きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

金融侵略 苦悩する東芝④ 利を得た海外ファンド

2023-05-14 07:08:41 | 経済・産業・中小企業対策など
金融侵略 苦悩する東芝④ 利を得た海外ファンド
東芝が外国人株主に支配されるに至った直接の原因は、原発事業の大失敗でした。
2006年に約5000億円を出資して買収した原子炉メーカー大手の米ウェスチングハウス社が17年に倒産しました。東芝は17年3月期決算で9656億円の赤字となり、債務超過に転落。東証ルールで上場廃止となる2年連続の債務超過を回避するため、17年12月5日に約6000億円の第三者割当増資(特定の第三者に新株を売って資本金を増やすこと)を行います。東芝が発行した新株を引き受けたのが、米投資銀行ゴールドマン・サックスが引き連れてきた海外の投資ファンド60社だったのです。

自社株買い実行
その後、東芝は18年6月に稼ぎ頭の半導体子会社、東芝メモリ(現キオクシア)を約2兆円で売却します。同月13日には、東芝メモリ譲渡益の一部で7000億円程度の自社株買いを行う方針を発表。11月8日の取締役会で自社株買いの実行を決めました。
優良事業の売却と株主還元策の発表をきっかけに、東芝の株価は急上昇しました。
17年12月5日に投資ファンドが引き受けた新株の価格は1株262・8円でした。それ以降18年11月15日までに株価は51%上がりました(10株を1株とする18年10月の株式併合を織り込んで計算)。多くの投資ファンドが短期間で東芝株を売り抜けてもうけました。
東洋経済オンライン(18年12月22日付)によると、同年12月17日までに投資ファンドは引き受けた東芝株の45%を売却しました。60社のうち17社は引き受けた株数の99%以上を売り、269億円の利益を得ました。調査した山田雄大記者は「最大の利を得たのがファンドである」と指摘しています。東芝は安売りした新株を高値で買い戻し、株価をつり上げて海外ファンドに奉仕したのでした。



東芝浜松町本社事務所が入る東芝ビルディング=東京都港区

物言う株主圧力
短期間で売り抜けなかった投資ファンドの一部は「物言う株主」となり、東芝の経営に介入しました。その内情が露見したのが「圧力問題」のときでした。20年7月31日開催の株主総会に向けて東芝側が株主に「不当な圧力」をかけたという事件です。21年3月18日の臨時株主総会で株主の多数が賛成し、「圧力問題」に関する調査を決定。株主が選任した調査者は「(東芝が)株主提案権の行使を妨げようと画策」したと批判する調査報告書を公表しました。
騒動を通じてあらわになったのが「物言う株主」の要求でした。
シンガポールに拠点を置く東芝の筆頭株主エフィッシモ・キャピタル・マネジメントは、自社役員の今井陽一郎氏を東芝の取締役とする旨の株主提案を行っていました。目的は「コーポレート・ガバナンス」の「改善」による「企業価値向上」。つまり株価の引き上げです。同社を設立した今井氏らは、インサイダー取引が発覚して解散に追い込まれた村上ファンドの元社員で、欧米の機関投資家から資金を集めたと報じられています。
大株主の米ファラロン・キャピタル・マネジメントは、東芝が営業活動で得た現金の全額を5年間、株主に還元することなどを迫りました。東芝は猛反発しました。もしも実行したら「中長期的な会社の成長の芽を完全に摘むことになる」と。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年5月10日付掲載


東芝が外国人株主に支配されるに至った直接の原因は、原発事業の大失敗。
その後、東芝は18年6月に稼ぎ頭の半導体子会社、東芝メモリ(現キオクシア)を約2兆円で売却。
優良事業の売却と株主還元策の発表をきっかけに、東芝の株価は急上昇。
それがきっかけに、外国資本が東芝株を購入支配することに。いわゆる「物言う株主」です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 金融侵略 苦悩する東芝③ 7... | トップ | 金融侵略 苦悩する東芝⑤ 株... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済・産業・中小企業対策など」カテゴリの最新記事