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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「経労委報告」を読む② コロナ乗じ賃金抑制

2021-02-24 07:53:13 | 働く権利・賃金・雇用問題について
「経労委報告」を読む② コロナ乗じ賃金抑制
労働総研事務局長 藤田実さん

『経労委報告』は、労働者に対してエンゲージメント、すなわち「働き手にとって組織目標の達成と自らの成長の方向性が一致し、…組織や仕事に主体的に貢献する意欲や姿勢」により労働生産性を飛躍的に高めることを求めながら、肝心の賃金や最低賃金の引き上げには後ろ向きです。
「今次労使交渉に臨む基本姿勢」では、「自社の事業活動へのコロナ禍の影響に関する情報を正しく共有し、当面の業績見通しなどについてもできる限り認識を合わせた上で、…自社の実情に適した賃金決定を行う」と述べています。つまり、コロナ禍の影響と今後の企業業績を認識すれば大幅な賃金引き上げ要求などは論外だということです。



経団連会館=東京都千代田区

好業績企業まで
他方、業績の良い企業では、定期昇給などを実施した上で、実情に合わせてベア(ベースアップ、賃上げ)を行うことも選択肢だとして、賃金引き上げを容認しています。
しかし、コロナ禍で業績が落ちている企業の事例が毎日、報道されているなかでは、業績の良い企業でも「ベアなど論外」という雰囲気が形成されかねません。トヨタは21年3月期の営業利益は2兆円、純利益は1兆9000億円という好業績をあげる見通しにもかかわらず、トヨタ労組は要求段階でベアの有無を明らかにしていません。他の組合も追随すれば、社会全体でベアによって生活改善を図るという春闘の意義が失われることになります。
業績が落ち込んでいる企業が多いのは確かですが、業績の良い企業まで含めて「ベア自粛」をしてしまうと、経済が反転する契機が失われてしまいます。コロナ後も日本経済はさらに長期にわたって低迷することになりかねません。
もちろん外食業や観光業、娯楽業など業績不振に苦しんでいる企業は多数存在しています。そうした企業には特別の政府支援が必要ですが、巨額の内部留保を抱えている企業もあります。

内部留保還元を
『経労委報告』ではため込んだ現預金は運転資金のほか、海外企業のM&A(合併・買収)などに活用しているとしていますが、労働運動総合研究所は、不要不急の内部留保だけで290兆円もあると指摘しています。内部留保は危機の時のためにため込んでいると主張してきたことからも、今こそ取り崩すときです。
ベア配分に当たっては、「職務等級・資格別や階層別の配分、業績・成果等による査定配分など、個々人の仕事・役割・貢献度等に応じて重点化を図る」ことを求めています。ベアも個々の業績・成果の評価に応じて格差を設けて配分するということです。
これでは、春闘でベアを獲得しても、配分は自分の業績次第になるので、労働者は目標を超えた成果をあげて自分の評価を高めることが求められます。エンゲージメントを高めること、すなわち自分の成長が企業の成長でもあるという意識をもち、企業成長に向けて邁進(まいしん)することが求められます。
財界が求める社員像は意識レベルでも企業との同一性を求めるものであることを示しています。『経労委報告』が掲げるダイバーシティー(多様性)とは、表面的・外面的なものであると言うことができます。
(つづく)(次回は23日付の予定)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年2月20日付掲載


経団連は、2021年春闘に対して、コロナ禍の影響と今後の企業業績を認識すれば大幅な賃金引き上げ要求などは論外という姿勢。
労働運動総合研究所は、不要不急の内部留保だけで290兆円もあると指摘しています。内部留保は危機の時のためにため込んでいると主張してきたことからも、今こそ取り崩すときと指摘。

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