上げてくださったのは、演出の堀川とんこうさんのセンスです。社会で本当に起きた事件をモチーフに、狂言回しとして愛すべき存在のモモ子をきっちり描いてくださいました。
とんこうさんは、昨年3月に亡くなりました。先日、奥様で脚本家の高木凛さんが、モモ子の第一作の台本を送ってくださったんです。とんこうさん御自身の書き込みと付箋がいっぱいあって…。タイムカプセルを開けたような気分になりました。(つづく)
「しんぶん赤旗」日曜版 2021年6月27日付掲載
「クイズダービー」のレギュラー解答者になったのは、大学5年目の時。正解率の高さから「三択の女王」と。すこし記憶があります。
80年、有吉佐和子原作の舞台「和宮様御留(かずのみやさまおとめ)」に出演。初舞台。
司葉子さんと草笛光子さんが主演で、私は偽物の和宮に仕立てられるフキっていう少女の役。そのフキを宮様のようにしつける役として、草笛さんがいらしたんです。
草笛さんはすばらしくて、このとき初めて女優を続けていきたいと思いました。同時に女優の仕事にはゴールがないな、と、そのとき感じたと。
なるほどなあ~~
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