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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「経労委報告」を読む⑤ 「日本型雇用」造り替え

2022-02-28 07:01:30 | 働く権利・賃金・雇用問題について
「経労委報告」を読む⑤ 「日本型雇用」造り替え
労働総研事務局長 藤田実さん

「経労委報告」が主張する「日本型雇用システムの見直し」に関連して、注視すべきは副業・兼業に対する積極的な方針提起です。

副業と兼業促進
「経労委報告」では「副業・兼業は、スキルアップや自己研鑽(けんさん)、社外での幅広い視野・経験の獲得を可能にするなど働き手の主体的なキャリア形成を支援する施策として」積極的に位置づけています。
このような「経労委報告」の観点は、2021年10月に出された「副業・兼業の促進」という報告書に基づいています。報告書では、「働き手のエンゲージメントを高め、働き方改革フェーズーを推進する」施策の一つとして位置づけられています。
経団連が副業・兼業の促進を打ち出す背景として上げられているのが、コロナ禍でのリモートワークの推進で、都市と地方の2拠点居住や都市在住者の地方からの仕事の請負が可能になったということです。5Gなどインターネット環境が整備され、在宅でもクラウドサービスを利用することでオフィスと同じ執務環境を作り出すことができるようになったことは、仕事をする場所を選ばないということでもあります。
情報通信産業分野では、単発の仕事を請け負う「ギグワーク」という働き方で国境を越えて外国からの仕事を請け負う事例すら現れています。この意味では、経団連が主張するように、企業さえ認めれば、副業・兼業がやりやすくなったのは事実です。
また経団連が主張するように、副業・兼業という仕事自体に注目すれば、労働者のスキルアップや社外での幅広い視野・経験の獲得につながることは否定できません。それによって労働生産性向上をもたらす可能性もあります。



コロナ禍で雇用を守れと訴えデモ行進する全労連・国民春闘共闘の人たち=1月13日、東京都内

「自営業者化」へ
しかし、経団連のねらいはそれだけではありません。「経労委報告」では、副業・兼業などによって「社内のみならず社外にも通用する職能やスキル・経験を持つ多様な働き手が増えていくことが、社会全体での円滑な労働移動の実現にもつながるものとして期待される」と述べており、流動的な労働市場に変えていく一助になるという認識を示しています。
さらに副業・兼業を促進するということは従来の企業や社員のあり方を変えることになります。副業・兼業先では「インディペンデント・コントラクター」(独立自営業者)という位置づけで仕事を請け負うこともできるので、企業の中で雇用責任を負う労働者ではなく、雇用関係によらない働き手が増えてくれば、実際に仕事を行う社員の多くを自営業者化できることになります。企業を自営業者の集合体にすることも可能になります。
副業・兼業の促進は労働市場の流動化を促すとともに、労働者の自営業者化にもつながる可能性があるということにも注意すべきです。これは経団連が本格的に日本型雇用システムの造り替えに乗り出すことの意思表明とみなすことができます。
総資本としての経団連が従来の雇用システムの再構築の意思を鮮明にしたことを考えると、労働組合も格差のない労働社会、男性も女性も外国人も障がい者も能力に応じて自由に働き、生活に見合った賃金を受け取ることができる、真に多様性のある労働社会の構築に向けて構想し、運動を強める必要があります。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年2月23日付掲載


一昔前は、「労働者が副業や兼業なんてとんでもない。会社にもっと尽くせ」と言っていたものです。
今、経団連が行っている副業・兼業は別の意味があるようです。
副業・兼業先では「インディペンデント・コントラクター」(独立自営業者)という位置づけで仕事を請け負うこともできるので、企業の中で雇用責任を負う労働者ではなく、雇用関係によらない働き手が増えてくれば、実際に仕事を行う社員の多くを自営業者化できることに。
要するに、企業が雇用に責任を負わなくって労働者を働かせることをめざしているようです。

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